暗い箱の中に射す一筋の光 by fuma yamakawa

喪失を受け止めるように、生活の中の光を写す写真家 fuma yamakawa さん。会社員として働きつつ、普段からフィルムを使って香川県を撮り歩いている彼にLomo’Instant Wide Glass を使って撮影していただきました。「残すこと」にこだわるfuma yamakawaさんがインスタントで残したものをインタビュー形式でご覧ください。

ロモグラフィーマガジンへようこそ。それではまず自己紹介をお願いします。

fuma yamakawa です。会社員の傍ら、香川県で写真を撮っています。

写真を始めたきっかけを教えてください。また、普段はどのような写真を撮っていますか?

幼い頃から父の影響でデジタルカメラに、祖父の影響でフィルムカメラに触れていました。

今のように写真を撮り始めたのは、あることがきっかけで心を壊してしまい、部屋に閉じこもる日々が続いていた時期です。

何も感じることが出来なかった状態の中で唯一、部屋にさす光を美しいと思うようになったことがきっかけで、それを残すために写真を撮るようになりました。それ以来、生活のなかにある光をよく撮っています。

普段はフィルムで撮られることが多いかと思いますが、その理由を教えてください。

フィルムで撮る理由はいくつかあります。

ひとつは「光のやわらかさ」。フィルムで写した光には、その時の空気の温度までそのまま閉じ込められているような、独特のやわらかさがあります。その質感に心を惹かれています。

もうひとつは「手放せること」。自家現像はしておらず現像所さんにお願いしているので、撮ったあとは一度写真たちが自分の手を離れていきます。数日経って現像から帰ってきた写真を見返したときに、撮影当時の自分と対話をするような感覚があって好きです。「何で撮ったんだろう?」「これってどこだっけ?」って自分でも思う時があるけれど、その認識をすり合わせていく感覚が面白いですね。

最後は「ネガが残ること」。データは誤って削除してしまったり、何かの拍子で突然消えてしまったりするかもしれない。データが消えてもその時ネガがしっかり保管されていれば、プリントもスキャンもし直せる。「物体として存在する記憶」のような側面にとても安心します。

ポートレートは撮る人によってアプローチの仕方や世界観が違うと思います。ご自身のポートレートの世界観や、撮る時に気にしていることを教えてください。

僕にとってポートレートは「あなたはここにいていいんだよ」「ここにいたんだよ」と、静かに伝える行為だと思います。

幼い頃、親の寝室に飾られた家族写真の中に2人の兄の写真はあったのに、僕の写真だけがなかったんです。 それがずっと小さな違和感として胸に残っていて、だんだん「自分はこの世界に居ていいのかな」と思うようになっていました(あとで事情を聞くと決してネグレクトなどではありませんでしたが)。

僕は人を撮るとき、この記憶が原点にあるような気がしています。だからカメラの向こうにいるその人が「ここにいること」を、僕なりに受け止めたいと意識しています。表情やポーズを指示して作り込む技術をあまり持ち合わせていないので、相手がなるべく自然体になるような空気感を大切に、ありのままを写したいと考えています。

今回はLomo’Instant Wide Glass で撮影していただきましたが、使い心地はいかがでしたか?

大きさに少し驚きましたが、カメラ自体は軽く使いやすかったです。 インスタントカメラでいうと僕は普段ポラロイドを愛用しているのですが、それと比較するとやはり最新のガラスレンズが写し出す像のシャープさに感動しました。ピント位置を段階ごとに調整することも可能なので、あえてピントを外して曖昧さを写すのも楽しかったです。

個人的には、強い光を受けるとハイライトが青くなる(特に強いと黒くなる?)のが特徴としてかなり面白いなと思いました。

「フィルム」という大きなカテゴリーでは同じでも、インスタントフィルムと現像が必要なフィルムでは性質が全く異なります。ご自身はこの違いをどのように考えられますか?

インスタントフィルムはその場で確かめられるのが魅力だと思います。写ってくれた人にそのまま「こんなふうに写っていたよ」と見せたり、プレゼントのように渡したり…撮ることがそのままコミュニケーションの一部になるのが好きです。

現像が必要なフィルムは先述したように自分との対話の時間になるし、写っている誰かがいれば、 写真を送るとき「また遊びに行きたいね」とか「また撮って欲しいです」とか、次に会う約束を自然に交わすことができるのが嬉しいですね。そう考えるとコミュニケーションの時間軸に違いがあって面白いですね。

インスタントフィルムにはデジタルにはない”物質性”があります。現代では写真をプリントする人も少なくなりましたが、実際に撮影した写真が手で触れられる形で残ることにどのような意味を感じますか?

画面の中で見る写真と、物体として存在する写真とでは、感じ方が大きく違うと思います。 僕は過去に開催した展示を通して強く感じましたが、写真をなるべく物体として見たいし、見せたいと思っています。

そしてそれは決して展示だけではなくて、生活の中であっても良いと思うんです。写真を部屋の壁に飾ったり、棚の上に置いたり…生活の中に好きな写真があると、ふと視界に入るたびに少し心が動きますよね。リフレッシュになったりとか、ふと立ち止まる理由になったりとか、当時の気持ち思い出すトリガーになったりだとか…。

そういうことを思わせる「装置としての力」が、物体として存在する写真にはあると思います。

今回撮影していただいた写真の中で、お気に入りのものとその理由について教えてください。

今回お借りした期間で最後に撮影した写真です。波の光が好きでよく撮るのですが、このカメラで撮るときは夕刻のきらめきが強すぎて、何枚撮っても青くハイライトが飛んでしまうのが悩ましいポイントでした。「そういえば」とこのカメラにF22の絞り固定撮影モードがあることを思い出し、やっと思い描く光の加減で撮影できた1枚なのでお気に入りです。使えば使うほど発見があり、楽しくなってくるカメラでした。

最後に告知など皆さまに向けて一言お願いいたします。

これからもいつかの展示や写真集に向けて、写真を撮り続けます。もし作品を見て何か感じることがあったら、声をかけてもらえたら嬉しいです。最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたが穏やかに過ごせますように。

包容力のある素敵な写真の数々を見せていただきありがとうございました!この記事を読み終わった方は、fuma yamakawaさんの Instagram のフォローとNOTE のチェックをお忘れなく!

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2025-11-07 #people #in-depth

Lomo'Instant Wide Glass

大きなInstax Wideフィルムでシャープで鮮やかな写真を撮れるガラスレンズを搭載したLomo’Instant Wide Glass。

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