冬の木々に魅せられて

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葉が落ちて枝の形があらわになった冬の木々…、冬の寒さや物哀しさを感じさせるシンボリックな光景のひとつですが、皆さんは写真に撮ったりしますか?色が乏しく素材としては難しいのですが、アイデアや技術、そしてロモグラフィーの個性的なフィルムを駆使することで面白い写真を撮ることができます。今回はそれらを紹介していきたいと思います。

春には花を咲かせ、その後鮮やかな新緑を迎え、やがて秋には紅葉に染まるなど、木々は四季折々の魅力的な姿を見せてくれます。では冬はといえば、葉がすっかり落ち(落ちないものもあるけど)、枝の形がむき出しになり、寂しそうで無機質で冷たい表情となります。

なかなか被写体としては難しいのですが、私は写真のテーマとしてこれまで多く取り入れてきました。アイデア勝負で写真を撮ってきた私にとってはまさに腕が試されるところですが、様々なシーンやアイデア、技術、そしてロモグラフィーの個性的なフィルムや現像方法を駆使することでこれら冬の木々は面白いものへと変貌します。

その撮り方をシーンや撮り方等に分けて紹介していきます。

まずは、シングルショット(多重露光でない写真)より。

①夕日・朝日・霧で抒情的に
夕日や朝日を浴びて照らし出される冬の木々はとてもダイナミックで抒情的なものになります。冬の朝日・夕日は空気が澄んでいてとても美しく、冬の木々と組み合わせることで季節感も加わります。また、霧が出ているときに組み合わせるととても幻想的になります。

朝日を逆光で。抒情的な絵になる。
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム:自作レッドスケール(ネガ現像)
濃い霧の中で撮影。幻想さがでる。
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム:自作レッドスケール(ネガ現像)

②雪や樹氷で豪快な自然を表現する
冬といえば雪。雪の積もった木々や、雪景色と組み合わせることでそれだけで絵になります。また、樹氷に覆われた木々も抜群の美しさを見せてくれます。

雪深い高原にて。木がアクセントになる。
カメラ: Lomo LC-Wide /フィルム: Kodak Ektar100 (ネガ現像)
激しい雪の降る夜に撮影。ストロボ発光で降雪を写し止めた。
カメラ: Lomo LC-A /フィルム: Kodak EBX(クロス現像)

▶︎ 「夜の世界を幻想的に写し取る」

標高の高い山で樹氷を撮影。
カメラ: Holga/フィルム: Kodak Portra800(ネガ現像)

以下、多重露光に冬の木々を取り入れる場合のTipsです。

③枯れ木に花を咲かせる系
hodachromeの定番ともいえる多重。木々をシルエットで捉え、そのシャドー部に明るい色の花を重ねる撮り方です。フィルム選択や現像方法によっても個性的な表現ができます。冬は花が咲いてない?それなら「セルフフィルムスワップ」で事前に撮りためておきましょう!

▶︎ 「セルフフィルムスワップ」の方法
▶︎ 「花と重ねて撮ろう」

コスモスの花と落葉した柿の木との多重。
カメラ: Holga /フィルム: Kodak E100VS(クロス現像)
ツツジとの多重。下から見上げてシャドー部を多く確保。
カメラ: Lomo LC-Wide /フィルム: Kodak EBX(クロス現像)
葉牡丹との多重。下に地面部分を多く入れることでシャドー部を確保。
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム: Fuji Velvia100(クロス現像)

④スプリッツァーを使った空中浮遊系
ロモグラファー、 LC-A+ ユーザーの必携アイテム「スプリッツァー」を使った空中浮遊系多重です。宙に浮かんだような、または上と下から浮かび上がるような不思議な写真を創り上げてみましょう。

▶︎ 「スプリッツァーをうまく使ってロモグラフィーをもっと楽しもう」

スプリッツァーを使用し中央を起点に上下に木々が伸びる多重。
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム: Kodak EBX(クロス現像)
スプリッツァーを使用し画面上と下から木々が伸びる多重。
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム: 自作レッドスケール(ネガ現像)
スプリッツァー代わりに黒い手袋を使用し中央を起点に上下に木々が伸びる多重。木はそれぞれ二回「ちょいブラ多重」。
カメラ: Canon EOS7/フィルム: Lomography CN100 (ネガ現像)

▶︎ 「ちょっとブラして多重撮影(ちょいブラ)のススメ」

⑤人物と重ねる
冬の木々と人物を組み合わせてみるのもありです。人物と冬の木々が重なり合うことで写真に物語が生まれてきます。最近多用している撮り方です。

同じ構図で一回は人物あり、もう一回は人物なしの多重(ゴーストショット)。
カメラ: Canon EOS7/フィルム: Lomography Earl Grey100 (白黒現像)

▶︎ 「人物が透ける!ゴーストショット(GS)の撮り方)

一回目に木々(上下逆さま)、二回目に場所を変えポートレート撮影。木々の形と人物がうまく融合した。
カメラ: Canon EOS7/フィルム: Lomography CN100 (ネガ現像)

⑥SF的なチャレンジ
一歩進んで、さらに不思議系の世界へと人々をイザナウ撮り方。斬新なアイデアやフィルム選択等が大事になってきます。

木をタテで撮りその後トンネル内でセルフタイマーで自撮り。異次元的空間が生まれた。
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム: LomoChrome Turquoise XR100-400(ネガ現像)
木々を撮った後墓地を重ねた。SF的というより怪奇的?
カメラ: Lomo LC-A+ /フィルム: 自作レッドスケール(ネガ現像)

⑦フィルム両面露光(EBS)
難易度高めの「フィルム両面露光」を冬の木々にも取り入れてみるのもあり。そこに人物を配してみたりアイデアはいろいろ。

▶︎ 「Exposing Both Side of the Film (EBS)」によるシンメトリー写真の撮り方」

下半分をフィルムオモテ面で撮った後フィルムを裏返して上半分を撮影。青と赤の面白い対比が生まれた。
カメラ: Lomo LC-A+/フィルム: Lomography CN800 (ネガ現像)
右半分をフィルムオモテ面で撮った後フィルムを裏返して左半分を撮影。両方に人物を入れ不思議な世界を創ってみた。
カメラ: Canon EOS7/フィルム: Fuji Superia400(ネガ現像)

⑧その他(フィルムスープ・光カブリetc)
色味が乏しい冬の木々に「フィルムスープ」というかなりサイケデリックな技法を取り入れて彩色するという手もあり。また、予期せぬ光カブリによる幻想的な効果も面白い。

▶︎ 「フィルムを調理しよう!フィルムスープの方法」

木を撮った後湖の湖面の反射を撮影、その後フィルムスープ処理。化学変化によりサイケな色・模様が現れた。
カメラ: Lomo LC-A+/フィルム: Lomography CN100(ネガ現像)
吹雪の中で木を撮った後、カメラの蓋を意図的に開けて感光させた。カラーバランスが乱れ面白い効果を生んだ。
カメラ: Canon EOS7/フィルム: Lomography CN100(ネガ現像)

以上です。春になり、木々に葉が生い茂る前にぜひこれらを試してみてはいかが?皆さんもぜひ冬の木々で面白い写真作りにチャレンジしてみてくださーい♪
Enjoy your winter photography!


Author: hodachrome山本穂高
岐阜県出身のカメラマン。2007年にロモグラフィーの代表格であるLomo LC-Aと出逢い、その魅力の虜となる。世界のロモグラファー・フォトグラファー達と研鑽を重ねながら、国内外を問わず写真展への参加、写真集・グッズ販売、写真講座・ワークショップ等、幅広く活動する日々を送る。

2018-02-19 #チュートリアル #lc-a #mx #lomo-lc-a #lc-a # #hodachrome hodachrome の記事

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