SNAPSHOT magazine 編集長 鈴木文彦、LOMO LC-Wideで撮る

エイ出版社発行の人気のカメラ雑誌「SNAPSHOT magazine」。ロモグラフィー商品も多く御紹介頂いています。その編集長を勤めていらっしゃる鈴木文彦氏にLOMO LC-Wideで撮影した写真と共にインタビューにお答え頂きました。普段は謎に包まれた編集長の写真に対する思いや撮り方、雑誌の裏話までボリュームたっぷりのインタビューをご覧ください!

名前: 鈴木 文彦
都市: 東京
国: 日本

今年2月に創刊された写真雑誌「SNAPSHOT magazine」では、Gallery Store Tokyoや、LomoLab、さらには、Lomographyの新オフィスの様子まで御紹介頂きました。写真とカメラを本気で楽しむ、オシャレに楽しむというサブタイトルを持つこの雑誌のみならず、2006年~2010年発行の写真雑誌「Snap!」の編集長を務められている鈴木文彦氏。ご自身のFlickrには一千枚以上にも及ぶ選りすぐりの作品がアップロードされています。
カメラや写真をこよなく愛する鈴木文彦氏は、新商品 LOMO LC-Wide を手にしてどのように感じられたのでしょうか?ストーリー性のある組写真で撮り下ろされたLOMO LC-Wide写真と共に大変興味深いインタビューが仕上がりました!

いつ頃からロモグラフィーのカメラを使っていますか?また、いつ頃、どんな出会いで使い始めましたか?

いわゆる第一次LC-Aブームのときですから、2000年前後くらいでしょうか。カメラをぶらさげて歩く人が大嫌いだった僕には、「これだ!」というインパクトがロモグラフィーにはありました。必死になってLC-Aを購入しました。いまより買いづらい時代でしたから、LC-Aを手に撮影しているときの優越感は相当なものでした。あらゆるものを撮りまくりましたね。

写真に興味を持ち始めたきっかけは何でしたか?

家にポラロイドSLR680とペンタックスの一眼レフがあり、学生時代にそれらで夏休みの課題などを撮影していました。蝶とその食草を撮りまくるという、マニアックな発表で表彰された記憶があります。

LOMO LC-Wideを一言で表すと何でしょうか?

ケータイ、財布、LC-Wide。

LOMO LC- Wideで撮影していて、印象的な出来事や、驚いてしまった思い出があればお聞かせください。

LC-A+のクセが抜けず、暗いところでも安心という意識で撮ってしまうと、シャッターがなかなか戻ってこないという事態に直面して焦りますね。シャッター音は、昔のLC-Aのようなバネの音がするので、とても気に入っています。また、購入された方なら、みなさん遭遇していると思いますが、フィルムカバーがハーフ向けの半開き状態のままフルフレームで撮ることがしょっちゅうあります。

もし、ここ(LomoAmigosインタビュー掲載ページ)に紹介しているあなたの写真に音楽をつけるとしたら、誰のどんな曲ですか?3曲選んで下さい。

Radiohead / Codex
Atmos For Peace / Feeling Pulled Apart by Horses
Digitalism / Blitz

もし今、LOMO LC- Wideで世界中どこでも撮影しにいってもよいと言われたらどちらに行かれますか?それは、なぜでしょう?

東京。まだ東京の全てを見ていないし、外国語は苦手だし、特別なロケーションは僕の写真に関係ありません。海外の写真は海外の方に任せます。あ、でも火山地帯を撮影したいです。キラウエア火山? 阿蘇山?

これからLOMO LC- Wideで撮ってみたい被写体は何ですか?

がっつりと作り込んだ、テーマ性のある写真を撮りたいです。いま、クラシックの楽曲に写真を付けるプロジェクトに参加していて、そういうものにもLC- Wideを使ってみたいです。ロモグラフィーのカメラを仕事や作品撮りに使うという活動は、ずっと大切にしたいです。なぜなら、ロモグラフィーのカメラが大好きで、それらの地位が向上する可能性がある活動だと思うからです。

おすすめのフィルム、テクニックなどありましたら教えてください

LC-WideはF値が暗いので、高感度フィルムを使うことが多いです。しかし、いろいろなフィルムを試しましたが、Lomograpphy Color Negative100を使ったときのプリントが、絵画的で一番キレイだった気がします。白黒も何本か撮っているので、自家現像をして楽しみたいとも思っています。テクニックらしいテクニックは使っていませんが、露光窓を指でふさいでの即席スローシャッターは良く使いますね。

LOMO LC- Wideををこれから使ってみようという方に何かアドバイスはありますか?

17mmの広角レンズ搭載のコンパクトカメラというのは、歴史的に見てもものすごく貴重な存在。ファインダーで覗いたときよりも、さらに広く写るので、思い切って被写体に近づくのがいいなって思います。ノーファインダーで感覚的に撮影しても楽しいです。

今回のインタビューで撮りおろして頂いた作品は全て2枚1組になる組写真になっているとのことですが、組写真の魅力とは何でしょうか?また、どんなことを意識して撮影されましたか?

僕は映画に関わる仕事をしていたこと、また学生時代に文学系のゼミ(安部公房に関する研究)に在籍していたため、「ストーリー」というものを意識した写真を撮ることが多いです。組写真にすることで、1枚の写真よりもストーリーを伝えようとしているんだということが、見る人に伝わりやすくなります。全く何も意識せず撮った写真であっても、撮った後に他の写真と組み合わせることで、ストーリー性を後から与える場合もあります。つまり「後付け」ですね。でも、瞬間的に惹かれる画は、人それぞれある程度決まっているので、「後付け」でもいいかなと。今回のテーマは、言葉にすると恥ずかしい感じになるので控えますが、映画、音楽、小説など、普段触れているものを自分なりに写真に落とし込んでいます。特に挙げるとすると、『ミスター・ノーバディ』や阿倍公房でしょうか。全て2枚1組であると同時に、僕の中では、全26枚で1つのストーリーになっています。そうそう、僕の会社は「MILLIWAYS」と言います。ダグラス・アダムス著「宇宙の果てのレストラン」ですね。昔の会社名は「ODDJOB」。007のシルクハットの殺し屋。そういうものが僕の根底にあります。

写真を撮影されている時に、テイスト、構図、色や写し方等、ご自身の作品らしさは意識されていますか?どのような撮り方をしてしまう、どんな被写体に惹かれる等、意識のあるなしに関わらず、お気に入りの一枚となる作品に傾向があれば教えて頂けますか?

自分らしさはネガティブです。ネガティブなものをネガティブフィルムで撮っているんだね、と、知り合いの写真家さんに笑われたことがあります。でも、かけがえのない瞬間を愛おしく感じるからネガティブになるわけで、裏を返せば愛に溢れた人間だということ(笑)。クロスプロセス、多重露光、カラーフラッシュ、白黒などを使い分けますが、カメラが変わろうが、フィルムが変わろうが、軸はぶれないようにという点は意識していますね。ただし、ボケを活かせるカメラかどうかで、だいぶアプローチは変わります。LC-Wideはボケをコントロールできないので、「光」を活かすことを意識しました。遊んでいる最中の素を撮るのも重要ですが、設定を作って撮るのもおもしろく感じています。なぜなら、写真は「ウソ」を作れるからです。写真は真実だけを撮る必要なないと思っています。写真で何かを表現しようとするなら、なおさらですね。

雑誌「snap!」がリニューアルして、新たに「SNAPSHOT magazine」が今年2月に創刊しましたね。編集長!これらのコンセプトの違いはありますか?特にお勧めのコンテンツや人気のコーナーがあればぜひ教えて下さい。

当初「SNAPSHOT magazine」は「SHOT」というタイトルになる予定で、「snap!」とは全くの別物でしたが、雑誌名に使うことが出来ないことが分かり、「SNAPSHOT magazine」になりました。この時、「snap!」のリニューアル版としてやっていこうという意識に切り替わりましたが、やはり「snap!」は僕の中で特別な存在。僕が作っているので、当然共通性はありますが、作っていて意識の違いはあります。今後は「snap!」の復刊を狙うと同時に、イベント、カメラアイテムプロデュース、他の写真誌の特集企画など、総合的に写真関係に携わる組織として「snap!」を機能させようとも考えています。「snap!」はほとんどロモグラフィー専門誌という感じでしたよね。いまでもクロスプロセス特集、多重露光特集などは非常に価値があると思っていますので、ぜひバックナンバーを見ていただきたいです。

雑誌「snap!」や「SNAPSHOT magazine」では、商品だけでなくロモグラフィージャパン、ウィーン本社や海外のロモグラフィーイベントも取材して頂きました。印象深かったスタッフやエピソードなどありましたか?

2006年末、「snap!」創刊時に、ロンドンで開催されたワールドコングレスに招待していただきました。「snap!」は、もともとLOMO LC-Aを紹介する書籍として企画されたんです。でも、ロモグラフィー的にLOMO LC-Aで1冊の本はNGで、これを回避するために、ロモジャパンと相談して雑誌風にし、LC-Aを特集的扱いにしたところ、運良く定期刊行物になったという経緯があります。まだ1冊も雑誌を出していない僕をロンドンに呼んでくれたロモグラフィーには感謝しています。仕事が熱意で動くという体験を初めてしました。そして、今もロモジャパンのみなさんとはファミリーだと感じていますし、ロンドンで出会ったロモグラファーの友人とはいまも交流が続いています。ただ、僕は英語が苦手。ロモグラフィープレジデントのマティアスと東京で再会したとき、「まだ英語が話せないのか!」とハッパをかけられたことを覚えています。英語の修行をいつかスタートさせたいです。また、ロモジャパンの一軒家オフィスの間取り図を「SNAPSHOT magazine」に掲載できたのはおもしろかったですね。

最後に、何か告知等ございましたらどうぞ!

「らくらくカメラ大図鑑」(エイ出版社)発売中です。ロモグラフィーカメラなど550機種ほどのローファイ&アナログカメラを紹介しています。歴代LOMO LC-A(レアなゴールドモデルなども!)、1960年代のオリジナルDianaも網羅しています。ただし、LC-Wideは間に合いませんでした…。また、8月には写真家さんとアーティストさんがトイデジを使った作品づくり提案をする書籍「トイデジのアイデア」(技術評論社)が発売されます。こちらもトイデジを扱いつつ、ゆくゆくはフィルムカメラなど本格的な写真生活をスタートしていただけたら、という気持ちを込めて作っています。よろしくお願いします!

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2011-08-11 #people #snap #lomoamigo #suzuki # #snapshot-magazine #lomo-lc-wide # # kyonn の記事

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