Lomo In-Depth: 現代における心霊写真とは?

子供の頃に屋根裏部屋や古い箪笥をこっそり覗いて、祖母や曾祖父、もしかしたら先祖の古い家族の写真を見つけた人もいるのではないでしょうか?その古い写真のなかには、不気味だったり不思議な白黒写真もあったかもしれません。

そんな写真を見て、純粋で好奇心旺盛な子供達は「これは心霊写真に違いない」と語り合うでしょう。面白がって、まるでそれが本物の幽霊であるかのように語り継いでいきます。その「心霊写真」にトリックがあるとも知らずに。

幽霊の存在を否定してガッカリさせようとしているのではありません。ただ「心霊写真」と呼ばれる写真はその昔、William Mumlerという名の男性によって実際にビジネスとして始められたものだったのです。

An image of Moses A. Dow, Editor of Waverley Magazine, with the spirit of Mabel Warren. from Wikimedia Commons

心霊写真とその歴史

19世紀後期、まだ写真は発明されたばかりで写真家の多くは立体写真と二重露光による実験撮影を行っていました。そのなかには、この技術を利益のために利用することを思いついた者もいます。「心霊写真」の先駆者といわれる、アメリカの写真家 William Mumler もその一人です。彼は有名な人や他界した親族の幻影を写すポートレートを撮影しました。肉眼では見ることのできない「霊魂」をカメラ(とりわけ「彼」のカメラ)なら写すことができると語り、お客さんを説得したようです。

彼のもっとも有名な写真の一つがこちらのAbraham Lincolnの「幽霊」と、その妻・Mary Todd Lincolnのポートレートです。

Picture of the ghost of Abraham Lincoln with Mary Lincoln by William H. Mumler from Wikimedia Commons

南北戦争により多くの命が失われた当時のアメリカでは、超自然的なものでも今は亡き愛する人と繋がる方法を誰もが探し求めていました。そのため、「心霊写真」はビジネスとしてブームを起こしたのです。 BBC はこのように言及しています。

Mumlerの死人(主に親族)をフィルムに写す撮影方法は瞬く間に人気となった。はじめ専門家たちはMumlerの心霊写真のトリックを見破ることができなかった。それがアマチュア写真家をプロに変貌させてしまったのだ。南北戦争で亡くなった多くの命と、愛する人たちとどうにか繋がりたいと願う強い想いを利用した、金儲けのためのビジネスによって。

当然、Mumlerのプロとしての技術にはすぐに批判の声が挙がるようになりました。彼はその後、Abraham LincolnとP.T. Barnumを写した心霊写真について詐欺罪で訴えられています。BarnumがMumlerに不利な証言をしたことにより、「心霊写真」の先駆者は失脚していったのです。

現代における「心霊写真」とはなにか?

現代では写真はずっと身近な技術になり、その仕組みも今では常識と呼べるほどに浸透しました。本気で「心霊写真」を信じている人も少なくなってしまったでしょう。それでも、信じる人々にとって心霊写真はどのような意味を持つのでしょうか?

from Wikimedia Commons

子供の頃のことを思い返してみてください。空想の物語やキャラクターを作って遊んだことはありませんか?想像力はどこまでも自由で、好きなように何でも本当だと信じることができました。大人になると目に見えるものしか信じられなくなり、空想することはできなくなります。

そしてもう昔のように「心霊写真」を本物だと一緒に騒ぎたてる仲間はおらず、それらは撮影方法による「なにかの間違い」や「偽造」、「偶然」と一蹴されてしまいます。しかし一方で、心霊写真にはMumlerすら重要視していなかったであろう、価値がありました。それは、写真を見た人の想像力を呼び覚ます力でした。

Mumlerは、人間はその生死に関わらず大切な誰かと常に繋がっていたいと願う性質があると気が付きました。もしも「心霊写真」を見つけたら、被写体と撮影者のストーリー、もしくはあなたと「心霊写真」とのストーリーに思いを馳せてみてはいかがでしょう?


あなたは心霊写真をどう考えますか?撮影や現像のときの誤操作、芸術家が創作した偽物、それとも…??コメント欄であなたの意見をきかせてください!

※掲載画像はパブリックドメインからの引用です。

2016-12-01 #culture Ciel Hernandez の記事

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