ロモグラフィーパートナー: 八百富写真機店 in 大阪

日本をはじめ、世界各国にはフィルム写真を支えるロモグラフィーパートナー がいます。今回は大阪に店舗を構える八百富写真機店 さんをご紹介いたします!

© 八百富写真機店

ロモグラフィーマガジンへようこそ!八百富写真機店の歴史や背景について教えていただけますか?

屋号は「八百富写真機店」とても八百屋くさい。はい!元々は八百屋で、江戸時代は大阪の江戸堀で「岐阜屋」として青物商を営んでいました。そんな青物商の商売環境が明治維新の廃藩置県で激変、店舗を大阪の中之島常安橋に移し開いた八百屋が「八百富」で、現在の八百富写真機店の屋号はこのときのものとなります。そんな八百屋が一念発起、縁あってフルコースを出すフランス料理店への転換を決意。「八百富こと西洋楼」として明治の1881年に料理店を開業、有名な「自由亭」に続く大阪で4番目に古い西洋料理のレストランだったそうです。

当時、レストランの命名で一悶着あったそうです。父の話しでは、コックさんから「八百富」という名前は西洋レストランにふさわしくないとのことで当初は「西洋楼」だけだったそう。しかし、曾祖父の強い思いで「八百富」を残したそうで、今もその思いの「八百富」を引き継いで写真店の名前として営業しています。

そんな家に生まれた私の祖父は、小さな頃から無類の写真好きだったようで全くレストランに興味が無く、近くの写真材料店や写真愛好家の集まりに入り浸り。1928年に写真店を開業、趣味から商売を起こしたのが今の八百富写真機店となります。

当時の開業の頃の(写真①)が残っていて、写真をみるとZeissにAgfa、KodakにILFORD、特にコダックとイルフォードのロゴは既にカタカナ化。昭和初期には、日本国内にそのブランドが浸透していた姿はとても印象的。でもこの写真にはleicaや日本メーカーのロゴが全くない。なぜなら、まだ、この時代には会社が存在しないか、まだカメラを製造していないからなのです。

© 八百富写真機店 – Image ①

そして、後年の(写真②)には「Leica」の筆記体のロゴがショーウインドウに登場。あっという間に35mm判の時代が訪れたのがよくわかる写真です。当時の店内は(写真③)のように棚には写真の現像用の薬品や印画紙が数多く並び、店内は写真愛好家の車座の写真談義が日常だったそうです。こういうコミュニティも写真店の原点なんだと思うところです。

© 八百富写真機店 – Image ②
© 八百富写真機店 – Image ③

そんな写真店も戦争の空襲で全てが消失。何もかもが無くなった店の前で写真を撮った私の祖父(写真④⑤)。この写真が私の原点で、絶望やどん底にあっても明るい未来はある!困難にぶち当たった時に、この写真を見てはいつも勇気をもらっています。

© 八百富写真機店 – Images ④ & ⑤

そして、そんな廃墟から写真店を再起したのが(写真⑥)の店舗で、戦後直ぐの1946年の写真。「ALL KODAK SUPPLIES」と「CAMERAS YAOTOMI」の看板が印象的。

© 八百富写真機店 – Image ⑥

お店の特徴や強みは何ですか?

弊社の企業理念は、「写真機店である限り、カメラだけでなくフィルム販売そして写真現像焼付サービスもセットで提供できる写真店であること」です。先日、新品で調達できる唯一のカラーネガ現像機「 FUJI FP232b」 を導入したのもその考えに基づくもの。メンテナンスの今後を踏まえ、安定して長くフィルム現像を提供できるインフラ整備を行いました。

店舗には最新のデジタルカメラ、もちろんロモさんのフィルムカメラにフィルム、中古カメラにアクセサリーと出来るだけ多くの写真関連商品を取り揃えるように努めています。もちろん、小さな店舗ゆえに大きなお店のように網羅的に揃えられませんが、「かゆいところに手が届く」をモットーに、小さなものから大きなものまで色々セレクトして取り扱っています。

「今日はいいもの見つけられたよ」とお客様から仰っていただけたときが至福の時ですね。

© 八百富写真機店

店内には、珍しいカメラや機材がありますか?もしあれば、そのストーリーや特別な価値について教えてください。

私の写真に関わる姿勢の根幹は「写真の大衆化への敬意」です。写真の歴史を振り返ると、一面は高機能化ではあるのですが、例えば「フジフィルムさんのフジペット」、あるいはフィルムが高価で入手が困難だった時代に生まれた小さなフィルムのミゼット判などの豆カメラ、またフィルムの装填ミスを防ぐために生まれた126や110などのカートリッジ式フィルムなどなど、写真発展の縁の下の力持ちは高級機でなく、名もしれない数々の大衆機だと考えているからです。私にとって高級機とは、大衆機があってこその高級機なのです。なので「そんなカメラ達を知ってもらいたい」はとても重要なミッション。

そんな思いが店頭にある数々の中古カメラに表れていると思います。もちろん、LEICA M3は美しく、Nikon SPのメカメカしさにも惚れ惚れします。ビンテージの数少ない希少なカメラもカメラ店の店頭には必要なのでしょう。でも、いい意味でも悪い意味でも「え!?こんなカメラってあったんだ!」と驚いてもらうこと、楽しんでもらうこと、言葉は悪いですが呆れてもらうこと、感情豊かに店舗に並んでいるカメラをご覧になって頂きたい~が品揃えへの思いです。

スタッフ達からも驚かれますが(=正確には呆れるかな・笑)、付録系や特に学習系の写真機材付録系カメラは大好き。写真は化学、光は物理の法則、そんなことを学ばせようとした「学研もの」は大好物で、見つけてきては店頭に並べています。あまり早く売れると、ちょっとショック…多くの人に見てもらえなかったと、商売人としてはあれですが落ち込んだりしながら楽しんでいます。

© 八百富写真機店

八百富写真機店では110フィルムやミノックスフィルムの現像が今でもできる数少ないカメラショップです。特殊なフォーマット現像を続けていけるのはなにか秘策があるのでしょうか?

ロモ110、MINOXフィルムのデータ化につきまして、小さなカメラから生まれて来るお客様の創造性を感じる事は、私達の喜びでもあります。長く写真を楽しんでいただく為、スタッフ達が試行錯誤を繰り返し、自作キャリアにてデータ化、編集作業を行っております。110フィルムが復活するだけでなく、バリエーションも豊富でお客様がどの様に撮影をされるか、私達もワクワクが止まりません。スタッフもロモファンの一人であり、楽しさをより沢山のお客様に体験していただきたく情報の発信に務めて行きたく思います。(日野)

お店で取り扱っているカメラや機材の中で、社長自身が特に気に入っているものはありますか?その理由も教えていただけますか?

最も好きなのが「全然売れなかったカメラ達」。そんなカメラ達に共通するのは、作り手の強すぎる思い。大抵の場合、その思いはすごく尖って独りよがりなのですが、思いはすごくピュアで新鮮。設計者の思いがカメラからあふれ出ててるカメラに出会うのは、この上なく最高の時間です。どのカメラも絶対に売れると思って設計され、そして会社が製造販売を決断するわけで、売れなかったは結果。設計者とお客様の思いの差分があるカメラが特にお気に入りです

そんなカメラが入ってきたら、必ずX(八百富写真機店 ヤオッター@yaotomicamera)でポストしていますので是非見てやって下さい。

直近ですと、このポスト これは「売れなかった」系ではなくて、「観ているだけで大満足系」

アメリカ製のGRALABの暗室タイマー。とにかく見た目が最高ですね

© 八百富写真機店

お店のスタッフや社長自身が、最近挑戦したり興味を持っている写真技法やスタイルはありますか?その技法やスタイルに対する思いや取り組みについて教えてください。

最近、30ミリのRICOH R1s コンパクトカメラを購入しました。とても軽く、今まで以上に写真を撮る機会が増えました。この瞬間だ!と思った時に撮れるのはコンパクトだからです。派手な写真が好きなので、基本は天気のいい日に撮影します。広角レンズの良い点は、色んな景色が写るからです。何年後かに見返した時に、こんな街もあったな〜と思い出せる写真を撮ることにハマっています。大切な人たちと一緒に風景を残すことが楽しみです。(若林)

写真愛好家やカメラマニアの方々も来店されると思うのですが、これまでに寄せられた、特に印象に残った感謝の言葉やエピソードはありますか?

私の最も得意な分野は「ニコンF」。個人的に好きなカメラであると同時に、本体のバリエーションからアクセサリーまで、数多くのアイテムや仕様分けがあり、コレクションの幅が広く深いのが特長。若い頃、Nikkor AUTO 5.8cm F1.4を普通の50mm F1.4と同価格で店頭に並べたら、常連のお客様から「これ珍しいで!知らんかったやろ」と言われたのがとてもためになった=正直な気持ちは悔しかった。そこから猛烈にカメラの知識欲が高まり、いつの間にかかなり深いところまで習得するようになったのですが、その過程でも力を下さったのが別のニコンFコレクター様。お客様がスタッフを育てる、お客様に育ててもらった典型が私、今まで店頭でくださった数々のご助言に感謝申し上げる次第です。

いつでも店頭にご来店下さい。スタッフに一言「ヤオッターを呼べ」ですぐに参上いたします。そして、次の世代の方々に知識をつないでいければ…そう考える年になりました(笑)

© 八百富写真機店

八百富写真機店が今後取り組みたいと考えていることはありますか?将来の展望やビジョンを教えてください。

先日、新品フィルム現像機を導入させて頂きました。これは先ほど、ご説明した通り弊社の企業理念の具体化の一つで、今後もフィルム現像焼付のサービスは、続けますの宣言。そのために必要な投資は、今後も継続的に続けていきたいと思います。次の課題は白黒の現像。明室タイプの自家処理機はもうない中、なんとか急ぎ現像のご要望にご対応できないかを模索中。

カメラには使うカメラ、触るカメラ、眺めるカメラ、そして所有するカメラがあると思っています。このうち「使うカメラ」のサポートを一番として、今後も私たちは写真を、写真機とフィルム、そして現像焼付引伸ばしを通じて皆さまの写真ライフのサポートを継続していきます。

最後に、今後八百富写真機店を訪れるお客様へのメッセージをお願いします。

私たちの実店舗、大阪駅中央店と本店(大阪駅前第3ビル店)は、JR大阪駅に隣接します。この(写真⑦)は、戦後JR大阪駅が復興した時に、私たちの店舗が大阪中之島から大阪駅に引っ越してきたころの写真。創業者は「これからは鉄道の時代。多くの人が駅を通じて行き交うことになる。」でした。

© 八百富写真機店 – Image ⑦

今、人の移動はグローバルとなり、このJR大阪駅も世界とつながる時代となりました。
一面はネットの時代ですが、そんな時代だからこそのリアル店舗。どうぞ日本中からそして世界中からお越しくださいませ。そして写真の話しで盛り上がりましょう!


他にも日本そして世界各地のロモグラフィーパートナーを紹介していきます!次回をお楽しみに!


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2024-06-21 #gear #people #ロモグラフィーパートナー alexgray の記事

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