B&W 100 Potsdam Kino Film:撮影と現像に関するアドバイス

現像やプリント、加工のプロセスもフィルム写真の魅力。今回は新しい Lomography B&W 100 Potsdam Kino Film を使う際のアドバイスをお話します。

Photo by Peter Bedrosian

ISO 400の Berlin Kino Film と同じく、Potsdam Kino Filmも映画用フィルムから作られた35mmモノクロフィルムです。20世紀初頭から映画界を支えてきたドイツの伝説的な映画用フィルム会社からロールフィルムを入手し、ロモグラフィーはこのフィルムを作りあげました。60年代のニュー・ジャーマン・シネマを彷彿とさせるクラシックな白と黒のトーンを楽しめます。

フィルムの感度は ISO 100となり、晴天時の撮影に適しています。細部まできれいに写したい場合にも活躍するでしょう。なめらかな粒子と絶妙なコントラストは、風景や建築、スタジオ撮影まで様々なシーンに適しています。リバーサル現像時にも優れたパフォーマンスを発揮します。

撮影

裸眼で見ることのできる周波数の光を捉えることに優れたフィルムです。 現実世界の色が様々なグレーのトーンに変換され、クラシックなモノクロの世界を作り上げます。撮影する時間帯や光の環境によって、写し出す色が変わってくるのも特徴です。トーンやコントラストを微調整したい場合はフィルターを使用しての撮影がおすすめです。風景やポートレートなど状況に合わせてフィルターを使いこなすことで、雰囲気がドラマチックに変化します。下記はテスターがフィルターを使用して撮影した写真です。風景には赤いフィルター、ポートレートには緑が合うようです。

使用したフィルターの色(上段左から順に):緑、赤、オレンジ、青
Photos by Yoann Leveque, INTOTHELOSTNIGHTS, Ida Tangeraas and Peter Bedrosian

Potsdam Kino Filmは様々な光環境に対応しているフィルムですが、蛍光灯下では色調範囲の不足を補うため少しオーバー目に撮影、もしくはフラッシュを使用してもいいでしょう。

Photos by Daniel Schaefer and INTOTHELOSTNIGHTS

現像

自分で撮影したネガを現像して、イメージを確認する瞬間はまるで魔法のよう。モノクロフィルムは 自家現像 がしやすいのも魅力的ですよね。

Kodak HC-110で現像

Kodak HC-110 は私たちがお気に入りの現像液です。低めのコントラストに美しいハイライトとシャドウ、ディティールの細やかさが特徴。また、フラットなイメージが好みの人におすすめの粒子感です。ディティールを保ち、広いラティチュードを得ることができるので、RAWファイルに等しいアナログなデータを残すことができます。

Kodak D-76で現像

業界のスタンダードとされている Kodak D-76Rodinal は、適度なコントラストと粒子感を保ちつつ比較的短い時間で現像することができます。

Ilford Ilfosol-3で現像

「神は細部に宿る」と言うように、とても奥深い現像の世界。滑らかな粒子感とシャープさを求めるのであれば Ilford Ilfosol-3 もおすすめです。色々試してみたいという方は、下記の現像液リストをぜひ参考にしてみてください。

  • Kodak HC-110 :1+11希釈 6分 (20°C)
  • Kodak D-76 :Stock 5.5分 (20°C)
  • Ilford Ilfosol 3 :1+9希釈 6分 (20°C)
  • Rodinal :1+25希釈 7分 (20°C)
  • Rodinal :1+50希釈 9.5分 (20°C)
  • Xtol :1+1希釈 7.5分 (20°C)
  • Eco Pro :1+1希釈 8分 (20°C)
  • Ilford ID-11 :1+1希釈 7分 (20°C)
  • Kodak HC-110 :G希釈 (1+125) 65分 (攪拌時間50%) (20°C)
  • Rodinal :1+100希釈 45〜70分 (攪拌時間50%) (20°C)
  • Rollei Black & White Reversal Kit :最初の現像1〜12分、2回目の現像は2〜10分
  • Ilford Ilfosol 3: 1+9 希釈 6分 (20°C)
  • Kodak HC-110: 1+11 希釈 6分 (20°C)
  • Kodak D-76: Stock 5.5分 (20°C)
  • Compard R09: 1+50 希釈 9.5分 (20°C)

現像プロセスにおいて、新鮮な薬品を乳剤に染みこませるための 攪拌 作業が大事なポイントとなります。コントラストや粒子のサイズなど、攪拌が写真にもたらす影響はとても大きいのです。色々と試してみたいとは思いますが、最初は現像液の製造元が推奨している方法を試すのが安全です。慣れてくれば自分の好みが分かるようになるでしょう。攪拌をするほど現像液に乳剤が染みこむためコントラストが強くなりますが、写真のクオリティが若干下がる原因にもなります。シャープさと細部のディティールを保ちたい場合は攪拌を少なめにすることが必要ですが、現像時間を少し長めにしなければいけません。また、回数を数えず乱雑に攪拌した場合は粒子が目立ちざらざらとした質感になるでしょう。アナログらしい質感が好きならいいかもしれません。滑らかな粒子感がお好みであれば丁寧に攪拌しましょう!

もっと実験的なことがしてみたい?そんな人にはユニークな結果を生み出す静止現像をおすすめします。適度なコントラストとソフトな粒子、かすんだ黒が特徴の現像方法です。

Kodak HC-110で現像(G希釈 65分、25分で攪拌1回)
Photo by Fauligi

さらに Potsdam Kino Filmは映画用フィルムから作られているので、プロジェクションしやすいようリバーサル現像にも適しています。私たちは Rollei 白黒リバーサル現像キット を使いました。

プリント

現像が済んだら次は暗室でプリントしてみましょう。写真とは「撮影」と「プリント」の2段階のことだと言う人もいます。

Photo by Tsutomu Umezawa

赤い光の中で印画紙にイメージが浮かび上がってくる瞬間は、感動的ですよね。印画紙やフィルターを変えるだけで、印象が大きく異なる仕上がりになりますよ。ネガのプリントには、特に Ilford Ilfosol-3がおすすめです。

画像加工

現像したネガを丁寧にスキャンすれば、Web上にデータをアップロードすることもできます。スキャンする際はネガを傷つけないよう気をつけましょう!

Photo by Ida Tangeraas

幅広いトーンと滑らかな粒子感が保たれているため、コントラストを上げたり、ハイライトを強くしたりと、デジタルで編集すれば微調整も自由自在。

左が未加工の画像
Photo by Ida Tangeraas

2019-01-24 #gear #ニュース sameder の記事

Lomography Potsdam Kino B&W 35 mm

映画用フィルムをもとにしたISO感度100の35mmモノクロフィルム

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