映画監督 伊月肇、LomoKinoで撮る

映画『-×- マイナス・カケル・マイナス』や『トビラを開くのは誰?』など、淡々と、しかし見る者に深く心情を想像させる繊細で感覚的なストーリーを叙情的に描く伊月肇監督。LomoKinoで撮影すると、どんな作品ができあがるのでしょう。インタビューと共にご覧ください!

名前 : 伊月肇
都市 : 東京
国 :JAPAN
ウェブサイト : http://mainasu-kakeru-mainasu.com/

簡単な自己紹介をお願いします。

映像関連の仕事をほそぼそとやっています

ロモグラフィーのカメラを以前にもご使用頂いたことはありますか?

ありません

映像に興味を持ち始めたきっかけは何でしたか?

映像というより、映画に興味に持ったのは中学2年生です。
テレビである映画をみて興味を持ちました。

LomoKinoを一言で表すと?

おもちゃ

今回LomoKinoで素敵な作品を製作して頂きましたが、この作品にはどんなテーマや思いが込められているのでしょうか?

テーマは「はじめて」です。「はじめて」の一瞬を描きたいと思いました。せっかくなので「LomoKino」の特性と作品のテーマをかけたいと考えました。
「LomoKino」はエジソンやリュミエールが世界で「はじめて」の映像を映しだした当時のカメラと同じような原始的なシンプルなカメラだと思います。

最新のカメラに比べると「LomoKino」は露出やピントなど、さまざまな部分で不安定な要素があります。でも、ぼくは逆にそれがこのカメラの長所だと感じました。そういった原始的な不安定なアナログ感を大切にして、作品を創りたいと思いました。

短いLomoKino動画であるにも関わらず、登場人物の関係やその後などまで本当に色々なことを想像してしまいました。監督作品『-×- マイナス・カケル・マイナス』や『トビラを開くのは誰?』でも、見る者に深く心情を想像させるストーリーを描かれていますよね。
我々がLomoKinoで撮影しても楽しい等単純なことを吹き込むのがやっとです!
映像に感情を吹き込む為には、何かコツがあるのでしょうか?

コツはぼくも知りたいです(笑)
ただ一つ言える事は、映画では言葉より、表情や行為にぼくは魅力を感じています。

作品のストーリーを考える時、アイデアはどんな所から生まれてくるのでしょう? 普段制作されている長編と、LomoKinoのような短編と構成の仕方は異なりますか?

アイデアは普段、ふつうに生活している時に浮かんできます。それをメモしてあとで膨らませていくことが多いです。誰かと話している時や映画を観ている時などです。あと、深夜のマクドナルドやファミレスに一人でいる時です。

僕の場合、長編と短編では構成の仕方は違います。短編はひとつのアイデアで勝負できますが、長編はそうはいかない。長編作品を物語ることの難しさをいつも痛感しています。

今回アナログカメラでいつもとは違った撮影方法を行った経験を経て、何か新しいアイデアが生まれましたか?

アイデアというより反省です。それを次回に活かします。

これからLomoKinoでチャレンジしたい映像作品はどんなものでしょうか?

PVを撮りたいです。

Cast : 篠田諒 , 桃子

「Eternal Moment」では映画館というLomoKinoでは難しい暗い場所でご撮影されていますね。暗がりだからこそ現れるアナログならではの粒子の海にぼんやりとかつ印象的に描かれた2人の姿に甘酸っぱい気持ちで見入ってしまいました。ライティングや撮影方法などはどのようにされていたのでしょうか。

撮影方法はすごくシンプルで機材も必要最低限のものしか用意しませんでした。今回はほんとうに挑戦というか、無謀だったんです。細かいところはまあいいかと。でもそういうところは気にせず楽しもうとやりました。

撮影していて、印象的な出来事や、こだわった点があればお聞かせください。

少年を演じてくれた篠田諒くん、少女を演じてくれた桃子さんの芝居がやればやるほど、どんどんよくなっていくのが印象的でした。

LomoKinoで作品を作る上で、参考になるアドバイス等はありますか?

LomoKinoならではのアナログな予想不可能なことを楽しむ。

最後にLomoKinoをこれから使ってみようという方に何かメッセージをお願いします!(告知もあればどうぞ!)

LomoKinoを使って本気で遊んで下さい!


インタビュー中に登場した伊月監督の作品:

『-×- マイナス・カケル・マイナス』
(2011年公開/京都シネマにて 2012年7月28日(土)~上映)
第45回ヒューストン国際映画祭 長編デビュー部門にて審査員特別賞受賞、ローマ国際映画祭正式招待作品

2003年、イラク戦争開戦前夜。舞台はかつて「人類の進歩と調和」が謳われた万国博覧会の象徴・太陽の塔がそびえ立つ大阪の町の一角。ラジオの音声がやっとかすめる小さな公園で、タクシードライバーと女子中学生の日常が交差し始める。彼らは今まさに、始まろうとしている異国の戦争を思い描くことはおろか、目の前のささやかな日常さえどうにもできずにいた…。これは大阪郊外で暮らす小さき者の「喪失と希望」の物語。出会うはずのなかった人と人。それぞれに痛みを抱えた人生がいま、ひとつの町の片隅で交差する!

Official site

『トビラを開くのは誰?』
(2011年公開) 第36回香港国際映画祭 短編コンペティション部門正式招待作品
東京国際映画祭の運営で知られる公益財団法人ユニジャパンの「人材育成プロジェクト」によって集められた、 10のショートフィルムNO NAME FILMS参加作品。
少年のゆれる心情と、幻想的な世界が、鮮やかにシンクロしてゆく。母と病院へ向かうバスに乗る10歳の少年「光」。退屈しのぎに風船で遊ぶ光は、車内で不思議な体験をする。そんな光が病院に到着して見たものは?「この世」と「あの世」の狭間に生じる関係性の歪みを、物語の魅力に変換していく巧みな演出が秀逸。

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2012-07-19 #people #lomoamigo kyonn の記事

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