フィルム写真家TomがLomoChrome Color '92で写す香港のパノラマ写真
2フィルム写真家のTom(@t0m7)が香港で LomoChrome Color '92 を使って撮影したパノラマ写真には、視覚的な要素が絶妙に配置されており、都市の日常の活気やざわめきを完璧に描写しています。
ネオンに照らされた店や、赤いタクシー、高層ビル、そして日常が続く様子... Tomは構図、光の使い方とパノラマという独特なフォーマットを通して香港の独特な魅力を見事に表現しています。今回、香港での撮影体験や、良いパノラマ写真を撮るコツ、お気に入りのショットなどについて彼にインタビューをしたものをお届けします。

こんにちは、Tom! 。自己紹介とフィルム写真に出会ったきっかけを教えてください!
初めまして、Lomoファミリーの皆さん!私はTom(@t0m7)です。出身はロモグラフィー誕生の地のオーストリアです。数年前に仕事のためにニューヨークに移住しました。私が、フィルム写真とロモグラフィーを始めてからはもう10年以上が経ち、もっと正確に言うなら始まりは2010年3月からです。その時に初めてのフィルムカメラのDiana Mini を購入しました。
数年前からデジタル一眼レフカメラで写真を撮っていましたが、普通のありきたりなデジタル写真には飽きていました。一方でDiana Mini で初めて撮った一枚は、ある意味で決して素晴らしいものではなかったですが、ケラレ、粒状感、柔らかさなど、フィルム写真の個性にすぐに夢中になりました。
デジタル一眼レフで撮った写真を面白くするために何時間もパソコンの前で過ごすのではなくて、Diana Miniを持って楽しく歩き回りながら撮影した方がかっこよくて、個性的で、ユニークな写真が撮れました。それから、すぐにお金を貯めて中古のLC-Aを買い、それ以来フィルム写真とロモグラフィーが大好きになりました。

なぜフィルム?
私がフィルム写真を始めた大きな理由の一つは、ただ単にフィルムの写りが大好きだからです!それぞれのフィルムにある個性的な色合いや粒子感、レンズやカメラの個性が、写真一枚一枚に特別感と個性を加えてくれるんです。温かみがあり、人間味があり、それでいて自然な感じがします。自分がしなければならないことは、フィルムを撮影して現像に出すだけです。
フィルム写真は不完全で、夢を見せてくれるようで、それでいて鮮やかな視覚的な記憶を作りだしてくれるような気分にさせてくれたり、一瞬をアートに変えてくれているような気分にさせてくれる一方で、デジタル写真は瞬間を無機的に記録しているように感じます。
私も、今まで通り携帯電話のカメラを使っていますが、私にとって最も大切な写真、最も誇りに思う自慢したくなる写真、最も強い感情を呼び起こす写真、そして最終的にプリントしたり、アルバムとして追加される写真は、すべてフィルムで撮影されたものです。

それは感情的でアート的かつ主観的な一面に過ぎません。フィルム写真から得られる喜びの大きな部分は異なる種類のフィルムを使うことにもあります。KodakのTri-Xのフィルムでクラシックな報道写真のような粒子感を楽しんだり、LomoChrome Color '92 のレトロな色合いで90年代や幼少期の頃の家族写真のような雰囲気を懐かしむような写真だったり、LomoChrome Purple を使って自分の裏庭の森を他の惑星のように見せたり、そして、コントラストの高い色彩豊かなリバーサルフィルムに驚いたりするのがとても楽しいんです。

つい熱くなってしまいましたが、最後にもう一つだけ言わせてください。フィルムカメラはデジタルカメラよりも単純に使っていて楽しいんです。試してみるべき種類、フォーマット、機能がたくさんあり、Horizon Kompaktのようなスイングレンズ方式のパノラマカメラや、XPanのようなダブルフレーム使うシネマティックパノラマカメラ、あるいはLubitel 166+のような二眼レフカメラのようなデジタルカメラは存在しません。
確かに、デジタル画像をクロップしたりスマホをパノラマモードで振ったりすることはできますが、それは本物のカメラを使う体験には到底及びません。また、今ではデジタルのトイカメラや無限のデジタルフィルターアプリがたくさんありますが、これらで撮った写真はしばらくするとすべて同じように見えてきます。
最近香港で撮影したパノラマ写真を見させていただきました。このパノラマという方法で香港を撮ろうと思った理由は何ですか?
香港はおそらく私のお気に入りの都市です。今年、仕事で北京に行かなければならなかったとき、香港に立ち寄るために必ず時間を取らなければならないと感じるほどでした。とてもクールで、美しくて、クレイジーで、現代的で、そして何より素晴らしい都市です。
地元の有名なフォトグラファーのWing Shya のこの言葉が私に完璧に当てはまります: “There was a mood. I saw how everything was loud, lit up, like a collage of life. To be imperfect, that is Hong Kong: A place filled with little mistakes. When you add it all up, it’s really beautiful.”

香港の歴史、文化の融合、古いものと新しいものが入り混じる様子、建築、荒々しさ、そして、サイバーパンクのようなスタイルが非常に映画的で写真映えする街を作り出しています。できるだけその姿をダイナミックで細部まで捉えるために、XPanを持っていってシネマフォーマットのパノラマ写真を撮らなければならないと感じました。
香港で15本以上のフィルムを撮影し、ほとんどの写真がとても良く仕上がったことに本当に満足しています。
香港で撮ったフィルムの中にはLomoChrome Color '92 があったと思いますが、使用してみてどう感じましたか?
今までLomoChrome Color '92 を試す機会はなかったのですが、香港で2本撮影しました。このフィルムを選んだ理由は香港の街にとてもよく合うと思ったからです。香港には80年代や90年代のような独特な魅力を持つものがたくさんあります。特に目を引くのは建築物ですが、それだけではなく90年代の赤いタクシーのように、どこにでもあるものにも魅力を感じていて、私はそれがとても好きなんです。

LomoChrome Color '92 のレトロな雰囲気を活かして、90年代に撮られたような写真を作り出そうとしました。鮮やかな色合いが、活気あふれる香港の街のエネルギーをうまく反映してくれたと思いますし、強い粒子感が街の荒々しさを強調してくれる点も素晴らしかったです。
また、ISO 400という高い感度がビル群の間の深い影の中での街のシーンを捉えるのにとても役立ちました。
今回撮ってくださったパノラマショットで特に気に入った点の一つは、街の活気に満ちた鮮やかな景色を見せてくれる画角です。パノラマモードで撮影する際に心がけているコツをいくつか教えてください。
ありがとうございます!最初にLomo LC-Aを手に入れて、その後すぐにHorizon Perfektを見たときから、パノラマ写真とアナログのパノラマカメラに恋してしまいました。
私は今、パノラマカメラを数台持っていて、より良いパノラマ写真を撮る方法を試行錯誤しながら学んでいます。ここまでのパノラマ撮影の旅で学んだ教訓とヒントをいくつかご紹介します。
•フレームいっぱいに撮る!パノラマ写真の面白いところは、左から右まで見た時に、いろんな要素が詰まっていることだと思います。そうすることで、目がフレームを動き回って探索することができます。香港のような賑やかな街並みではそれが簡単に実現できますが、物語を語るような賑やかなパノラマ写真の素晴らしいインスピレーションを得るためにJeff Bridges’ photography をチェックすることをお勧めします。
•水平線をまっすぐにして、スイングレンズカメラではフレームの中央に被写体を配置してください。そうしないと、写している世界がとても歪んで見えてしまいます(ただし、それが特別かっこいい効果になることもあります)。被写体に近づき、理想的には左と右に2つの被写体を配置して、それらを90度の角度で配置してください。
•「フラットな」(回転しない/スイングレンズでない)パノラマカメラ、例えばXPanやSprocket Rocket のようなカメラでは、風景に限らず、被写体に近づいてさまざまな角度を探求してみてください。このフォーマットのシネマティックなスタイルをうまく活用し、「シネマライク」なシーンを撮ってみてください。
• そして大前提、ロモグラフィーのゴールデンルール を守ること!

最後にこのアルバムの中でお気に入りのLomoChrome Color '92の写真について教えてください
1枚だけですか?それは難しいですね!でも、もし3枚なら:

中央区や九龍を夜に何時間も歩き回り、とてもムードがあるサイバーパンクのような夜のシーンを撮影しました。その多くは私のTungstenアルバム にまとめています。
上の写真が気に入っている理由は、私が撮影しようと努力していた多くの要素が詰まっているからです。ムードのある街のシーン、少し荒削りな雰囲気、80年代/90年代の写真の感じ、そしてもちろん、私のお気に入りの古い赤いタクシーです。

こちらの写真もとても気に入っています。スカイ100香港展望台から景色を楽しむ2人の女性を捉えた一枚です。これはただの素早いスナップショットでしたが、2人のシルエットがまるで親密な映画のシーンのように見えます。

香港のタクシーの色、コントラスト、そして幾何学的なラインにも魅力を感じていて、この大きな交差点がそのすべてを一枚の写真に収めたくさせました。こうした交差点でタクシーの写真を撮るためにフィルム1本以上使ったと思いますが、気に入った写真はほんの数枚しかありません – これがそのうちの一枚です。
インタビューありがとうございました!
Tom、香港での撮影とパノラマ撮影のコツをシェアしていただきありがとうございました!ぜひ彼のロモホーム":https://www.lomography.com/homes/t0m7 をご覧になってみてください!
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