期限切れフィルムの撮り方


フィルムには使用期限があります。2024/10のように月まで指定して記載がされていますが、その月を過ぎたからと言ってすぐダメになるものではありません。ただ、10年以上期限が切れたフィルムは劣化が進んでいていろんな変化が起こります。ここではそんな期限切れフィルムの特徴となるべく無駄にせず撮る方法をご紹介します。

期限が切れたフィルムを撮る時は主に以下のことに注意してください

① 感度の低下
② 色の劣化
③ ノイズの増加
④ 強いカール

上が期限切れのフィルム、下は期限内に撮影したフィルム。期限切れのフィルムはカールが強いのでテープで押さえています。

① 感度の低下:

10年ごとに1段明るく撮る、なんてよく言います。例えば10年前に期限が切れたISO400のフィルムはISO200で撮って現像する感じです。ただこれも、大雑把なルールで、保存状態が悪かったフィルムにはこのルールはもっぱら適用しません。逆に、期限が切れる前から冷凍保存してあったフィルムは劣化が最小限に抑えられているはずなので期限切れフィルムの中では一番安心できると思います。あと、個人的な経験では、F社製のフィルムが一番"写る"ことが多かったです。

ちなみに、高感度フィルムの方が劣化が早いです。なのでISO100のフィルムでもし問題がなくても、ISO800のフィルムでも写るということでもありません。さらに、ポジフィルムは一番リスキーなので、10年以上期限切れたものはクロス現像するのが安全策な気がします。(もちろん全て保存状態によります)

→じゃあどうやって撮る?
ネガは露出オーバーにとても強いです。なので明るく撮って損はしません。ISO800でも400でも、とりあえずISO100で撮っておけば安心かと思います。200とか100だったら25で撮って幸運を祈りましょう。自分で現像ができる人は増感現像してもいいと思います。

2009年に期限が切れたFujifilm Venus 400をISO100に設定して撮影
期限不明のColor Negative 800をISO200に設定して多重露光

② 色の劣化:

モノクロの期限切れフィルムを持ってる人は飛ばして結構です。カラーフィルムにはそれぞれの色に反応する薬品が塗布されています。期限が切れるとこの薬品が劣化し、通常の発色ができなくなります。

Fuji Superia 800 (15年ほど期限切れ) をISO200で撮影し、1段増感現像
Kodak Vision3 200T (10年ほど期限切れ) をISO320で撮影し、C-41で現像 (クロス現像)

ちゃんとネガに像が出たからといって色が正確だと思ってはいけません。ただ編集である程度は補正できます。お店の方に事前に期限切れフィルムであることを伝えて色補正をしてもらうのもありですね。最初の2枚はスキャン時にある程度色補正をしたのでそこまでひどくはないですが、それでも色のバランスが悪いのがわかると思います。

③ ノイズの増加:

期限が大きく切れたフィルムはノイズも増します。もちろんフィルムによりノイズ感は変わりますが、感度が高いフィルムやクロスプロセスしたものがよりノイズが多くなる印象です。

④ 強いカール:

これに関しては何だ?って感じの方もいると思いますが、フィルムはぐるぐる巻きにされているので、保存期間が長いほど巻きのクセが強くなり、結果的に現像してもカールが強いフィルムに仕上がってしまいます。あと、フィルム自体が縦に湾曲することが多いです。カールが強いとスリーブに入れたときにクルクルしちゃいます。それだけです... それが気になる人は期限切れフィルムは避けてください笑


-期限が切れたモノクロネガフィルム-

期限切れフィルムの中でもモノクロネガが一番失敗しないフィルムかと思います。モノクロフィルムはカラーネガに比べ構造がシンプルで、色を出す必要がないので強い劣化を感じることはないかと思います。だからと言って50年物のモノクロネガできれいに撮れるわけではありません。カラーフィルムと同様、感度の低下とノイズの増加は同じく発生することが多いです。

Kodak Plus-X Pan 125 (20年以上前に期限が切れたもの)
すごく古いフィルムですが、ずっと冷凍保存していたこともあってしっかり写っています。

-期限切れポジフィルムについて-

期限切れのポジフィルムはクロス現像前提で撮ってください。でも、ポジフィルムにも2種類あって、E-6(CR-56) と書かれたものと K-14 と書かれたものがあります。前者はいまでも流通しているタイプのポジフィルムですが、 K-14 と書かれたものはKodachromeシリーズのフィルムで、10年以上前に生産終了になりました。Kodachromeもポジフィルムですが、現像プロセスが違うため、カラーネガの薬品に通しても像は出ません。むしろ薬品を汚してしまのでお店に現像に出すのはやめてください。モノクロ現像で像を出せることもあるようですが...実験好きな方はお試しあれ...

15年ほど期限切れのEktachrome E200をクロス現像 (コントラストが強くなり、ノイズが増え、色味がおかしくなります。)

ポジフィルムをあえてカラーネガとして現像するクロスプロセスはロモグラファーの間でも人気の撮影方法です。すごくファンキーな写真が出来上がるので興味がある方はぜひやってみてください。ロモホーム にいっぱい写真が投稿されています。

上が通常通り現像したポジフィルム、下がクロス現像したポジフィルム。

現在期限切れフィルムが1000円以上で販売されているのをよく目にしますが、保存状態や使用期限年が不明な期限切れフィルムはリスクが大きすぎます。なので格安で見つけたり家の中で偶然見つけた時や、保存環境と期限が明記されたもの以外の期限切れフィルムを購入するのはかなりリスキーです。現像代も安くない今、1枚でも写真を無駄にしたくないという方はフィルムは新しいものを買ってなるべく期限内に撮るようにしましょう。

もちろん、ロモグラフィーの実験的な精神で期限切れフィルムで撮るのは大歓迎!でも、真っ黒なフィルムが出てきても、悲しまないでくださいね...

そして、期限内のフィルムは冷蔵庫で保管して、撮影したらなるべく早く現像するようにしてください。
(フィルムの結露を防ぐために、冷蔵庫で保管したフィルムは常温にもどしてから、冷凍庫の場合は1日冷蔵庫で解凍した後に常温に戻してください。)

ロモグラフィーのフィルムを現像してくれるお店はこちら→ロモグラフィーのフィルムはどこで現像してくれるの?


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2023-06-16 #チュートリアル kota_97 の記事

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