ロモグラフィーの超低感度フィルムの魅力
Share Tweetフィルムには感度があります。フィルムで撮ったことある全ての方は100とか400という数字を見たことがあるはずです。数字が大きければ大きいほど光に敏感で暗い場所でも撮影ができます。低感度フィルムじゃ夜でも撮影が出来ない、という訳ではありませんが、シャッタースピードを極端に遅くする必要があるので手振れしたり、三脚が必要になります。モノクロはISO3200のフィルムが販売されていますが、カラーに限ってはISO800止まり。ロモグラフィーでも現存する数少ないISO800のフィルム を販売しています。高感度であることは暗い環境での撮影に大きなアドバンテージをもたらしますが、同時にノイズが増えるものです。フィルムは光に反応する小さな化学物質の粒が無数に塗られています。簡単に言えば、フィルムの感度が上がる分だけ、光に敏感にならないといけないためにその粒子が大きくなるのです。なので高感度フィルムはノイズが多く見えるのです。
逆に、感度が低くなれば、光にそこまで敏感になる必要がなくなるので、粒子の大きさも小さくなります。低感度といえば100とか50といったところでしょうか。
では、超低感度と聞いてどんな感度を想像しますか? ロモグラフィーにはISO8と13のモノクロフィルムがあります。そう、ISO8と13。80でも130でもないです。
フィルムの感度が低いと、その分シャッタースピードや絞りを調節する必要があります。例えば、ISO100のフィルムでシャッタースピード1/125で絞りf/5.6の場合。シャッタースピードだけを変えることにしてみましょう。
- ISO50のフィルムだと、シャッタースピードは1/60に。
- ISO25のフィルムだと、シャッタースピードは1/30に。
- ISO12のフィルムだと、シャッタースピードは1/15に。
- ISO6のフィルムだと、シャッタースピードは1/8に。
こんな感じになります。ISO8と13は6と12に近いので、ここでは同じにして扱います。
手振れを防ぐには、シャッタースピードの分母の数字が焦点距離と同じにする、なんてよく言います。例えば50mmのレンズを使っていたらシャッタースピードは1/60にする、のように。望遠だとさらに手振れが目立たつのでこのルールはあくまでも参考程度に。これを考えると超低感度のフィルムが使いやすいとは、、、言えないですよね。。。
ロモグラフィーの超低感度フィルムの魅力
粒子感がない様子を実際に比較写真でご覧ください。極端な例でISO1600で撮ったBerlin 400とFantôme 8の写真を並べてみました。滑らかさが劇的に違うのがわかると思います。フィルムでもこんなに繊細な写りができるというのをぜひ覚えていただけたらと思います。
(✴︎すごく細かい話をしてしまうと、使う現像液や現像の仕方で同じフィルムでも粒子感やコントラストが変わります。ただその話をしてしまうとキリがないのでここでは割愛させてください。)
超低感度フィルムの滑らかさを知っていただいたところで、ロモグラフィーの超低感度モノクロフィルムを2つご紹介します。
Fantôme Kino 35mm ISO 8
・ロモグラフィーで一番低感度のISO8
・コントラストがとても強い
・滑らかでこってりした描写
・黒が美しい
・パンクロマチック
Babylon Kino 35mm ISO 13
・晴れてたらそんなに困らないISO13
・Fantômeよりはコントラストが抑えぎみ
・Fantômeと比べて少し柔らかい描写
・グレーが美しい
・パンクロマチック
-撮影時の注意事項-
露出はしっかり測ってください。超低感度なのでアンダーになりやすいので露出計内蔵のカメラか、外付けの露出計などを使うようにしてください。
個人的にはBabylon 13が好きですね。滑らかで、線が細かい写りで、光が差し込むシーンで撮ると光を立体的に描写をして、逆にニュートラルなシーンではふわっと優しい写りになります。
デジタルでは編集で色んな姿に写真を変えることができますが、フィルムはそれぞれの特徴があって、その違いを楽しむのがフィルムの楽しさでもあると思います。モノクロフィルムは色要素がない分、撮る側も見る側も構図や光に注目がいきます。光をうまく活用したモノクロ写真はとても美しいです。みなさんも、超低感度の世界をぜひ体験してみてください。
-プチ情報-
BabylonとFantomeはカールがすごいです。なので自分でスキャンされる方や保存用のスリーブに入れるときは注意してください。
(切らずにロールのままカールの向きと逆に巻いておくとクセは直ります。)
また、ご覧の通りFantômeはネガが透明でコントラストが強いのが見て分かると思います。今度機会があったら印画紙にも焼いてみようと思います。
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2023-06-23 kota_97 の記事
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