Lomo LC-Wideで可視化される@jinyaguchiのクリエイティブな世界観
3広告と出版のバックグラウンドを持つロモグラファーの矢口仁 (@jinyaguchi) さんの写真は、日常のありふれたシーンを独自のスタイルで別世界へと変貌させています。
“フィルムカメラで写真を撮るようになってから、それまで自分が被写体としていなかったもの、例えば水溜り、鏡、空、横断歩道、階段、窓などが非常に魅力的な被写体になりました。私はフィルムカメラを持つことによって、自分の世界が広がったと感じています。”
今回のインタビューではLomo LC-Wide との出会い、そしてユニークな多重露光の作り方などを伺いました。
フィルムを始めたのはいつ頃ですか?フィルム歴、フィルムを使うきっかけになった理由など、初フィルムの頃のストーリーを教えてください。
フィルムカメラを始めて、まだ1年経っていません。それまでは、写真にそれほど強い興味はありませんでした。
きっかけは2024年の5月頃だったと思います。渋谷にある雑貨店でHOLGA135bcを衝動買いして、試しに休日スナップをしてみたら、全く思った通りに写真を撮影できなかった。ブレていたり、暗過ぎたり、ボケていたりしました。その一方で、全く期待していなかった嬉しい一枚(青いワンピースの女性の多重露光写真など)が撮影できたりする。その難しさや奥深さを体験した時から、フィルムカメラの虜になりました。
Lomo LC-Wide に出会ったのはのその1ヶ月後です。インターネットでカメラを探している時、偶然ロモグラフィのサイトでカメラを見つけ、検索サイトで「lomo 作例」で調べたら、世界のロモグラファーたちが、非常に魅力的な写真を撮影しているのがわかりました。それで、「このカメラが欲しい」と強く思いすぐに購入しました。
90%以上はロモグラフィーのフィルムです。自分の想像を遥かに超える作品をもたらしてくれます。LomoChrome TurquoiseやLomoChrome Purpleは、まさに目の前の風景を異世界に変えてくれる。発見の連続が楽しくて、フィルムの世界に日々魅了されています。顔が青く写るのはゾンビみたいでびっくりしました。
今持っているカメラで撮り始めた時もまずは多重露光を試しました。でも大半は失敗作で反省しました。自分が何を撮影したいのか、しっかり考えないとダメなのだと思いました。そして色々考えるようになったのですが、難しく考えすぎるとうまくいかない。失敗経験を繰り返しながら偶然を楽しむ感覚が大切なのだと知りました
愛用しているLC-Wideの魅力とは?
17mmの広角レンズで直感的にシャッターを押し、ブレたりしても関係なく、自分の見た風景を直感的に切り取っていけるのがLC-Wideの素晴らしい長所だと思います。光がとても美しく撮影できるというところも大好きです。また、被写体に近づいて写真を撮る必要があるので、自分が何を撮影したいか明確になるのもメリットだと思います。
自分の写真スタイルは何ですか?どんな写真に惹かれますか?
自分の写真スタイルは色んな場所を歩きながらの衝動的なスナップショット撮影です。三脚やレリーズなどは使っていません。
自分の写真スタイルはまだ確立されていません。自分の写真を通じて、自分探しをしています。自分がどんな風景が好きなのが、どんな刺激を求めているのか、とても私的活内面的な目的で写真を撮影しています。私が撮影する被写体の多くは、何気ない日常風景の中にあることが多いです。私は横断歩道の写真をたくさん撮影するのですが、そこを通り過ぎていった無数の人たちのストーリーを想像すると楽しくなります。
カメラを構えていると人を撮りたくなります。買い物帰りのおばあちゃん、一緒に旅行に行った友人、旅行先の生活者の表情などです。あと、見知らぬ土地の日差しや気候、雰囲気を切り取りたいと思っています。
好きな写真家は森山大道さんや石内都さんです。街や人に宿る情念の歴史を鮮烈に焼き付けている写真に魅力を感じます。全体的にメッセージ性が強い写真に惹かれます。
多重露光の構図作りがとても個性的だと思いました。特にこの写真 が印象的でした。
この猫の多重露光はマレーシアのクアラルンプール市街にあるアートストリート「Alor Backspace Street Art」で撮影したものです。細いストリートの建物の壁面にウォールアートがびっしり描かれている観光地なのですが、その一つに猫の絵がありました。自分のLC-Wideに入っていたColor Negative 400 をISO 800の設定で撮影した後、多重露光で何を被せようかと路地の少し先を見ていると、ケージの中で2匹の猫がこっちを向いて鳴いていました。自由に散歩しているアートの猫が見える位置でケージの中にいる不自由な猫が鳴いている。直感でそのままケージの猫を撮影しました。それがこの写真です。
自分なりの多重露光を撮る上での撮影方法や気にしていることや使うアクセサリーを教えてください。また、多重露光を撮るときは事前にレイアウトなどを考えていますか?
多重露光の写真を撮る時はなるべく新しい挑戦をしようと思っています。
例えば、LC-Wideはハーフサイズの設定がありますが、間違えてフレームを入れずにハーフサイズ設定にして多重露光の写真を撮った時に思いがけない面白い写真が撮れたので、その手法を続けています。具店などに売っている黄色や赤などのセロハン紙をポケットに入れて出かけたりもします。
街を歩きながらの直感的なスナップ撮影がメインなので、多重露光を撮る時に事前にレイアウトなどを考えたりはしていません。想像したものとは全く異なる写真になっていることがほとんどです。
フィルムフォーマット、カメラ、フィルムで次に挑戦してみたいものはありますか?
新しく出たLomo’Instant Wide Glass を使ってポートレートを楽しんでみたいと思っています。撮影した相手とすぐに作品を共有してコニュニケーションを楽しみたいです。撮った写真でコミニュケーションが広がり、そこから発見があるという体験をしてみたいです。
@jinyaguchiさん、この度はロモグラフィーマガジンのインタビューにご協力いただきありがとうございました!ロモホーム のフォローをお忘れなく!
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