『ダゲレオタイプ』にまつわる19世紀当時の人々の苦労話

1839年にルイ・ジャック・マンデ・ダゲールがダゲレオタイプ(銀板写真)を公表した時、写真は誕生したとされています。ダゲールは親戚のアルフォンス・ジルーの協力を得て、世界初の市販カメラ「ジルー・ダゲレオタイプカメラ」を発売し、世界のカメラに多大な影響を与えました。では実際、19世紀当時のフォトグラファーはどのように撮影していたのでしょうか。

2010年にオークションに出品された「ジルー・ダゲレオタイプカメラ」とPeter Coeln氏(WestLicht Photographica Auction ViennaのCEO) 。 Image by Westlicht Auctions.

木箱に銀板を設置し撮影していたジルー・ダゲレオタイプ。そのカメラにはチャールズ・シュヴァリエによって発明された世界初の光学レンズ・アクロマートレンズ(色消しレンズ)が搭載されており、それは2枚構成の380mmレンズ(直径8.8cm、F/4)と精密に計算された望遠レンズでした。このレンズは収差による現象が巧妙に設計されており、優美で柔らかな像を写し撮ることが可能になりました。

ダゲレオタイプカメラで撮影された男性のポートレイト. Via Wikimedia Commons

初期のダゲレオタイプの中心には、光を通さないように黒いビロードで裏張りをつけられた木製の暗箱、カメラオブスキュラが設置されていました。そしてそのカメラの背後には磨かれたピントグラスがありました。さらに現像する際は銀板を水銀蒸気にあてなければならないなど、撮影から現像までの過程において多くの機材が必要でした。

(1) ダゲレオタイプに使用された器具と機材(1843年の広告). Via Photo History Sussex (2) ダゲレオタイプの横断面 via http://vntradvard.se/

また撮影(露光)時には、銀板をカメラの中に入れ、レンズキャップは外した後、被写体は10~30分の間動かずにジッとしている必要がありました。こうなると自分の筋力だけでは動かずにいることは難しく、頭を支える器具など新しい機材が必要となりました。当時、笑顔の写真が撮られていないのはそのためです。(笑顔を作るのにも結構筋力がいりますよね!)

via Wikimedia Commons

そしてなんと当時三脚はなく、持ち運べる机の上にカメラを設置し撮影していました。
つまり撮影の度に合わせて50㎏近くある機材を持ち運ばなければならず、当時のフォトグラファーはとてつもなく大変な思いをしていたことがわかります。同時に撮影される人も辛抱しなくてはなりませんでしたから、

「一眼レフは大きいから持ち運ぶのが大変!」「はやく撮ってよ!」とは少し言いづらくなりましたでしょうか。

そこからさらに進歩したカメラの技術に改めて感激し、一枚一枚に想いを込めてとる大切さを少し思い出して頂ければ幸いです。


Daguerreotype Achromat Art Lens — 長い間忘れられていた写真黎明期のカメラが写し出す幻想的で優美な写真が、現代によみがえる!写真技術が生み出された19世紀のロマンチシズム、そして当時の絵画に見られる美学。そんな古き良き時代のエッセンスを真鍮製のレンズに詰め込み、21世紀のカメラに対応する形に設計されました。シルクのように柔らかくて美しい写り、クリスタルのようにシャープでキレのある写りの両方を導き出すこのレンズに、Lumière (ルミエール) とAquarelle (アクエール)というユニークな絞りプレートが今回新たに加わります。Canon EFマウント、もしくはNikon Fマウントのレンズマウントから選択でき、一本一本のレンズがハンドメイドのプレミアムレンズです。そんな Daguerreotype Achromat Art Lens が、Lomography Art Lensシリーズに新たに加わりました。
Lomography Daguerreotype Achromat 2.9/64 Art Lens 製品情報

クラウドファンディング・プラットフォーム MotionGalleryでこのレンズが発売日前に魅力的な価格で手に入るクラウドファンディングプロジェクトを開始しています!多くのご支援・ご声援、誠にありがとうございます。プロジェクトは5月17日(火)までとなっております!引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
MotionGallery 「19世紀にタイムスリップ!ダゲレオタイプのレンズを復刻: Daguerreotype Achromat Art Lens Daguerreotype Achromat Art Lens」


この記事の出典先: http://www.photohistory-sussex.co.uk/, http://www.daguerreobase.org/ 、 “A History of the Photographic Lens” (著者:Rudolph Kingslake。出版:Academic Press in San Diego)

2016-05-02 #ニュース #gear #lifestyle
翻訳 ciaoannacotta

Daguerreotype Achromat 2.9/64 Art Lens

Daguerreotype Achromat 2.9/64 Art Lensがあれば、シャープなイメージ、ソフトフォーカスの両方が一本のレンズで撮影できます!挿入する絞りプレートによってボケの発色、質感をコントロール可能。表現の可能性が無限大に広がる魔法のような一台です。

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