カメラ特集:無地のガラス製ファインダー
5 Share Tweet本記事では、カメラのファインダーで私たちが見ているものと、写真の構図を考えたり撮ったりする際の精神的プロセスとの関係について取り上げます。この記事では無地のガラス製ファインダーつきカメラと、マイクロプリズム・スポットやスプリット・イメージのようなフォーカスエイドが無いカメラ(ただしレンジファインダー機を除く)の違いについていくつかご説明します。
ZENIT E
まず第一に、無地のガラス製ファインダーで焦点合わせをするときは、正確な焦点を得ることよりも主に構図に集中するのではないでしょうか。シンプルなすりガラスのフォーカシングスクリーンを使用する最もベーシックな一眼レフ、伝説的なゼニットEの作例を取り上げてみましょう。 このシステムは精密な距離合わせができません。しかし明るい日に屋外で撮るぶんには重要ではありません。絞り込むことで十分に深い被写界深度が得られるからです。このシステムの利点は明白です。中心主題がフレームの中心でなくても簡単に構図が決められます。実際に、スプリットイメージやマイクロプリズムスポットのような中心にフォーカスエイドのあるものを使うとき、常に主題をイメージの中心に据えることに気を取られ、本能的にこの位置で写真を撮ってしまいます。合焦後に構図を変えることはまれです。ゼニットEのファインダーは、シャッタースピードや絞り値といった注意をそらすようなその他の情報はありません。あなたは構図を決めることに専念するだけです! このカメラでは唯一の制約があります。自動絞りではないため、素早く連写することができないのです。つまり決定的瞬間を撮ろうというカメラではありません。最後に、ファインダーはもっと高価なカメラと比べて暗いことを覚えておいて下さい。光量が不足する場所ではピント合わせがちょっと面倒になります。
この二枚の写真は、私がこのカメラに白黒フィルムを詰めて撮ったものです。私の住むコモにあるお気に入りの湖畔で、くつろいだり勉強したりしている様子です。
このカメラで撮ったこれらいくつかの写真は賞賛に値します。私は、その出来事に色彩を添えるこれらの写真を選びます。これら美しい手の写真…そしてこれらのフィルムロールを貸し出してくれるのをありがたく思っています。代わりにコーヒーかアイスクリームはいかがですか? 早く食べないと、手の中で溶けてしまいますよ!
ZORKI 4
二番目に紹介したいカメラは私の美しいゾルキー4、有名なライカ製レンジファインダー機のロシア製コピーです。 ファインダーはとても明るく、十分なコントラストのある距離計のおかげで、どのような光のコンディションでも構図を決め焦点を合わせることができます。このカメラもまた露出情報を見ることはできません。しかしシャッタースピードと絞りのプリセットに関する「16ルール」に従えば、日中は全く必要ありません。視野範囲は標準的な50mmレンズに合わせてあります。もし違う焦点距離のレンズを使うときはオプションのファインダーをフラッシュスライドに取り付ける必要があります。距離計を使うときは、主題を中心に据えることに気を使うでしょう。過焦点距離ルールを利用してピント合わせをすれば、好きなように構図を決めることができます。それはラブリーな「飾り気のない」カメラです。シンプルで素早く、ストリート写真にはもってこいです。一瞬の時を切り取るには最適なのです。しかしファインダーには視差エラーが補正しきれていないことを覚えておいて下さい。ポートレートを撮る時や、接写をする際には考慮に入れる必要があります。多くの一眼レフカメラのように被写界深度を見てとれるゼニットEと違って、ゾルキー4のファインダーでは全てのものが常に合焦した状態で見えます。これは臨機応変に写真を撮るには大きな利点となります。
これらは私がこのカメラで撮ったストリート写真です。
これらはロモ・コミュニティーの人たちが撮ったカラフルで、喜びに満ちた、太陽が光り輝く夏の写真です!
MINOX GT-S
次に小さなミノックスGT-Sを見てみましょう。このファインダーは下の写真にあるGTやGT-X、ELといった類似モデルとはほぼ別物です。このカメラはシンプルな無地のガラス製ファインダーで、フォーカスエイドのような機構は何もありません。正しい距離は撮影者が判断しなければいけません。もちろん十分に絞り込んでやれば、その標準的な広角レンズのもつ被写界深度によって、たとえ光量が不足するコンディションであっても適切な焦点合わせができます。ファインダーの右側にはシャッタースピードを示す指針があり、ブレ写真を防ぐために有効な目安になります。左から右へと読み取ることに慣れている人は、この露出計の位置が構図を素早く決定し、シャッタースピードもチェックできるのです。これが私の推奨する手順です。ゾルキー4と同様に、ファインダーでは常時全てに合掌した状態で見ることができますが、これも同様に視差エラーを補正するものは何もありません。しかしながらこのカメラは、ファインダーとレンズの最短距離がロシアンカメラのそれよりも小さいのです。
私はこのカメラでロックコンサートを記録するために、高感度フィルム(ISO3200)を使いました。
素晴らしい写真をいくつか集めてみました
LOMO LC-A
いよいよ伝説的なLomo LC-Aについて書きます。 これはファインダー内にフォーカスゾーンの表示があるオリジナルのロシアンバージョンです。素早く本能的に使えるこのカメラを嫌う人はいません。そしてファインダー内に表示される、少ないけれどとても便利な情報は誰にとっても本当にありがたいです。左右2つの赤いLEDは、それぞれバッテリー状態とスローシャッターのときの手ブレ警告です。上には(軽い)視差エラーを補正するためのラインもあります。 広角のMinitar-1レンズはいつでも素晴らしい被写界深度を得られます。ファインダーの底辺部には焦点距離の指標があり、 とても直感的なシンボルで素早く焦点距離をチェックできます。
コミュニティのカラー写真に移る前に、私が撮った2枚のストリート写真をお見せします。
いつも持ち歩くには良いカメラです! 生きる歓びに満ちあふれるこれらの素敵な写真に心から賛辞を贈ります。
OLYMPUS XA2
オリンパスXA2、私のかわいい小さなタマゴちゃんは、身軽に旅行したい時にどこでも使えるカメラとしてLomo LC-Aに取って代わるものです。 ファインダーには何も情報表示がなく、緑のLEDがあるだけです。これはスローシャッター時の手ブレ警告と、私は使ったことが無いですが外部フラッシュのチャージ完了サインです。この美しい、明るいファインダーは、たとえ逆光時でも、失敗なく気をそらすことなくフレーミングできます。
この2枚の写真は2年前にミラノで開かれたカラーランの時に撮ったものです。 LC-Aとは違って、ファインダーには何も焦点距離の情報が出ないことを覚えておいてください。
称賛に値する、喜ばしい、自然発生的でカラフル。コミュニティのロモフレンドたちが撮った4枚の美しいポートレートをお見せします:
LOMO ELEKTRA112
次のはより完成され、そして珍しいカメラのロモ・エレクトラ112をご紹介。 ヤシカ・エレクトロにとてもよく似たロシアンカメラです。素晴らしい明るいファインダーを備え、絞り優先のよいレンジファインダーカメラです。ファインダーには視差エラーを補正する移動式フレームを備えています。上部には2つのLEDがありますが、赤い方は露出オーバー警告です。最高シャッタースピードは1/500秒で、絞りを全開するには不十分です。黄色い方はスローシャッター時の手ブレ警告です。私はこの少ないけれど重要な情報を見るのが楽しいです。私はいつも視差エラーを生じさせないように気をつけますが、もしLEDが点灯しても撮る前に絞りリングを回すだけです!「決定的瞬間」を捕えるには持ってこいなんです!
これらのルナパーク(遊園地)の乗り物のように、使っていてとても楽しいカメラです。
このカメラは当時のロシア人には高すぎたため、約40,000台程度とごく少数しか発売されませんでした。 そのため市場で見つけるのはかなり困難です。ここにアップロードされた写真も大変希少なものです。とにかくこの光り輝く色合いを見て下さい!
OLYMPUS 35RC
小さくて軽いオリンパス35RCは私のお薦めするレンジファインダーカメラの1つです。そのカミソリのようにシャープな光学系が特徴です。ファインダー内ではシャッタースピード(カメラ上部にあるホイールでセットします)と絞り(シャッタースピード優先モードで撮影しているときは露出計の数値から自動計算されます)の両方が読み取れます。このモードでは選択したシャッタースピードが絞り値2.8から22の間でも無理な場合、露出計の針は左側のレッドゾーンにあります。また写真が露出不足あるいは露出オーバーになるのを防ぐためにシャッターボタンは自動的にロックされます。もちろん、カメラをフルマニュアルモードにすればロックは回避できます。正直のところ私はこのシャッターボタンロックは好きではありません。しかしちょっと注意すれば、最初に光量に応じてシャッタースピードをセットしておくだけでこのようなロック状態で終わらずに済みます。大事な写真を取り損ねるリスクを避けられるのです。また私はカメラ上部にあるシャッタースピード値を見ることはありませんし、絞り値を見ることもまれです。ちょっとした経験があれば、そういう失敗をしないように光量に応じた適切なシャッタースピードを設定するだけですべて回避できるのです。視差エラー(レンズと距離計の間がそんなに離れていないのでごくわずかですが)を補正するために固定的なラインが引かれているうえ、はっきりとしたコントラストの距離計があるので、このカメラは私のお気に入りの一台です。そうです、ファインダーはむしろ同様の他のカメラ(ロモ・エレクトラ112、キヤノネットQL17)よりも小さく倍率も小さい(0.6倍)ですが、それはストリートフォト用のカメラとしてはあまり関係なく、その場で写真を撮るためのカメラなのです!
リラックスしながら使用できて楽しめるので、ヨガをやっているようにくつろげます!
美しい場所で撮られたコミュニティーの夏の写真をお見せします。これら海の風景は私をのどかな気持ちにさせてくれます。
CANONET QL17 GIII
この章の最後のカメラはキヤノンのレンジファインダー機、キヤノネット QL17 GⅢです。ファインダー上部に露出計の針があるキヤノネットの初期モデルと違い、このモデルでは右端にあります。前に説明したように私のお気に入りの位置です。シャッタースピード優先モードで使用している場合(フルマニュアルモードでも同じです)、ファインダー内にははっきりとしたコントラストの距離計と視差エラーを補正する移動式のフレーム、絞り値を示す露出計の針が見えます。シャッタースピードの設定が間違っている場合、この針は露出計のスケールの端にあるレッドゾーンに入り、シャッターボタンはオリンパス35RC同様にロックされます。この機種でも、ちょっとした経験があればこの制限をうまく回避できます。ファインダーはそれらオリンパス35RCなどよりも大きいですし倍率も高いですので、視野の細部をよく見ることができます。
ストリートフォト向けの素敵なカメラですが、室内撮影用としても良いカメラです! それを使うことは、素敵な体操選手と共にうれしそうにジャンプしているような高揚感に似ています!
いかがですか、これらの美しいポートレート写真やボディの接写はこれで撮りました!
親愛なるロモフレンドの皆さん、あなたの好きなファインダーは何ですか?この点に私はとても興味があります。ぜひ教えてください!
「カメラ特集」は、あなたに合ったカメラを選ぶのをお手伝いするために、フィルムカメラの比較や、見えない部分の詳細について取り上げていきます。
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