【テクニック記事】予期せぬアクシデントを楽しもう

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フィルムカメラを使っていると思わぬアクシデントに見舞われることがありますよね。光カブリ、コマずれ、傷、感度劣化など。それらはせっかくの写真を損なう困ったものですが、一方でフィルムでしか味わえない魅力であったりもします。今回はテクニックではなくてそんなフィルム写真の思わぬ魅力について紹介していきます。

1. 光カブリ

アクシデントの代表的なものといえば光カブリ、全面に感光してしまえば終わりですが部分的に現れるカブリは時に写真を魅力的なものにしてくれます。いくつか種類がありますので紹介します。

・蓋パッカーンによるカブリ

撮影途中でカメラの裏蓋が開いてしまったことによる光カブリ。誰もが一度はやったことがあるという悲劇ですがこれがもたらす奇跡もたまにあります。

イギリスの展望台での多重ショット。カメラを落とし豪快にカブったがそれもいい効果となった(フィルム:レッドスケール)
雪深い冬の森でのショット。カブったことで色味が増え思わぬ個性的な写真となった(フィルム: Lomography Color Negative100

・フィルム詰め替え(自作レスケ・フィルム両面露光等)によるランダムなカブリ

フィルムを他のパトローネやカメラに移し替えることで生じる意図しない光カブリ。自分はフィルムを裏返してレッドスケールフィルムを作る際にときどき豪快にカブりました。
参考記事▶︎ 「レッドスケールフィルムの作り方」

夕暮れ時の赤い世界に青い光が差し込み神秘的な雰囲気に
牧場での何気ないスナップだがフィルムのパーフォレーションの跡がくっきりと写り込み不思議な雰囲気に

・フィルム先頭のカブリ

フィルム一枚目が部分的にカブってしまうことは誰しも一度は経験あるはず。それがなんとなくいい味となって現れることがあります。

コスモスを撮った何気ないショットもカブりでアナログ感満載に(フィルム:Lomography Sunset Strip)
こちらは山里で撮った桜。メインの被写体を損ねないナイスアシスト(フィルム:Kodak EBX)

・HolgaやDianaによる蓋からの感光

Holgaや Dianaシリーズ のようなじゃっかん作りのチープなカメラは、裏蓋からの感光でカブることがあります。それも含めて作品と思えばヘコむことはありません(ヘコんだことも数え切れませんが…)。

Holgaによるカブり。ブローニーフィルムの裏紙の印字が焼き込まれるのが味わい(?)
Diana F+ によるカブり。蓋がじゃっかんユルめなので端からカブることあり

2. コマずれ

続いてのフィルム特有のアクシデントはフレームとフレームの間のズレ(コマずれ)です。これもロモグラファーなら何度か経験があるはず。私のような多重露光好きにはこれで何度も痛い目にあっていますが、これすら時に名作を生むことがあります。

・カメラの巻き上げ不良によるコマずれ

Lomo LC-A+ 等手動で巻き上げるカメラでは、フィルムのパーフォレーションの噛み合わせ不良等により巻き上げがうまくいかずコマが部分的に重なってしまうことがあります。これにより時に写真の神様が思わぬ味方をしてくれることがあります。

予期せぬ巻き上げ不良により4コマが部分的に重なった例。パノラマ比率で取り込んだら何とも壮大な絵に(フィルム:レッドスケール)
こちらも巻き上げ不良によりつながった3コマ。それぞれの題材が意味を持つかのように共鳴し合っています(フィルム:Fuji Velvia100)

・フィルムスワップによるコマのずれ

他のユーザーと「フィルムスワップ」を試みる場合、コマのズレが生じることがあります。ランダムな結果を楽しむ意味合いの強いフィルムスワップではそんなコマのズレも楽しみの一つといえます。
参考記事▶︎ 「セルフフィルムスワップの方法」

@kennichiとのフィルムスワップによる予期せぬコマずれ。コマがずれたとこで偶然いい配置となった(フィルム:Kodak EBX)

3. 勘ちがいによるアクシデント多重

フィルム装填まちがえやうっかりミスによるアクシデント多重露光。これもときに予想外の結果につながる。

上半分がフィルムオモテ面(イギリスにて)、下半分がフィルム裏面(日本にて)。裏面を他のフィルムと勘ちがいして撮り続けたことで予期せぬ結果に(フィルム: Lomography Color Negative800

④期限切れ、傷、熱、湿度による退色、感度劣化

期限切れフィルムやその他フィルム特有の化学変化による思わぬアクシデントも時に面白い写真を生むことがあります。これらはもはや確信犯的なものともいえますが…。
参考記事▶︎ 「期限切れフィルム、その魅力と特徴にせまる」

期限超過13年のフィルムで撮ったため色褪せザラついた結果に。わざと使っているのでダメもとぐらいで楽しむのがよい(フィルム:Konica Centuria100)
同じく期限切れ数年のフィルムにて。被写体やモデルなどを考えあえて使ってみたところいい味わいが出た(フィルム:Konica Centuria100)

いかがでしたか?フィルム写真の楽しみ方は予想外のアクシデントも含めて実にさまざまです。皆さんもフィルムならではの愛すべきアクシデントをぜひ楽しんでください。

最後に、アクシデントに満ちた他の写真をお見せします♪
Enjoy your analogue life!


Author: hodachrome山本穂高
岐阜県出身のカメラマン。2007年にトイカメラの代表格であるLomo LC-Aと出逢い、その魅力の虜となる。世界のロモグラファー・フォトグラファー達と研鑽を重ねながら、国内外を問わず写真展への参加、写真集・グッズ販売、写真講座・ワークショップ等、幅広く活動する日々を送る。

2018-07-26 hodachrome の記事

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2 Comment

  1. metaluna
    metaluna ·

    Great read. Thanks

  2. antigen
    antigen ·

    !!

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