Snap! 鈴木編集長、New Jupiter 3+ Art Lensで撮る。

編集長を務めた 「レンズの時間 Vol.2」 が1月に発売になり、その後も執筆作業やCP+での講演など、大忙しな鈴木編集長。忙しい合間を縫ってNew Jupiter 3+で撮影していただきました!


Name: 鈴木文彦
Location: 日本
Web: snap-magazine.jugem.jp
SNS: Instagram, Twitter

写真: 鈴木文彦

―最近は少しずつ暖かくなってきましたが、今年の冬はいかがお過ごしでしたか?十分に冬の写真は撮れましたか?

毎年だいたい年始早々に締め切りがあり、今年も「レンズの時間 Vol.2」の追い込みの編集作業をしていました。誌面に使用する写真はほとんど自分で撮影をしているので、今年の冬も撮影をしまくっていましたが、レンズの特性が伝わりやすい写真を撮るように心掛けているので、思いのままに撮っているわけではありません。ですから、締め切りが終わった直後から、もう何も考えない状態で愛用のカメラを持ってうろつきました。ぜいたくな悩みだとは思います。でも、写真から離れたい、という感覚になったことは一度もなくて、そこはこういう仕事をしていても胸を張れるところですね。

―「レンズの時間 Vol. 2」、読ませて頂きました!ロモグラフィーのレンズも特集でご紹介いただきありがとうございます!ものすごくたくさんのレンズが載っていましたが、全部で何本くらい掲載されているのですか?

今回は約150本のレンズが登場します。特集は「表現主義のレンズ」で、写真に味付けをしてくれる少し描写にクセのあるレンズだけを集めています。ボケ味が特徴的なもの、滲みが発生するもの、玉ボケが出やすいものなど、描写面に特長があるレンズはもちろん、最短撮影距離が短い標準レンズ、格安マクロレンズ、中古価格が安い50mmF2レンズなど、実用する際に使いやすいレンズも紹介していて、コレクターのためのレンズ本とは一線を画する内容にしています。誌面にはオススメマークなどは付けていませんが、これはいい、というレンズがやはりあるんですよ。そういう裏話トークショーとかやりたいですね。

レンズの時間 Vol.2
Amazonで購入

写真: 鈴木文彦

―その中で New Petzval 85 Art Lens が表紙だとは…光栄です!

だって、もともとはロモグラファーだし、デジタルカメラやレンズの仕事が増えても、根底にはロモグラフィーのルールが染みついています!フリーな撮影を楽しもうという感覚が強いので、レンズ本を作っても気軽に使い倒せるレンズを手厚く紹介するし、作例もスナップが基本。単に遊びながら撮った写真を掲載することも多いんです。だから、New Petzval 85mmを表紙に使うというのは、他の写真誌では有り得ない話しかもしれませんが、僕にとってはなんら驚くようなチョイスじゃないんですね。

表紙に使ったのは発売中のNew Petzval 85mmですが、誌面ではボケ調節リングがついた新商品 New Petzval 58mm も紹介しています。世界のロモグラファーの作品とインタビューも掲載しているので、ぜひ見ていただきたいです。

ペッツバルはグルグルボケが特徴的ですよね。グルグルボケというと、ロシア製レンズのHelios 58mmやHelios 85mmが有名ですが、ロモグラフィーのPetzvalはゴールドに輝く真鍮製の鏡胴という見た目はもちろん、フォーカシングがギア式だったり、絞りがプレート挿入式だったり、操作そのものがクラシカルという点に大きな違いがあります。また、古典レンズのペッツバルで撮られた写真も見たことがありますが、特に中望遠ならではの被写界深度の浅さがあるNew Petzval 85mmは、開放ではピント面も激しく滲み、周辺部は大きく渦を巻くような古典的な描写をするので大好きです。

製品情報: New Petzval 85 Art Lens
製品情報: New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens

写真: 鈴木文彦

―CP+でも鈴木さんを拝見しました!今年は何か気になる商品はありましたか?

フジフイルムXシリーズに関するトークショーに数回出演したので、あまりブースを見ていません…。でも数年前までは、もう少しフィルムや趣味の写真の向けたインディーズ系のメーカーが多かった印象がありますが、今年はあまりそういう驚きがありませんでした。その代わりに、会場内で中古カメラフェアが初めて開催され、デジタルメインの方も、たまにはフィルムもいいなあ、という流れができればうれしいですね。

―今回 New Jupiter 3+ Art Lens をテストしていただきましたが、このレンズの使用感はどうでしたか?

Jupiterはロシア製のLマウント/Cマウントレンズとして有名ですよね。僕もJupiter 3のオリジナルは使っていましたが、とにかくヘリコイドが硬めだったり、ムラがあるものが多くて、あまり積極的に持ちだそうという気にはなりませんでした。もちろん状態が良いレンズもあるのでしょうが、僕にはちょっと縁がなかったので、ノーストレスでJupiter 3を使えるのはとても嬉しかったです。

製品情報: New Jupiter 3+ Art Lens

―オリジナルのJupiter 3や、そのもとになったZeiss Sonnarと、どのような違いを感じましたか?

ゾナータイプのレンズは、とても素直なボケ味の描写をします。同年代のレンズであるLeica レンズはガウスタイプの構成を採用していて、ボケはグルグルとする傾向にあるんです。オリジナルのJupiter 3、Zeiss Sonnarなどは、クセに頼らない描写が欲しいときに重宝しますがNew Jupiter 3+ Art Lensも同様でしたね。きっと、コーティングの違いなどから逆光時の描写に差があると思うのですが、今回はフラットな光の中で撮ることが多かったので、今後もっとテストしていきたいです。

写真: 鈴木文彦

―Leica M3もボディの革部分にダメージが見られたりと、使い込んだ感が素敵ですね。蛇革のストラップも雰囲気がマッチしていて、なんだか「愛機」っていう感じがします。これ以外にもLeicaやレンジファインダーカメラはよく使っていますか?

金属のシャッター幕がボコボコになっているCanon PというLマウントボディはたまに使います。今回使用したLeica M3は実は借り物で、借りたからには使おうと思って頻繁に持ち歩いています。露出はフルマニュアルですし、最短撮影距離は長いし、ドラマチックな写真は撮りづらいですが、レンジファインダーで撮る楽しみは別種。それこそ「いいね」が多かろうが少なかろうが、そういうことは気にしないで呑気に使っています。

鈴木さんが使用したLeica M3

―今回のモノクロ写真は自家現像されたそうですね。古典的なレンズの復刻版で撮影した写真を自分の手で現像するってなんだか趣があっていいですね。なぜ今回はモノクロで撮影しようと思ったのですか?

レンズの本などでは、どうしてもデジタルを使う頻度が高くなります。フィルムで撮ることは譲れないので、出版社の方はどう思っているかはわかりませんが、フィルムで撮った作例を入れたり、フィルムカメラ特集を作ったりしますが、それでも編集作業が終わった頃にはフィルム禁断症状が出ます(笑)。New Jupiter 3+ Art Lensの登場は、優秀な描写のレンジファインダー用レンズを新品で買えるという素晴らしい機会なわけで、ぜひこういうレンズをフィルムカメラに付けて撮って欲しいという想いを込めて、僕もLeica M3で撮るようにしました。そして、どうせならば長巻きフィルムをフィルムローダーでパトローネに詰め、フルマニュアルで撮って、自家現像をする、という一連の流れでやりたいなって。なにせレンズは新品でヘリコイドなどは抜群に滑らかだし、描写にさほど特長がない。だからこそ、現像なりそれ以外の部分が思う存分楽しめると思うんですね。コマかぶりがあったりトラブルもありましたが、往年のフィルムスタイルにNew Jupiter 3+ Art Lensがきっかけで戻ってほしいですね。僕は最高に楽しかったです。

写真: 鈴木文彦

今までに登場したLomography Art Lensをすべてお試しいただいていますが、鈴木さんのお気に入りのレンズは?

ポートレートや風景をドリーミーに撮りたい、というときはNew Petzval 85mm。フィルムでしっかり撮りたいというときはNew Jupiter 3+ Art Lensですね。New Jupiter 3+ Art Lensは、相当に気に入っています。 New Russar+LC-A Minitar-1 もL/Mマウントですが、しっかりと距離計でピントを合わせて撮る、というスタイルにはNew Jupiter 3+ Art Lensが画角的にもっとも適しています。 LC-A+ などは別とすると、僕は標準画角がとにかく好きというのも要因だと思います。Leica M3など、50mmレンズを付けたときにファインダーのフレームがドンと大きい機種で楽しんでほしいです。

製品情報: New Russar+ Art Lens
製品情報: Lomo LC-A Minitar-1 Art Lens

写真: 鈴木文彦

いつもお忙しい鈴木さんですが、今年の春の何か特別な予定はありますか?告知事項等もありましたらお願いします。

「レンズの時間 Vol.2」が発売されてからしばらく経ちましたが、いよいよ連動した撮影ワークショップなどが動き出します。バブルボケレンズだけを集めたワークショップ、誌面に紹介した中古レンズやインディーズ系新品レンズの販売も視野に入れた展示イベント、そしてロモグラフィーさんともLomography Art Lensを使ったイベントを企画中です。ぜひ、遊びに来てください!


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2016-03-09 #people #lomoamigo ciscoswank の記事

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