フィルムで撮るポートレート:Duran Levinsonへのインタビュー

アフリカとアジアの双方の文化にインスピレーションを受けた、ケープタウンを拠点とする写真家 Duran Levinson 。今日は彼がファッションとドキュメンタリーの二分野にわたるアナログ写真家としてのキャリアの歴史を明かしてくれました!

今日のインタビューではファッション写真のスタイルや、どのようにルワンダの社会風景が写真家、そして旅人としてのDuranの考え方やスタイルに影響を与えたのか探っていきます。

© Duran Levinson

こんにちは、Duran!ロモグラフィーのマガジンへようこそ。まずはじめに、フィルム写真をはじめたきっかけを教えて頂けますか?

こんにちは、今回はこのような機会を頂き有難うございます。私が写真を始めたのは3年ほど前のことで、映画学校を卒業後に2年間、映画業界で働いていた頃でした。私はシネマトグラフィーを専攻して、南アフリカでフリーランスの仕事をしていました。休みの日には35㎜カメラで写真を撮影していました。映画学校で16㎜フィルムや35mmフィルムを扱うようになって、私は再びフィルムの撮影や現像のプロセスを楽しむようになったんです。そのプロセスはワクワクすると同時にストレスフルでもありますが、現像されたフィルムを手にしたときには大きな喜びに変わります。ここ2年間、私は自分の創造力を発揮する主な手段としてフィルム写真を活用しています。

© Duran Levinson

ファッションポートレートや旅行写真のお仕事が多いですよね。普段のファッションポートレートには何を求めていますか?

ファッションポートレートを始めたのはアジア、特に香港を旅行しているときでした。ポートレートは私がもっとも興味を惹かれる写真分野の一つだと思います。旅行中は現地で興味を惹かれるモデルを見つけて、彼らにとって自然な環境、なおかつ私がそれまで一度も訪れたことの無いロケーションで撮影するようにしているんです。旅行中に撮影するときには、すべてをありのままに保つことが私にとって重要な部分であり、それが一種のスタイルに発展していくのだと思います。

© Duran Levinson

あなたの旅行写真は「ドキュメンタリー」の要素も含んでいますね。旅行写真家の作品の多くは風景や建物だからです。旅行写真における最終目標はなんでしょうか?

旅行中はいつもカメラを持ち歩いているので、ストリートフォトグラファーともいえるかもしれません。

© Duran Levinson

ルワンダのシリーズはほとんどフォトエッセイですね。このシリーズについて簡単に説明していただけますか?このようなデリケートなテーマをドキュメントしてみてどうでしたか?

ルワンダのフォトエッセイ『Indivisible(割り切れない)』は2015年の7月に撮影されました。たった21年前に大量虐殺が起こった国を人生で一度は訪れてみたかったんです。そこは現在は発達していて過去の傷は癒され、素晴らしい場所になっていました。これほど短期間で回復し成長を遂げた国として、アフリカだけでなく世界中の良い例になると思います。

ルワンダへ招待されたときには躊躇なく行くと決めました。そして2週間後、私はそこに向っていました。数週間、ほとんど目的もなく国内を旅行して回っていました。単純に見て面白いと思ったものをカメラで撮影していたんです。旅の終わりには、道中の体験を1日かけて文章にまとめました。それが最終的にプロジェクトに添えたエッセイになりました。私のホームページではプロジェクトの全体像をご覧いただくことができます。

© Duran Levinson

35㎜カメラやコンパクトカメラを使っているとのことでしたが、どのイメージも驚くほど綺麗ですね!35㎜フィルムをスキャンする時のコツはありますか?

フィルム撮影をしていた3年間の間に、私は高性能のコンパクトカメラでの撮影に夢中になりました。旅行中にたくさんの機材を持ち歩くのは嫌いで、なるべく身軽なほうが好きなんです。

ルワンダでは主にLeica Miniluxで撮影していました。去年、カメラをほとんど捨ててContaxのカメラだけ残したんです。良いレンズをつけたときのT2の写りがとても気に入っています。普段はT2と新しく入手したレンジファインダーのContax G2に28mmレンズをつけて使っています。この2つのカメラとOlympus MJU IIなどのコンパクトカメラがいくつかあれば、必要なイメージは何でも撮れると感じています。

© Duran Levinson

スキャンについては、いつも最良の場所で行うようにしています。フィルムは色んなものを試すのが好きですが、いつもはAgfa Vista 200Kodak Porta 400 を使っています。

私はコントラストの調整や色調補正をしていない高解像度のJpegデータをスキャンします。普段はそれから、好みの明暗になるようにLightroomを使って写真を修正しています。次にウェブや印刷に適した解像度でエクスポートします。Imaconスキャナーを使ってTiffイメージをスキャンすることもあります。このようなスキャンではエクスポートする前にネガや色を修正します。高品質のスキャンを行うことで、将来の展覧会にも備えることができるんです。

© Duran Levinson

作品の着想はどこから得ていますか?

いつも映画や好きな映画監督、写真家からインスピレーションをもらっています。私の作品に影響を与えた人物トップ5をご紹介しましょう。まずは香港の映画監督の ウォン・カーウァイ 、それに幸運にも最近会う機会に恵まれた南アフリカの写真家 ロジャー・バレン

ギャスパー・ノエ は『エンター・ザ・ボイド』や『LOVE』のような信じられないほど不穏で美しい映画を撮影したアルゼンチンの映画監督です。 アレハンドロ・ホドロフスキー は『ホーリー・マウンテン』や『エル・トポ』を監督しました。

ユルゲン・シャーデベルグ はもっともすばらしい写真家の一人だと思います。彼の作品からはたくさんのインスピレーションをもらいました。彼を知らない人には、いつもおすすめしています。

© Duran Levinson

写真家としてより良い作品を作り続けるために努力していることはありますか?

インスピレーションを求め続けるのが私のルーチンだと思います。たまに数週間仕事がなくて落ち込むこともありますが、逆に忙しすぎて写真に集中できないこともあります。フリーランサーとしてバランスを考えながら、仕事と情熱に時間を割いています。私が一番インスピレーションをもらうのは、新しい国を訪れたときなんです。旅行、特にアジアへの旅は、写真家として成長する手助けをしてくれました。今まで訪れたことのない国で新しいプロジェクトを始める時は本当にやる気が出てきます。


写真家としての仕事以外にも、Duranは自主製作の写真本やフィルムカメラ、彼の持っている写真の販売も行っています。

彼の作品をもっと見たい方はホームページInstagram もチェックしてみてください!掲載画像はすべてDuran Levinsonの許可を得て掲載しています。

2017-02-15 #people Ciel Hernandez の記事

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