三脚を立てたままLC-A+のMX(多重露光)スイッチを操作する方法

LC-A+を三脚に取り付けると、カメラの底の部分と三脚の設置部分が固定されるため、多重露光用のMXスイッチを操作するのが難しくなります。なので、三脚を用いた多重露光がしたい場合は撮影ごとに三脚から取り外す必要があり少し面倒でした。そこで、それを解決する方法をいくつか考えてみましたのでご紹介します。ちょっと強引な方法もあるので誰にでもできるものではないのですが、機会(そして機械)があったらトライしてみてください♪

photo by hodachrome

長時間露光は、夜などの暗い場面で三脚等を使ってスローシャッターを切って撮影するというものですが、ロモグラフィーの世界では、そこに多重露光を用いて作品作りをする人もいると思います。(私の好きな撮り方の一つです)

しかし、 LC-A+ でトライする場合にはひとつ問題点がありました。それは、MXスイッチを操作する際、毎回三脚からカメラを取り外さなければならないということでした。つまり、LC-A+を三脚にセットすると、カメラの底部と三脚の上部(クイックシュー等)とがぴったり固定されてしまい、カメラ底部にあるMXスイッチに触れることができなくなってしまうのです。そのため、MXスイッチを操作するには、いったん三脚から(そしてクイックシューを)取り外して行う必要がありました。

これは面倒だと常々思っていたのですが、さしたる対処方法も浮かばないまま夜の多重露光などを行っていました。

そこで私は以下の方法を思いつきました。

方法①(難易度:高め) クイックシューに穴を開ける

一つ目の方法は、「カメラに取り付ける三脚のパーツ(クイックシュー)に穴を開けてしまえ!」というやや強引な方法です。これを行うことで、カメラにクイックシューを取り付けたままMXスイッチをスライドさせることができます(三脚の雲台からはいったん外す必要があります)。これができれば夜の多重露光でも負担と時間が大いに軽減できて撮影が楽になるというわけです。

ということで穴を開けてみたものが下の画像です。三脚のクイックシューに穴が開いているのがわかりますよね。もちろん、クイックシューは分厚い金属製なのでそんじょそこらの機械で簡単に開くようなものではありません。そこで、特殊な工具を使って開けました。(正確には友人に頼んで開けてもらいました)

穴を開けたクイックシュー

そして、それをLC-A+に取り付け、さらに三脚の雲台にセットします(下の写真参照)。

カメラに取り付け、三脚にセットします

一回シャッターを切ったら三脚の台座からクイックシューの付いたカメラを外して、ピンセットのような細いものでMXスイッチをスライドさせ、また三脚にセットします。これで二回目の撮影ができます。従来の完全に取り外す方法よりも時間は大幅に短縮され、ねじをグリグリ回す手間も省けるので体力的にも相当楽になります。

方法② (難易度:ふつう)ミニ三脚のパーツを外す

二つ目の方法です。こちらはよりシンプルで現実的な方法です。
それは、一般的に市販されている携帯用の「ミニ三脚」を使うというものです。下の写真のように、ミニ三脚にはネジ穴の下に丸い金属のプレートがあります。これはカメラの底部がこのプレートに当たって固定させるためのものです。

ミニ三脚

商品によってちがいますが、この丸いプレートは取り外すことができます。そうするとアラ不思議、MXスイッチへのアクセスが可能となります。
私はミニ三脚を3つ持っていますが、そのうち2つはこの丸いプレートを取り外すことができました。ちゃんとしっかりネジ穴の固定もできていますので安定感も悪くありません。
一回シャッターを切ったら指でMXスイッチをスライドすることも可能です。

丸いプレートを外します
MXスイッチの操作ができます

方法③ (難易度:ある意味かんたん)

三つ目の方法は、ある意味とてもかんたんです。三脚に穴を開けたりパーツを外したりする必要はありません。
それは、以下の写真のようなタイプのクイックシューを使う方法です。これを使えば、カメラにセットしたままでもMXスイッチを操作することができます。

切れ込みがあるタイプのクイックシュー

これは、ネジの部分とプレートの部分が稼動するタイプのもので、ネジが動かせるようにプレートにもともと細長い切れ込みがあるため、細いドライバーのようなものを突っ込めばMXスイッチを動かすことができます。
ただし、このタイプのクイックシューは、やや高価なプロ用三脚に使われている場合が多いのでどれでも使えるものではありません。

固定したままMXスイッチが操作できます

上記三つの方法を使うことで、時間や手間を大幅に減らすことができるようになります。
さらに、これらの方法により、私が個人的に最も期待しているのは、「ゴーストショット」というテクニックがLC-A+で容易になるという点です。
これは、まったく同じ構図で二回撮影して、片一方に人物を入れ、もう一方に入れないことで人物が透けて幽霊のように半透明になるという撮影方法で、ロモグラファーに人気の撮り方の一つです。
(この撮影方法については 人物が透ける!ゴーストショット(GS)の撮り方 をご参照ください)

二つの画像がまったく同じ構図になることが重要なので、上記の方法を使うことで、より正確なゴーストショットを作ることが可能となります。(ただし、上記方法①の場合はいったんクイックシューに固定されたカメラを三脚の台座から取り外すことになりますので、多少の像のぶれが生じる可能性があります)

以上、やや中上級者編ではありますが、三脚を使った多重露光をより楽にできるというTipsでした。

最後に、夜の多重露光のギャラリーをご覧ください。

photo by hodachrome

こちらはゴーストショット(GS)のギャラリーです。

photo by hodachrome

Author: hodachrome山本穂高
岐阜県出身のカメラマン。2007年にトイカメラの代表格であるLomo LC-Aと出逢い、その魅力の虜となる。世界のロモグラファー・フォトグラファー達と研鑽を重ねながら、国内外を問わず写真展への参加、写真集・グッズ販売、写真講座・ワークショップ等、幅広く活動する日々を送る。

2015-04-13 #gear #チュートリアル #splitzer #tripod #long-exposure #lc-a #multiple-exposure #tipster #doubles #double-exposure #lca #lc-a # # # # hodachrome の記事

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