魅惑のハンドメイドフィルム:Revolog 創業者へのインタビュー

学校の卒業制作で取り組んだ「特殊効果フィルムを作る」というプロジェクトが、国際的なビジネスへと成長することを誰が想像していたでしょうか。Revologの創業者であるハンナ・プリビッツァーとミカエル・クレブスはまさにそれを体現した二人です。ウィーンを拠点にアナログ写真に情熱を注ぐフォトグラファーである二人が創業したフィルム会社、 Revolog 。ここまでの道のりを伺ってみました。

こんにちは!Revologを創業するまでの軌跡を教えてください!どこからそのようなアイディアが生まれたのですか?

ハンナ:写真学校の頃、私たちは学校を卒業するために学位取得プロジェクトに取り組む必要がありました。ミカエルは35mmのフィルムを扱うことにしていて、フィルムが速く「古ぼける」ようにするアイディアを思いつきました。私は熱心なアナログ写真家だった(依然としてそうです)ので、私は彼と組むことにしました。「古ぼけた」フィルムの定義がかなり広範囲だと思ったので、色の変化や構造的エフェクトのような、明確な特徴があるユニークな特殊効果フィルムを作成する方法に取り組み始めました。ありがたいことにこの実験的なフィルムは多くの人たち気に入られ、製品化しないのかよく聞かれるようになりました。そこで私たちはプロジェクトを更に一歩進めることにして、会社を設立しました。2010年のことでした。

アナログ写真を始めたきっかけは?また あなたにとってアナログの魅力とは?

ハンナ:私の父がお古のミノルタXG-1をくれたのが10代後半のことでした。アナログ写真はそれからです。プロセスの「緩慢さ」が好きです。それは素早く結果が得られない、撮影可能な枚数に限りがある、フィルムの特性(ISO感度やカラーかモノクロームか、スライドかネガか)による制限があるといったことです。アナログ写真は私に写真の基本を教えました、そして、自分用に写真を撮る場合は依然としてアナログで撮るのが好きです。商業的なプロジェクトの場合(顧客がアナログをリクエストするとき以外)はデジタルで撮ります。

ミカエル:私も父にもらったニコンF603でアナログ写真を始めました。15年ほど前、デジタル一眼レフがまだ高嶺の花だった頃です。私もすべてのプロセスを自分でやりたかったので、自室に暗室を作りました。正直言ってそれを使ったのはせいぜい5~8回ぐらいで、それ以外はラボに出しました。その後、暗室はネコにとっての憩いの場になりました。私自身のプロジェクトについてはほとんどフィルムでは撮りませんが、旅行に行く際はアナログカメラだけで撮ります。旅行では何百枚も撮らないし、よく考えてから撮るので、フィルムが向いています。

ウィーンはアナログ写真ファンの都市として知られていますが、Revologを始める時に何か苦労はありましたか?

私たちが会社を始めることが出来たのは、本当にラッキーでした。まず私たちはビジネスに関してはまったくの素人でしたが、多くの人々が援助を申し出てくれましたし、マーケティングやビジネスのアドバイスをくれました。また当初私たちは予算がなかったのにも関わらず、マーケティングに数千ユーロもつぎ込まず世界中の人々と繋がることができたのは、ソーシャルメディア(特にFacebookとTumblr)のおかげです。会社をスタートした当初から顧客のほとんどは海外からで、オーストリアは顧客全体のわずか5%ほどでした。

新しいエフェクトはどのように選び、そして作っていますか?

最初に私たちがどのような写真にしたいかアイデアを考えます。次にどうやったらそのエフェクトを作れるかの方法を見つけます。方法が見つかったと思えばすぐにテストフィルムの製作にかかります。エフェクトを高頻度で簡単に再現させられるかどうか、技術が本当に機能しているかどうかを確かめるために何本ものロールで撮り始めます。私たちは何が最も効果的かを見るために、常に2、3のバリエーションを試します。意外と一番難しいのはネーミングかもしれません。

今日のアナログ・フィルムの動きについてどう思われますか? また次の15年でどのように変わると思われますか?

デジタル写真時代に育った若い写真家の多くが、フィルム写真に興味を持っていると私たちは感じていて、とても嬉しく思います。本格的なフィルムカメラはフルフレーム一眼レフに比べて、本当に安く手に入れることが出来ますからね。しかし今後変化するであろうというのは、利用できるフィルムの種類だと思います。フィルムの種類が少なくなり、値段もさらに高くなると考えています。それでもなお、私たちは「フィルムは生き残っていく」と固く信じています。ニッチかもしれませんが、まだ多くの写真家やアーティストを魅了し続けています。一度アナログ写真に手を付けてしまうと、そこから離れることが出来なくなるほど魅力的ですから。

お気に入りの Revolog フィルムはありますか?

ハンナ:うーん、難しい質問ですね。あなたのお気に入りの子供は誰?みたいな。どうしてもというなら、多分 Kolor と Volvox、Rasp と 600nm と答えるしょう。一方ではその他のフィルムも本当に気に入っています。撮影する状況や時によって変わりますし。

ミカエル:ハンナが言っているように、何を撮りたいかによるね。お気に入りはどれかと聞かれたら、 Kolor 、600、Tesla 1 それと Streakだと答えるかな。

Kolor, 600nm and Tesla 1.

パーフェクトな写真、またはシャッターチャンスとは何でしょうか。

ハンナ:うーん、これも難しい質問ですね。私にとって写真とは、適切な時に適切な場所にいることです。だから私の答えはカメラにフィルムを詰めて適切な時と場所にいることだと思います。

ミカエル:私は演出された写真や抽象的な写真が好きです。自分のプロジェクトをやるときはまず構想を書くことから始めて、それからスタッフを集めます。「撮影する」時がピークなのではなくて、撮るのはプロセス全体のうちのほんの一部分でしかありません。なので、パーフェクトなシャッターチャンスというものは自分で創るものと思っています。

ハンドメイドフィルムの秘密を教えることができないと分かっていますが、今後の展望について教えて頂けますか?

しばらくの間、私たちは新しいエフェクトについて色々と試しています。それをここ数ヶ月の間にリリースしたいと思っています。長期的には中判フィルムにも私たちのエフェクトのいくつかを適用する方法を考え出したいです。これから2年の間でその技術を見つけることができることを願っています。お客様からよくある要望ですし、何より私たち自身が中判のRevologフィルムで撮影してみたいですからね!

*2016年に公開された記事です。

2016-07-23 #people bgaluppo の記事
翻訳 myrtus21

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