Phil Knallと新しいLomoChrome Metropolisで撮った都会の姿

オーストリア出身で日本在住のPhil Knall。生活の中心が双子の子育てになっても、フィルム写真に対する情熱は変わりません。今回は、2021年バージョンのLomochrome Metropolisを、35mmと120の両方で撮影してもらいました。新バージョンのフィルムを通して眺める大都市のストリートスナップをお楽しみください。

自己紹介をお願いします!

ロモグラフィーと同じく、ウィーン生まれです。26歳で日本に移住しスポーツメーカーの海外営業として就職しました。写真は趣味としてやっています、もし仕事にしたら、興味を失うのではと感じます。また、フィルム写真やカメラについての Youtube もしています。1年前に双子の父親になり、人生のバランスが大きくシフトしました。

いつ、どのように写真を撮ることを始めましたか?フィルム、デジタルのどちらでしたか?

物心がつくころから、家族が使用していたコンパクトカメラで遊んでいた記憶があります。「ちゃんとした」写真とはじめて接した記憶は、中学校(オーストリアだと10歳頃からです)の写真部に入った時です。学校に暗室があり、長巻フィルムから自分でフィルムを巻いたり、現像や白黒プリントを焼いたりもしました。しかし半年程度で先生が退職し廃部になってしまい、とても惜しい経験でした。その後、母親の所有物だったはずのコンパクトカメラ(当時はAPS企画が普及していました)を常に持ち歩いていたと思います。常時写真を取りすぎて、時折友達に怒られていた記憶が残っています。

そして、デジタルカメラが普及し始め、1999年に初任給で富士フイルムのデジカメを買ってそれ以来はずっとデジタルで撮っていましたが、つい4年前に再度フィルムカメラを購入したら惚れ直し、以来ずっとフィルムで撮っています。

普段どんな写真を撮っていますか?そしてその理由は?

私の写真のほとんどは「風景よりの街角スナップ」です。人間をメインの被写体にすることはめったにありませんが、気に入った場所で構図を決め、でもやはり人間も風景の一部として入れることが多いです。撮っているシーンは人間の暮らす場所。人間を取り入れることにより、そのリアリティが増し、面白さが加わります。同じ場所でも人間の入っていない写真、入っている写真を撮ってみると必ず、人の入っている方が面白いです。

このような写真を撮る理由は私が送っている生活パターンに合うから、がほとんどです。常にカメラを持ち歩き、面白いものを見ると撮りたくなります。ただ、こう言った写真は撮るのだけではなく、見るのも好きなので、きっと私の性格に合うのでしょう。
昨年双子の親になり、写真を楽しむ時間がなかなか取れなくなりました。結果として、以前よりも35mmフィルムでの「スナップ」を撮ることが増えましたが、落ち着くころには中判の実験的な写真にもまた力を入れたいと考えています。

あなたの写真における哲学はありますか?あなたの写真がユニークな理由は何だと思いますか?

アートについて、あまり複雑に考えないようにしています。見て楽しい気持ちになるものであれば、それには価値があると考えています。写真も同じです。写真を撮るのが好きで、見るのもまた好きです。それが私の写真を見た方に伝わってくれたらいいなと。
自分が撮り気に入った写真の共通点としては複雑すぎない構図、さほど斜めになっていなく、きれいな色が入っている点でしょう。それに反射や透視、建築や標識に見るパターンなどという抽象的なモチーフが好きで、常に人間の存在感と合わせて捉えようと思っています。
また、何と言っても今置かれている生活圏に大きく影響されています。首都圏にはごちゃごちゃした、美しく老化した街がとても多く、私の写真に合う場所が多く、自然と撮りたくなると感じます。

日本在住のオーストリア人として、自分の撮る写真が自分の文化的背景に影響されると感じることはありますか?

私は昔から変化を受け入れやすい性格で、それというカルチャーショックも経験したことがありません。地元ウィーンでも東京でも、写真に同じようにアプローチしています。もちろん建築的にも人間の生活においても異なる環境ですが、私の写真に向いていると感じます。現代的な街の中に古いものが見つかったり、コンクリートの街の中で緑があり、そして最近気づいたのが両方にフィルム写真の文化が根強く残っています。もしかしたら、それが日本での写真生活の助けになったのではないでしょうか。ただ、育った環境の影響で写真のアプローチを意識的に変えたことはないと思います。

フィルムカメラで撮る理由を教えてください。

フィルムの話題になるとよく「フィルムはペースを遅くして集中させてくれる」と言いますが、私はそれをさほど感じません。フィルムでも深く考えずスナップを撮ることがよくあります。ただ、デジタルと比べて「念のため」もう一、二枚撮ることが減り、それが気に入った点の一つです。また、物理的にフィルムを装填したり撮ったりすることが好きです。そして昔のカメラが美しい。暗室でプリントを焼くのも好きです、中々時間が取れませんが。

最後に、フィルムは「撮って出し」のベースラインがとても綺麗で、デジタルのように延々といじりたくなることが少ないのも気に入っています。親になって以前よりも時間が減ったこともあり、時間が取れたら、編集よりも撮影に使いたいと考えています。

Lomo Chrome Metropolisを120mmと35mmの両方のフォーマットで撮影した感想を教えてください。

以前旧仕様のMetropolisを使ったことがあり、撮った写真が気に入っていました(ちなみにLomochrome Purpleも面白かったです)。こういった特別なフィルムは自分を日常から解放してくれて、特定の色を写すととても綺麗な写真が撮れます。Metropolisは自分の好きな色である赤や茶色を綺麗に写してくれます。そのため、自分に合うフィルムだなと思いました。新しいMetropolisが発売され、ロモジャパン様から試させてもらえるというオファーをいただきました。35㎜も中判も撮るので、一本ずつもらえないかと交渉したら幸い受け入れてもらえました。今回はそれぞれ35mmと中判で別のアプローチで撮影してみました。35mmは概ね夜、中判は日中の撮影に使いました。Metropolisでの夜景はまだあまり見たことがないので、ワクワクして撮影に挑みました!

35mmと120のどちらが好きですか?その理由は?両方のフォーマットを撮影することの長所と短所は何ですか?

ディテールの質と立体感から中判の方が好きです。そして中判が撮影スタイルに与えてくれる影響も好きです:使用するカメラによりますがが、1本で8~15枚しか撮れないので、写すシーンにこだわるようになります。結果的には、35mmは毎日持ち歩くストリートスナップ、中判は時間をかけて考え美しく思えたものやディテールが豊富なシーンに使用します。35mmは携帯性、スピード感に優れ、手に入るフィルムの種類も多い。35mmでも、ほとんどの用途に耐えられる解像度が得られるので、メディアとしては劣っていないと感じます。一方、中判はより意図的な写真を撮りたくさせてくれるし、大きなレンズやスキャンの違いかもしれませんが、発色もよりいいと感じます。そして魅力的なカメラがとても多い。暗室でプリントを焼くのも、中判の方が楽しくなります。

LomoChrome Metropolisを使用するにあたってのヒントはありますか?

MetropolisのISO表記は100~400になっており、露出によって雰囲気がガラッと変わります。初めて時は露出計を100、200、400に合わせて、どれが自分好みか試してみるのもいいのではないでしょうか。ISO400だとコントラストの強い絵に、100だと淡く少し露出オーバーな雰囲気になります。今回は200で撮影し、ハイライトを残しつつ極端なコントラストを避けることにしました。もちろん全て初期仕様に基づいた考えですが。

現在進行しているプロジェクトやアイデアがあれば教えてください。

Lomo800で二重露光により表現した、専門店の古い玩具のシリーズを撮っています。撮る機会は多くありませんが、撮るときは幸せな気持ちになります。いつかzineのような写真集にまとめたいと思います。

最後に、あなたは写真の将来をどのように見ていますか?どんなことを願っていますか?

レコードのように、フィルム写真もどこかでニッチな、でも持続的な市場に落ち着くのではないかと思います。レコードのように一般ユーザーにはわからないが、好きな人はとても大事に感じる質感があります。残念ながら、フィルムの製造はプロセスがとても複雑で有害な化学物質も使われているので、すべての商品を残すのが難しいでしょうが、フィルムは滅びないと思います。その観点から、今後のフィルムの新しい流れに期待しています。スケールダウンした持続可能な製造環境により、限定的な市場が支えられ、飽きさせないように新しい商品も時々出る未来が見てみたいです。その未来に向かってフィルム業界はすでに数歩歩きだしているのではないでしょうか。旧製品がいくつか消えていますが、新しいフィルムの種類や、より高品質なスキャン用品、そしてフィルムカメラの新製品も発売されています。これからのフィルム写真の発展を考えるとワクワクします。これからも長年、楽しんでいきたいと思います。

素敵なインタビューと素晴らしい写真をありがとうございました!

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2022-04-27 #culture #people #places

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