ヒマリ:煌めきを追い求めて

現在神戸で活動しているヒマリ(@hmr_08il )はデジタルにはない身体性をフィルムに見出し、以来フィルムを使い続けています。被写体やモデルとのコミュニケーションを通して光を追い求め、そして自分にとっての写真を模索し続けています。また写真をビジュアルだけの表現に留めるのではなく、言葉や音楽と結びつけることで、より多層的で高次元の表現へと昇華させてゆきます。今回は日常の煌めきを追い求めるヒマリの作品をご紹介します。優しく光に包まれた写真たちをお楽しみください。

── 自己紹介をお願い致します!

フィルムカメラで写真を撮っているヒマリと申します。フィルムカメラで写真を撮り始めて5、6年ほどになります。よろしくお願いします。

── 写真を撮りはじめたきっかけはなんですか?

幼少期にデジカメをクリスマスプレゼントでもらい、写真に初めて触れたのはこの時期です。その後、高校生の頃にスマホで日常的に写真を撮って加工することにはまっていく中で、写ルンですというフィルムカメラの存在を知り、修学旅行に写ルンですを持って行って写真を撮ったのがフィルム写真を撮り始めたきっかけです。その時現像から返ってきた写真に魅了されてしまい、以来デジタルに移行することもなくずっとフィルムで写真を撮り続けています。

── 普段はどんな写真を撮っていますか?

普段は、光を追い求めて写真を撮っていると思います。日没前の夕陽や、道端で斜めに差し込む光、そのような光によって輝く瞳や、植物が壁に落とす影など、普通に過ごしていたら見逃してしまうような日常の煌めきみたいなものを、捕まえるように写真を撮っています。

── フィルムで撮る理由を教えてください。

1番の理由は、目で見たままの温度感で光を捉えることができるからです。燃えるような日没前の光もスマホを通して撮るとなんだかシャープになってしまうことが寂しいなと思っていた時に、フィルムに出会って、オレンジや黄色の光の線が鮮明に表れているのを見てこれだ…と思いました。逆光の眩しさもそのまま写ってくれるところも魅力的ですね。また、フィルムで撮るとその時の温度や空気、匂いまで粒子に乗ってくれるような気がしていて、そのときのことが鮮明に思い返せるところが好きです。

── ポートレート作品を撮られる中で、光をうまく活用した写真が多い印象ですが、それは意識的なものですか?光をどのように使って写真を撮っていますか?

ポートレートを撮る上でも光を1番に意識していると思います。光の角度や差し込み方に合わせて、被写体さんの顔の角度や、ポーズを指定することもあります。ポートレートを撮る時は人と光の親和性を考えて撮ることが多いです。

── 一枚一枚構えて撮る、というよりは一瞬を切り取った自然なポートレートという印象を受けました。それはまるで日記のページを見ているかのような印象です。あなた自身と被写体との距離感、関係などはどのように写真に写していますか?

そう感じていただけて嬉しいです。実際被写体さんに完全に止まってもらって撮ることはなく、動いてもらう中でときめいた瞬間にシャッターを切っています。テーマがあるポートレート以外では、なるべくそのままで大丈夫であることを被写体さんに伝えています。関係性は嫌でも写真に正直に表れるなと個人的には思っているので、自然な写真が撮りたい時は、移動中や喫茶店でたくさん話しますし、撮影中も会話の途中でシャッターを切ったりもします(笑) だから、初めましての方との撮影はテーマを共有することが多く、段々会う頻度が増えるにつれて緩くなっていきますね。

── インスタグラムでの投稿を見ると、タイトルなど言葉の要素にもこだわりが感じられます。あなたにとって写真と言語の関係性とはなんですか?

写真よりもずっと早くから言葉が好きだったと思います。幼少期に物語を書いたり、好きな歌の歌詞を写したりもしていました。インスタグラムを始めたきっかけも、写真を載せたいというよりも言葉を吐き出したい気持ちが大きかったように思います。写真と言語は、互いに表現の穴を埋めあっているというか、どちらもうまく選べば互いに高め合えるような関係性だと思います。写真を見て物語を想像することや、好きな言葉や歌詞から写真のテーマを考えることもあって、そのどちらも私にとって重要な表現方法です。

── インスタグラムには写真と音楽を結びつけたプレイリストもありますね。そのプレイリストについて詳しく教えてください。また、あなたにとって写真と音楽の関係性とはなんですか?

音楽もとても好きで、よく曲からインスピレーションを得たり、写真を投稿する時のキャプションにも好きな歌詞を引用したりするので、それをストーリーハイライトにまとめたものです。写真と音楽も、言葉と同じように切り離せない関係だと思います。似てるけれども、全く方法が違うからこそお互いに高め合えるような。音楽が大好きなので、もっと私の写真で音楽に関われたらいいなと密かに思っています。

── 写真を撮る時にはどんなことを考えていますか?そして、あなたに撮って写真とは何ですか?

写真を撮る時は、自分の心の動きにとにかく集中して、ときめいた瞬間だけを残そうとしています。私にとって写真ってなんだろうとよく考えるのですが、いまだに答えが出ません(笑)  ただ、なくてはならないものだと思いますし、私が私を好きでいるための一つの手段だなと思っています。本当にファインダーを覗いている時間が好きで、シャッターを切る瞬間が好きなので、いつまでも光を追いかけて写真を撮り続けていたいなあと思います。

── 最後に、今取り組んでいるプロジェクトや、企画中のプロジェクトなどがあればぜひ教えてください!

特に今取り組んでいるものはないですが、2021年に個展を開催した際の感動が大きかったので、今年も何かしらの展示ができたら嬉しいなと思っています。この度は、このような機会をいただきありがとうございました!

その他のヒマリの作品はInstagram をご覧ください!ぜひフォローもしてください!

素晴らしい写真とインタビューありがとうございました!


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