女性として、世界を旅することについて。
Share Tweet明日3月8日は 国際女性デー です。
今日はフォトグラファーの Kamila K Stanleyが自身が旅していて気づいたこと、そして実際の出来事から感じたことを綴ったマガジン記事を紹介します。この記事のオリジナルは www.lomography.com に2016年3月8日に掲載されたものです。
リンダ・マッカートニーやパティ・スミス、私の母や妹、そして私を写真家にしてくれた全ての女性たちについてお話しするのもいいですが、この記事は Marina Menegazzoと María José Coniの二人に捧げます。
女性が一人旅に出る理由は、たくさんあります。自分がちっぽけな存在だと知るため、成長するため、言葉を学ぶため、失恋から立ち直るため、世界の不条理をこの目で見るため、そして自分の人生を少しだけ変えるため。
世界のどこへ行っても、人々は優しく私を迎えてくれました。しかしそれと同時に、女性の一人旅に対する偏見も目の当たりにしました。
中国を旅した時はたくさんの人からじろじろ見られ、写真を撮られました。ヨーロッパでは道で野次を飛ばされたり酔っ払いに後をつけられ、通り道を変えなければいけませんでした。北米へ向かう飛行機の中では、私の隣に座ることを拒否した人もいました。南米で私は、女性が学校や職場、交通機関、バー、路上などあらゆる場所で昼も夜もハラスメントに悩まされ、怒っているという現実を知ることになりました。しかしだんだんと私はそんな世界に慣れ始めていました。
そして、一人旅をしているとよく言われる言葉がいくつかありました。
「両親はどうしてあなたに一人旅なんてさせてるの?」
「あなたの彼氏は何て言ってるの?」
「女の子の一人旅なんて危険だよ。」
「夜遅くにこんな所歩いてちゃダメだよ。」
こうしたお説教を聞くたびに、私は頭に血がのぼるような思いでした。自分が望むところへ行く自由や自立したいという願いが、女性であるというだけで無謀で生意気な選択だと思われるのです。好きな時に好きな人と行きたいところへ行くことは、誰もが持つ権利のはずです。
私は砂嵐の吹く砂漠も、美しい湖をかこむ山々も今までに旅してきました。旅から得た経験は、私が得たもので最も価値のあるものです。写真への情熱を深めさせ、それまでの私の価値観を変えてくれた人々に出会い、学校では学べないことをたくさん知りました。
一ヶ月前、Marina Menegazzoと María José Coniは故郷アルゼンチンのメンドーサを旅立ちました。(私自身もメンドーサへは数年前の夏に訪れました。)21歳と22歳の二人はペルーやエクアドルを回り、飛行機でサンティアゴへ戻り、バスで家へ戻るはずでした。(数年前の私は、疲れと興奮でドキドキしながら砂がたくさん詰まった靴のまま、彼女たちと同じバスに乗りこんだことを覚えています。)しかし二人が飛行機に乗ることも、このバスに乗ることもありませんでした。
その時エクアドルでは、モンタニタのビーチで黒いゴミ袋に包まれた二人の体が発見されました。数日前の夜、二人の男が彼女たちの後をつけレイプしようとしたのです。しかし彼女たちは抵抗し、殺されました。
南米のメディアは彼女たちが女の子だけで旅していたことを批判し、新聞やジャーナリストは彼女たちの計画した旅行プランやお金の使い方について様々な推測をしました。そして嘆き悲しむ両親たちのしつけを疑問視する声もあがりました。そんな中、アルゼンチンのジャーナリスト Mariana Sidotiが Twitterでこんなつぶやきをしました。
"彼女たちは大人の女性。法的にも成人していて、二人で旅行していたのに、女の子『だけ』ってどういうこと?何が足りないの?誰がいれば『だけ』じゃないの?二人が女性に生まれたばかりに、二人だけじゃ足りないってこと。『だけ』にならないために、いったい何が必要なんだと思う?"
María José と Marina。二人がいたということをこれからも語り継がなければいけません。そして私たちはこれからも自由な旅を続けるでしょう。荒れた道を歩き、異国の星の下で眠り、冷たい朝に山から昇る太陽の光を浴び、女性として、どこまでも遠くへ旅をします。潮の匂いのする髪を風になびかせながら、裸足で踊りつづけましょう。
彼女たちに敬意を表して。二人が今もどこかで旅を続けていることを信じています。
Kamila K Stanleyは イギリスとポーランドの写真家。彼女の作品はDazed & Confused や VICEで使用され、世界中で展示も行なっています。
全ての写真は Kamila K Stanleyの作品です。 彼女の ロモホーム や website 、 Facebook 、 Instagram もチェックしてみてください。
2017-03-07 #places Kamila Stanley の記事
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