Fantôme Kino B&W ISO 8 と Babylon Kino B&W ISO 13の第一印象:Photo depot 彩色兼美

無類の写真好きのスタッフさんが運営する写真ラボ Photo depot 彩色兼美さん に、新しくKinoフィルムシリーズに仲間入りした Fantôme Kino B&W ISO 8 (ファントムキノフィルム)Babylon Kino B&W ISO 13(バビロンキノフィルム) を撮り比べていただきました。使用機材から現像までヒントが盛りだくさんのインタビューは必見です!

©️Saisyokukenbi with Babylon Kino BW ISO 13

── 今回使用したカメラや撮影場所について教えてください。

使用カメラ:Canon A-1
使用レンズ:NewFD 50㎜f1.4/35-70㎜f4
撮影場所 :物撮り→室内 スタジオ撮影(マニュアルモード撮影/三脚使用)
      スナップ→日中屋外 都立光ヶ丘公園(プログラムモード撮影/手持ち)

── それぞれどのようなフィルムだと思いますか?

Fantôme Kino B&W ISO 8
何を撮影してもアートな作品になります。撮りたいと思うもの全てがアートです!ハイコントラストでエッジの効いたフィルム。昔のベースの固いモノクロポジの様な質感。兎にも角にもコントラストが際立ちます。
硬さを感じる素材はより硬く、柔らかい素材はまるで別物のように表現される印象です。普通に撮影するだけでポスタリゼーション風のアートな作品が生まれます。エッジが効きすぎるので常に被写体に対して背景が煩くならないように気を配ると、より良い結果が得られます。露出のシビアさはポジ並みですので撮影時に段階露光するのもおすすめです。

©️Saisyokukenbi 左(1枚目)から露出1段ずつ アンダー/標準/オーバー

Babylon Kino BW ISO 13
被写体を自然に強調来ます。シャドーやハイライトは少し強くメリハリがあるものの、中間の階調は自然な感じに出てくれます。嫌味なく被写体を浮き上がらせてくれて、キメが細かく使いやすいフィルムです。ラティチュードの許容範囲も比較的広いですね。そのため、焼き込みで仕上がりの表現の幅は広げやすく、暗室作業においても使い勝手が良いフィルムです。

©️Saisyokukenbi 左(1枚目)から露出1段ずつ アンダー/標準/オーバー

── 現像のプロセスについて教えていただけますか?

どちらのフィルムもEarl Gray B&W ISO 100 と同じように通常通り現像しました。現像液はILFORD MICROPHEN (原液使用) を使い、液温23℃で8分。停止はFUJIFILM 酢酸で23℃で50秒。定着はFUJIFILM FIXで23℃、11分。流水は水道水で10分にて行いました。プリントとデータ取り込みはミニラボ機、FUJIFILM FRONTIER 340Eを使用しました。

お店の方へ:ISO 8はフィルムのベースが通常のスチール用フィルムと著しく異なるので、FRONTIERのオートネガキャリアでは認識できなかったので、マニュアルネガキャリアにて対応可能となります。ISO 13はフィルム送りを定量送りにてオートネガキャリアでの使用は可能。お店でプリント&データ作成の場合の参考にして下さい。

お店に現像を出す場合は、納期や料金が通常とは異なる場合がありますので、必ずお店と相談して下さいね。
(彩色兼美さんではKinoフィルムシリーズも現像可能です!参考記事▶︎ロモグラフィーのフィルムはどこで現像してくれるの? ※随時更新予定)

©️Saisyokukenbi 左(1枚目から)ISO 8 / ISO 13 / ISO 100 ※いずれも同じ方法・現像時間にて現像

── 撮影や現像のコツはありますか?

両方とも類を見ない低感度のフィルム。油断すると露出不足で残念な結果になってしまいますので、その意味では難しいフィルムです。しかし、他では得られない作品を喜びと共に与えてくれる事も事実です。表現の幅の広がりを考えますと、低感度まで対応している一眼レフカメラ&f値の明るいレンズを使用しての撮影が基本ですね。光量の少ない所では三脚を積極的に使い、ブレ対策が必要です。

── このフィルムで使ってみたいカメラはありますか?

Lomographyアートレンズシリーズ も、ぐるぐるボケなど通常と違った結果が出ますので試したい機材ですね。また、フラッシュを使うことでさらにコントラストを味方につけられます。LC-A+Diana mini にフラッシュを付けて楽しみましょう!

©️Saisyokukenbi with Fantôme Kino BW ISO 8

個人的に使いたいカメラは、ロモグラフィーのパノラマカメラ HORIZONですね。普通のフィルムでもハッキリ硬めに、そして写る世界を湾曲しながらも独特に纏めてくれる。デジタルには不可能な本物のパノラマカメラです。感度設定は出来ませんが、日中屋外なら大丈夫。Fantôme Kino B&W ISO 8 は伝えたい被写体を強調してさらに硬く焼き付け、Babylon Kino BW ISO 13 は画面に空気を流しながらも被写体を強調してくれることでしょう。

気軽に撮るならHorizon Kompakt。三脚は使えませんが、しっかりホールドしていればスローシャッターでもほとんど手ぶれは起きません!多重露光で楽しむのもお勧めです。Horizon Perfekt なら三脚が使え、絞りもシャッタースピードも調整出来ます。多重露光は出来ないですが緻密に露出が決められます。

©️Saisyokukenbi with Fantôme Kino B&W ISO 8

Photo Depot 彩色兼美
フジカラープラザ彩色兼美として、板橋にて20年ミニラボ店を営業。2019年3月より練馬に移転、屋号を変更。移転することにより念願のスタジオ&暗室を確保。写真好きの方の為、写真文化を継続させる為に日々写真と向き合っております。店主、スタッフみんな、無類の写真好き!
Instagram: @photodepot_saisyokukenbi
Twitter: @Photo_Dep_sskb

宮本邦彦
彩色兼美店主。最初の愛機はMINOLTA X-700。リアルタイムで新品購入なので年齢はそれなり。当時鉄板のアイドル撮影が入り口。趣味が高じてメーカーの社内報等の撮影が仕事としての入り口。スタジオ勤務後、大手DPEの会社にて店舗勤務。当時はフィルム写真のピークで1日に最低100本は現像、古き良き時代。障害者スポーツをこのころより撮影開始、現在継続中。彩色兼美を立ち上げ以降、写真一筋の人生を歩む。

2020-04-19 erina の記事

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