新しくなったLomoChrome Turquoise XR100-400のレビュー by hodachrome


2021年秋にロモグラフィー製のカラーネガフィルムLomoChrome Turquoise XR100-400が復活しました。数あるLomoChromeフィルムの中でもとりわけ個性が強く人気も高かったこのフィルムの復活に歓喜した方も多いのではないでしょうか(私もその一人です)。ということで、前バージョンからの熱烈なターコイズファンを自認する私hodachrome がこの復活した新バージョンを使ってみましたので、作例とともに感想をレビューしていきたいと思います。

新パッケージ。ちなみに3枚の画像は全て私の作品です(←自慢)

-フィルムの仕様-
■名称: LomoChrome Turquoise XR100-400(36枚撮)
■種類: カラーネガフィルム(C-41/CN-16現像対応)
■フォーマット: 35mm / 120 / 110 ←新バージョンになって110も加わりました!
■感度: ISO100~400
※その他詳細はオンラインショップの商品ページ またはLomoChrome Turquoiseフィルムガイド をご確認ください

作例① ネイチャー

パンパスグラス(ススキの大きいやつ)、バックに赤い紅葉

黄色いパンパスグラスはこのフィルムの法則に従い青く染まります。ただし鮮やかな黄色ではないのでターコイズブルーとまではいきません。バックの赤い紅葉は青紫系になっています。(ISO200、+0.5補正にて撮影)

作例② スナップ(&ネイチャー)

歩く人々と赤や黄色の紅葉

鮮やかな黄色い葉はターコイズブルーに、赤い葉は青紫色になります。緑色は大きくは変わりませんがエメラルド色(青緑色)といった感じに。歩く人々の肌は青系のゾンビに。服などもなんかいろいろ変わっています(雑な説明)。あと、ハイライトにややオレンジ色が乗る傾向があります。(ISO200にて撮影)

作例③ ポートレート

女性のポートレート(多重でややこしいですが)

こちらは参考画像なしですがポートレートの作例を。多重写真でややこしいのですが顔の肌部分には影響の少ない撮り方をしています。やはり最大の特徴は肌の色の変化。人の肌は黄色っぽいのでややくすんだ青系になるのが特徴です。このゾンビ化特性をうまく生かせば個性的で面白い写真が撮れそうです。(ISO200 ×2にて撮影)

作例④ 動物

赤(オレンジ系)のフラミンゴ

鮮やかな赤・オレンジが特徴のフラミンゴもこのフィルムにかかれば不健康そうな青紫系になります。(ISO200にて撮影)

黄土色っぽいワラビ―

こちらも「黄色がブルーに」の法則に従い真っ青なワラビーに変身しました。(ISO200にて撮影)

作例⑤ 夕日

鮮やかなオレンジに染まった夕焼けと青みの残る空

赤・オレンジに染まった夕焼けの部分は強めのターコイズブルーに、空の青みの残った部分はオレンジ系に変わり色のバランスが逆になった感じ。正直微妙です。夕日だけでなく他の要素も加えて撮ると面白くなりそう。(ISO200にて撮影)

作例⑥ 夜景

日没直後の工場夜景

工場夜景は複雑な光源が混じり合っていますが青・緑が目立ちました。白熱灯系は青く、蛍光灯系は緑色になってそれらが混じっている感じ。長時間露光のため空のオレンジは青くならず飛んでしまいました。(ISO100、+1補正にて撮影)

【感度のちがいによる比較】

赤・黄色系の紅葉と青い空
現像済みネガの比較

同じ被写体でISO100、200、400と3枚撮りました。ISO400では葉の色の濃い部分は黒つぶれし、ISO100では空の色がやや白飛びしています。現像済みネガの露出の乗り具合を見ても、前バージョン同様ISO200を基準(適正露出)とし、撮影意図により感度設定か補正値を変えていくのがよさそうです。感度により色が変わるということではなく露光量の違いによる明度の差が現れます。

【感想】

■彩度
彩度は全体に前バージョンに比べてやや抑え気味に感じられました。空などの青色はもっとビビッドなオレンジに染まっていた印象です。ターコイズブルーの発色の強さは変わらずです。他の赤や緑などの発色も同じ傾向のようです。

■コントラスト
コントラストは硬調過ぎず柔らかめな印象ですが黒の締まりは良く感じました。

■粒状性
粒状感は前バージョンとさほど変わらないかやや粗くなった印象です。ルーペで拡大したり大伸ばしプリントをすれば粒子は目立ちますが比較的滑らかと言えます。

■感度
ISO200を基準(適正露出)とし、条件や意図により補正するのがよいと思いますが100~400の範囲でしたらどれでも撮影可能です。

■前バージョンとの比較総合
前バージョンの良さを忠実に踏襲しつつやや軟調で発色は落ち着いた印象。言い換えるとクセが弱まり、個性の強さを求める派には物足りなく、幅広い用途で使いたい人には向いているかなと(それでもこのフィルムの個性の強さは健在ですが)。私個人的には新バージョンのが多ジャンルで幅広く使えそうで気に入っています。
※発色・コントラスト等は現像やスキャンの環境により変わります

【色変化イメージ画像】

色による変化のイメージ

前バージョンの記事で使用したものの流用ですがこちらが今回も参考になるかなと。発色は露出や光の当たり方、現像後の取り込み方等により変わるのでご参考程度に。

【他の作品のギャラリー】
最後に、このフィルムを使った他の作品を紹介します。多重露光メインですが、このフィルムの面白い使い方が伝わればと思います。このターコイズフィルム、期間限定の発売ということなので興味のある方はぜひご購入して個性溢れる面白い写真を撮ってみてください♪

Enjoy your film life with new turquoise film!

石油精製工場を上下対称に2回露光。赤茶色の建物は青色に、青空はオレンジに。
感度設定:ISO200 ×2
動物園のキリンと古い街並みとの多重露光。黄色(茶色)っぽいキリンは青系に、より鮮やかな下の黄色い芝生はターコイズブルーに。
感度設定:ISO200 ×2
横顔の女性と縦で撮った工場との多重露光。工場と空はオレンジ系に、女性の肌は青系に。ウィングショット の応用版。
感度設定:ISO200 ×2
女性と彼岸花との多重露光。人の肌は青くなり彼岸花の赤は青紫系に。背後のオレンジコスモスはターコイズブルーで葉の緑はエメラルド色に。
感度設定:ISO200 ×2
横断歩道での手持ち撮影による「ちょいブラ多重」 。アスファルトの青がオレンジ系に。青が特徴のフィルムの青ではない魅力を生かした撮り方。
感度設定:ISO400 ×2

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2023-03-08 #gear #チュートリアル kota_97 の記事

Lomography LomoChrome Turquoise XR 100-400 (35mm)

青とオレンジに染まる強烈なカラーシフトが楽しめるロモグラフィーオリジナルの35mmフィルム

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