Petzval 58 Bokeh Control Art Lens: Snap! 鈴木文彦

フィルムカメラに情熱を注ぐ鈴木文彦さん。Snap! magazine編集長としてアナログカメラ業界で長年活動してきました。最近では「レンズの時間」、「フィルムカメラの撮り方BOOK」など、カメラ関連のムック本に携わり、様々なカメラ情報誌で執筆活動を続けています。そんな鈴木編集長にPetzval 58 Bokeh Control Art Lensを使っていただき、最近のフィルム事情、そしてこのレンズを使った感想を伺いました!

鈴木文彦編集長。アーツ千代田3331にて。

Name: 鈴木文彦
Location: 日本
Web: snap-magazine.jugem.jp
SNS: Instagram, Twitter

―Webマガジンにご登場いただくのはなんと4年ぶりです!改めて鈴木さんの自己紹介と最近の状況を教えて下さい!

写真・カメラに関する雑誌や書籍を作っています。書いたり、撮ったり、イベントしたり。もともとは 「snap!」 という、ロモグラフィーの専門誌なんじゃないかっていうくらい、ロモグラフィーネタ満載のフィルム写真雑誌を手掛けていて、それは残念ながらもうないのですが、いまも 「snap!」 という名の下に、趣味の写真が楽しくなればなっていうことを軸にした媒体を作っています。

―普段からフィルム写真の良さを伝える活動をしている鈴木さんですが、鈴木さんが最近注目しているフィルム事情や小話など、何かありましたら是非聞かせてください。

ファッション写真家さんなどの影響で、新たにフィルムをはじめたい若者が一定数いるという話をよく耳にします。同時にフィルムカメラはかなり中古市場で安くなっていて、フィルム価格の上昇があるものの、さほど元手がかからずにスタートできます。しかし、買ってすぐに壊れてしまった…、みたいなことがあるらしくて、ちゃんと良い状態のフィルムカメラを手にすることができるような世界にならないとなあ、と日々考えています!

Photos by Fumihiko Suzuki. Taken with Canon EOS 7S and New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens.

―今回の撮影で使用したカメラ、フィルムを教えてください。また、どういったシーンで撮影されたのでしょう?

フィルムとデジタル、両方で撮りました。フィルムはCanon EOS 7S+Kodak Portra 400、デジタルはCanon EOS 6Dを使っています。レンズをお借りできるのが2日間、そして仕事が入ってしまっていました。さらに1日は土砂降りの雨。仕事の移動中、大雨の新宿御苑、そしてベイブリッジの真下にある「芝浦ふ頭南公園」で撮影しました。

―Petzval 85mmと比べて、使い勝手や写りはどうでしたか?

普通は焦点距離が長いレンズの方が大きいのですが、58mmもなかなかの重量級で(笑)。絞りはプレート式、フォーカスはノブ式という独特の仕組みは85mmと同じで、とてもクラシカルな操作を楽しめると思います。58mmの売りであるボケ味のコントロールはおもしろい発想ですね。いわゆる「グルグルボケ」というのは、オールドレンズの世界でも人気で、それを好きな強さでコントロールできる。最小でも充分にグルグルする感じで、最大にすると外側にボケが引っ張られるような放射状のグルグルに。個人的にはナチュラルレベルのグルグルが好みなので、控えめな設定で使うと思います。たぶん、控えめにしても85mmと同レベルくらいのグルグルかなと感じました。

―Petzval 58 Bokeh Control Art Lensをアナログで使う良さ、デジタルで使う良さをそれぞれ教えてください。

デジタルは写りすぎる感覚があって、ボケレベル最大にすると少しわざとらしいというか、はっきりとグルグルボケが出過ぎてしまう気がします。個人的にはフィルムカメラで使う方が相性は良いかと。過剰なグルグルボケがなだらかになり、ドリーミーに被写体を浮かび上がらせてくれます。今回はCanon EFマウントのものをお借りしましたが、Petzvalはゴールドの真鍮製で見た目のインパクトがとてつもないので、味気ないデジタルカメラに付けても個性的になるところがいいですね。Nikon Fマウント版Petzvalのブラックバージョン+Nikon F3あたりがきっとカッコイイはず!

左: フィルムで撮影 右:デジタルで撮影

―Petzvalといえば「ぐるぐるボケ」ですが、その他に鈴木さんが好きなところは?

重み(笑)。真鍮製じゃないですか。いまはカメラもレンズも軽量化が至上命題。それなのに真鍮を使うなんて最高の発想ですよね! 重くたってカッコ良ければいい。さすがですよ。

Photos by Fumihiko Suzuki. Taken with Canon EOS 6D and New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens.

―お気に入りの写真はどれですか?撮影時の裏話や使用したカメラとレンズの設定も覚えていたら教えてください。

2日間のレンタル後、レンズ返却に行った際に撮ったロモジャパンの星さんと澤中さん。ロモグラフィーの商品はとにかく人を撮ると魅力的なものばかりで、よく返却時に撮らせてもらうんです。さすがロモグラフィーにお勤めだけあって撮られることに抵抗がないおふたりで。これはボケレベル最大で撮りましたが、中央に寄り添ってもらうことで、顔の部分はちゃんと描写されました。僕自身、撮らせてください、と言われるのは照れますが嬉しいもので、だって撮りたいということは残したいと思ってくれたということじゃないですか。みなさんも、気軽に撮り合っていただきたいです!

Photo by Fumihiko Suzuki. Taken with Canon EOS 7S and New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens.

―このレンズを使うときの理想のセッティングは?どんなシチュエーションで何の写真を撮影してみたいですか?

ピントが合った部分に甘さは出るかもしれないけれど、開放一辺倒で愉しみたいレンズですね。遠景を撮ろうとすると全体的にぼんやりするのですが、それもまたドリーミーで良いと思います。東京湾を遠景で撮った写真を繋げてパノラマ風にした写真は、日射しを浴びたビルがハロによって輝いて見えて、とても気に入っています。でも、やはりポートレートをはじめとした、主題がはっきりとした写真が良いかなって思います。構図のことは考えず、ど真ん中に被写体を置き、グルグルボケを存分に味わいたいレンズです!

―Petzvalは歴史的なポートレイトレンズですが、世界中どこでも、いつの時代にもいけて、誰でも撮れるとしたら、鈴木さんは誰を写しますか?

写真の仕事をする前は映画のインタビュアーをしていたんですね。だからちょっと偏った意見になっちゃいますが、3代目ジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーア(笑)。彼に会いたくて映画の仕事をはじめたんですよ。あとユアン・マクレガー! 映画の仕事をはじめたとき「トレインスポッティング」が公開されて、僕の作っていた映画誌の付録CD-ROMの盤面にユアン・マクレガーの写真が使えたんです。同年代だし、それ以来ユアンは勝手に特別な存在だったりします。そのふたりですね。まだチャンスはある!

Photos by Fumihiko Suzuki. Taken with Canon EOS 7S and New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens.

―最後に、何か告知等ございましたらどうぞ!

2016年初頭に「レンズの時間 Vol.2」を発刊させていただきます。この中でも、ロモグラフィーとタッグを組んで特集を作っている最中ですので、ぜひ見ていただきたいです! また11月7日に、ロモグラフィー×ポパイカメラ×snap!で 高校生限定LOMO LC-A+ワークショップ をやったのですが、すごく運営サイドにとっても刺激的で、若い方に向けた活動は今後も続けていきたいですね。

【高校生限定】 Lomography x SNAP! x ポパイカメラ LC-A+ ワークショップ
SNAPSHOT magazine 編集長 鈴木文彦、LOMO LC-Wideで撮る


Petzval 58 Bokeh Control Art Lens

この記事の写真はPetzval 58 Bokeh Control Art Lensで撮影しました。
レンズ詳細 | 予約ページ

2015-11-09 #people #lomoamigo ciscoswank の記事

New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens

歴史的なデザインと機能を備えた58mmロシア製プレミアムレンズ。ボケ調節リング搭載でペッツバールのぐるぐるボケを7段階でコントロールできます。

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