生誕30年記念を迎えた「写ルンです」で多重露光にトライしてみた
8 Share Tweet今月は富士フィルムの使い切りカメラ「写ルンです」がこの世に生まれて30周年となります。この長年愛されてきた名機の生誕を祝い、いろんなイベントが予定されていますが、今回私は hodachrome らしく多重露光にフィーチャーした写ルンですワールドを紹介したいと思います。この魅力的な使い切りカメラを使った多重露光についての説明を画像とともにごらんください♪
上の写真が写ルンですによる多重写真の作例です。黄色い菜の花が写ルンですによる撮影で、電車と鉄橋がVivitar Ultra Wide&Slim(通称ワイスリ)による二回目の撮影です。
この異なる二つのカメラを使った多重露光をどうやって行ったのかを画像とともにかんたんに説明していきます(^_^)/
今回使用した富士フィルムの「写ルンです30周年アニバーサリーキット」(画像下)と「Vivitar Ultra Wide&Slim」(画像上)です。
この二つのカメラによる「 *異カメラ間フィルムスワップ * by hodachrome」となります。
まずは一回目の撮影。写ルンですを使って春の花々を撮影しました(上の画像はiPhoneによる現場のイメージです)。写ルンですは基本的にシャッターを押すだけです。たまに内蔵のフラッシュを使って被写体の明るさを補うこともありました。被写体は明るく鮮やかなものを選び、メリハリ(明るさと暗さのバランス)を重視するようにしました。
全て撮り終わったら巻き戻します。そしてドライバーを使ってフィルムを取り出します。カメラの底部から取り出します。
※注意…カメラ内部には基盤があり感電の恐れがあります。構造を知らない方は絶対に不用意に触れないでください。電池を抜いても安全ではありません。また、取り出したフィルムを再度写ルンですに装てんすることはできません。
フィルムの先端がキャニスター内部に入ってしまっているのでフィルムピッカーを使って取り出します。
取り出したら次に二回目の撮影用のカメラ、Vivitar Ultra Wide&Slim(ワイスリ)に装てんします。
この多重で一番気をつけたいのは「一回目と二回目のコマのずれ」です。どれだけのズレがあるのかを調べるためにまずはテスト撮影してみました。現像したネガを見て(上の写真左)、ズレが限りなくなくなるよう最適な二回目のセット位置を割り出しました(上の写真右)。
そして、装てんする前に少しフィルムの先端をカットし、さらにフィルムの先端とスプールとをセロテープで貼り付け固定し、巻き上げる際に「遊び」が生じないようにします。
準備が整ったら、二回目の撮影です。一回目が花などの自然だったため二回目は人工物や人物を撮りました。ワイスリの撮り方も基本的にファインダーを覗いてシャッターを切るだけのシンプルなものです。ここでも明と暗のバランスを重視して、ほどよくハイライトとシャドーが画面に現れるようにしました。多重露光がうまくいくための基本通りの撮り方といえます。
撮影後現像します。通常のネガ現像です。コマの位置のずれは多少はありますがスキャン時に調整できる範囲内です。露出もオーバーすぎずアンダーすぎず適正(か、ちょっとオーバー寄り)です。
今回写ルンですとのパートナーにワイスリというカメラを選んだのにはいくつか理由があルンですが、一番の理由は露出機構が写ルンですのそれと近いという点があります。(写ルンです…絞りf10、シャッタースピード1/140秒、ワイスリ…絞りf11、シャッタースピード1/125秒)
さらには、フィルムを入れる向きがどちらも同じのため、いずれのカメラを使うときも通常通りの構え方で撮ればそれぞれ天地が合うということもあります。あとは描写の緩さ・柔らかさも両者近いので相性がいいかなという予想もありました。他のカメラで試してみたらまたちがった面白みが現れることと思います(機を見てやってみたいです)。
ということで、写ルンですはとてもシンプルで誰でもいつでも押すだけで楽しめるカメラ(レンズ付きフィルム)なのですが、こういった撮り方もできるということで紹介させていただきました(^_^)/
では最後に作例を。
今回、私のみでトライしたものに加えて、巷で話題(?)の「ホダホダ多重」(二人の『穂高』という名のフォトグラファーによるフィルムスワップ企画)による作例もここでいくつかご紹介したいと思います。そちらも打ち合わせなしのまったくのランダムな組み合わせになります。二人の穂高の個性がよく出ています(^_^)
【Hoda Sato プロフィール】
千葉県出身の写真家。2005年頃より展示活動や依頼による撮影等の活動を本格化。主な被写体は人物や街のスナップなど。2012年にポラロイドカメラ・SX-70と出会い、その世界に魅了され、それ以降ポラロイドによる作品制作を主流に活動する日々を送る。また最近はインスタレーション作品など、新たな表現方法を模索中。
Hoda Satoさんの作品は こちら でご覧になれます
Author: hodachrome / 山本穂高
岐阜県出身のカメラマン。2007年にロモグラフィーの代表格であるLomo LC-Aと出逢い、その魅力の虜となる。世界のロモグラファー・フォトグラファー達と研鑽を重ねながら、国内外を問わず写真展への参加、写真集・グッズ販売、写真講座・ワークショップ等、幅広く活動する日々を送る。
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