Aya Cabauatan: フィルムを愛するまで

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Z世代の一人として生まれた私たちは、フィルムと共に育ってこなかった世代です。携帯カメラの技術は写真を撮ることをより簡単に便利なものにし、写真の世界に飛び込む敷居が低くなったということは、人々がクリエイティブなことによりアクセスしやすくなったということでもあります。

今回はフォトグラファーの Aya Cabauatan についての記事です。彼女が、iPod Touch と Lumix のデジタルカメラを手にしたときから、写真の世界の冒険は始まりました。時間を経るにつれフィルムでも撮影をしていましたが、人生観を変える日本への旅や友人たちの影響で、フィルム写真は彼女の制作において重要な部分になってゆきました。それ以来、彼女は母国でいくつかの大手出版会社で撮影をすると同時に、個人的プロジェクトのように、フィルムでの撮影が未だ商業的に有効であることを示しました。今回、Aya にアナログ写真をどのように彼女の仕事の一部として組み込んでいったのかを聞きました。

photos by Aya Cabauatan

こんにちは、自己紹介とどうやって写真を始めたか教えてくれますか?

こんにちは!Aya Cabauatan、24歳、Manila を拠点にしているフォトグラファーです。私の仕事はライフスタイルと写真編集に密接にかかわっています。しかし、たまにジャンルを超えて遊ぶことが大好きで、特にフィルムを通して遊ぶことが好きです。私の写真へのきっかけは趣味として写真をやっていた父の影響です。2012年のアメリカへの旅行で、iPod touch と Lumix のコンパクトカメラを使ってあれこれ実験をしていました。そして Instagram でフォトグラファーコミュニティの “_positivity” に参加しました。高校では学内誌用にイベントをドキュメントするためにデジタル一眼レフの使い方を学びました。さらにファインアートに触れたり、モデルと試写をするための場として Flickr や Tumblr も通ってきました。

同時に家族や友達のためにちょっとした仕事も請け負うようになりました。ソーシャルメディアや閲覧者のおかげで、ポートフォリオが出来上がり、大学を通して素晴らしいクライアントを手に入れることが出来ました。5年近くフリーランスをやり、やがて卒業後の2020年にはフルタイムのフォトグラファーを目指していました。

あなた自身の写真のスタイルをどう見ていますか?

私のスタイルは光や色、動きなどの純粋な要素によって強く決定されます。幼少期の経験、田舎への夏の家族旅行、日本への留学からインスピレーションを得ています。また、無視されがちな細かいところにシュールレアリスムのヒントを入れ込むのが大好きです。ヴィジュアルだけでなく、私のスタイルを形作っているもっとも価値があり本質的な側面はプロセスにあると思います。独学のフォトグラファーとして、私のスタイルはアナログとデジタル、意図的なものと偶然性、美しさと不完全性の融合から徐々に発展してきました。コラボレーションを楽しむクリエイターとして、情熱的なプロジェクトを具現化するための対話を始めることも大好きです。

photos by Aya Cabauatan

フィルムはどうやって始めたのですか?このフォーマットを使いたいと思った瞬間は?

2014年に父の Nikon F3 を使って撮影したのが初めてで、その時フィルムへの興味もわきました。その後、友人の Javier (@rocket_fries0036) にフィルムでの撮影が面白いことを気づかされたのは2019年の留学時でした。パンデミック中にこのメディアに戻ってきたわけです。

制作のスランプになった時、フィルムの穴に飛び込んでいきました。最初はおさがりや借りたカメラで練習をしました。2021年、現像とスキャニングをよく頼むラボ、Sunny16 のFrancis から初めての中判カメラを買いました。その年に初めてのレンジファインダーも手に入れました。私があこがれるフォトグラファーからの Leica M4 です。特別な瞬間があったとは思いません。やっていくうちに見つけていったような気がします。今でも、実験とアナログとデジタルの間を行き来していることを楽しんでいます。

編集したものから、製品写真、依頼から日常まで、広範にわたるポートフォリオですね。これら異なる分野をまとめるものは何だと思いますか?

私のスタイルからいえば、私の作品たちをまとめているのは、自分が制作に対してもつ哲学やコラボレーションを楽しむセンスだと思います。その瞬間に没頭し、平凡さと非日常の両方に感謝しています。コンフォートゾーンを飛び出し新しい光の中で世界を見ようとしています。

photos by Aya Cabauatan

撮影の際にフィルムを選択することへのリスクについて、クライアントにどうやって納得してもらっていますか?

先程も言ったように、フィルムへの情熱はパンデミックの時に再燃しました。実験や失敗をすることで学んできました。多くのカメラやフィルムを試しました。クライアントの仕事では、追加料金なしでデジタルと並行してフィルム撮影を行いました。#ayalogue と Instagram でタグ付けして共有をし、クライアントやコミュニティーからポジティブなフィードバックを受け取るようにしました。そうすると、ありがたいことに、自然と他のクライアントもお願いしてくるようになりました。

個人的な練習の気分転換の為だけにやっていました。しかし、フィルムが制作をどれだけ楽しませてくれているのかということに気が付きました。このことが、近いことをしているクリエイターや一緒に働いてうれしいと思えるクライアントたちへと導いてくれました。コラボレーションにおいて、他の何よりも信頼と関係性を築き上げることが大切だと思います。写真は大きなボーナスでしかありません。

フィルム撮影で一番大変なことは何ですか?

フィルム撮影で最も難しい部分は成長曲線の様な忍耐力だと思います。構図、フォーカス、機能の設定、ミスから学ぶこと。ビューファインダーをのぞき、シャッターを切るべきか、カメラを下すか見極めること。その瞬間こそ興奮と緊張の両方を感じる瞬間です。面倒な部分ではあるけど、自分の思った通りの写真を撮ろうと挑戦する最も楽しい部分であるとも思います。

A compilation of light leaks and "mistakes"

シェアしてくれた写真の多くはロモグラフィーのフィルムで撮りましたね。ロモグラフィーのフィルムはどこが好きですか?

機会があればフィルムで実験することが大好きです。No Rome の ミュージックビデオの宣伝用に Lomography Color 800 を+1と+2で増感現像しました。仕上がりにはかなり満足していて、個人的にはパリッとしてハイコントラストな写真を産むロモグラフィーが気に入ってます。

photos by Aya Cabauatan

もしフィルムを選ぶとしたら何を選びますか?

何においても ISO 400 ですね。増感・減感の柔軟さがありつつ、暗所でも撮影可能ですから。

ロモグラフィーコミュニティになにかアドバイスはありますか?

自分自身に忠実にいてください。何かを創ることは自分にとって多くを意味しています。自分の為のチャンスを作って、外に出ること怖がらないでください。

photos by Aya Cabauatan

写真とストーリーをシェアしてくれてありがとうございました!Aya の Instagram や彼女のフォトスタジオ BALAY KŌBŌ をフォロー、#ayalogue で検索もしてみよう!

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