Lomography ✖ Snap! 鈴木文彦 特別インタビュー <後半戦>

2017-10-20

<登場人物>
鈴木文彦:フリーランスエディター( WebTwitterInstagram
星希依子:ロモジャパン代表
インタビューアー石田:ロモジャパンスタッフ

(話題は働く立場から、内から見たロモグラフィーへ移っていきました。)
<インタビュー前半はこちら>

I:星さんはロモジャパン代表として全世界のスタッフと常に連携を取りながらお仕事をされていると思いますが、各国ごとに文化の違いやチームカラーってあるんですか?

H:カラーはやっぱりそれぞれの国にあります。フランスとかは、ルーズというよりは、とてもリラックスしてる感じがしますね。オーストリア本社も同じくリラックスしてますね。とりあえずコーヒー飲もっかみたいな感じ 笑。ただ、各国のGM(社長)が集まったりとか、経営に関するトップとの会合ではもっと緊迫しています。シリアスな時は非常にシリアスですね。あとは、往々にしてアジア各国は真面目ですね。アジア人の特徴と言えばそれまでですけど。カメラ好きな人も多いし、ずーっとロモで働いている人もいますね。特に香港の人はみんな穏やかですね。仏みたいな感じ 笑。本当に落ち着いている。日本が焦りまくり心臓バクバクで寝れないみたいなシチュエーションの時に、なにも気にしてなかったりとかしょっちゅうありますね 笑。

2014年 Lomography 本社があるオーストリア、ウィーンにて会議 - Photos by Kieko Hoshi, Shot on LC-Wide

I:面白いですね。各国のスタッフで情報交換をしながら、共通のゴールを持って働けるっていうのもロモで働くことの魅力の一つですね。
じゃあ、そんなロモともし関わっていなかったら、お二人とも何をしてたと思いますか?

H:想像できない笑

S:もし最初のロモの雑誌への掲載が断られちゃったらどうしてたんだろう…。でも、それでもロモが好きだからダマ(許可なく)でやっちゃってたかも。もちろん、編集者としてはやっぱり間違ったものを作りたくはないし、メーカーの人には確認してほしいけど。

2010年 南青山 Lomography Gallery Store Tokyo最終日 - photo by 鈴木文彦, shot on LC-A

H:私ももしロモで働いてなかったとしても、たぶん引き続きロモグラファーでしたね。でも、ロモっていうブランドで働いてみて分かった「納得感」はなかったかと思います。各国のスタッフと知り合ったり、特にサリーとマティアス(ロモグラフィーの設立者)と会って、「あ、やっぱりこの人たち本当にすごい!変!エネルギーがすごい!」って思いました。
何かを実現させるときに、楽しまないと絶対魅力がない。それがスタッフからひしひしと伝わってきましたね。それが中に入ってみて分かったことです。

S:そうだね。あと、一緒に仕事をしてると、ロモぐらい柔軟に対応してくれるところはないかもしれないって思うよ。そりゃほかの会社も、「組織」だから、いろいろ縛りは出るのはしょうがないと思うんだけど、ロモは、それでも「好き」っていう気持ちを優先してくれて、それを第一に考えて付き合ってくれるのはほんとに嬉しい。

I:そうですね。ロモのなかにいると気づかない部分もあるのですが、外から見てロモが特別なことってありますか?

S:そうだね。なんか会社を作ると、それを大きくしていくことが正義になりがちなんだけど、成長していく途中で、当初の理念を忘れてしまって、会社の理念が後から取ってつけたようなものになってることが多いよね。でも、ロモは最初から何も理念が変わってない。そこがスゴイと思う。アナログにこだわると最初に決めたのだから、そこはどんなに時代が変わっても曲げないという強さがある。

H:ロモは今年で25周年ですけど、続けていくことは大変なんだなって思います。中に入って、浮き沈みを体験した身としては、よく存続してこれたなっていう印象です。これはいつも思うんですけど、会社というよりは《人間っぽい》。間違えることも多いし、それでもやりたいことにトライするし、失敗しても、挑戦した結果だったら許せると思えます。サリーは各国の社長を子供たちのように見てくれますし、プライベートでも常に親身になって考えてくれる。それが他の会社では絶対にないと思う。

I:創業からいろいろなことがあって、苦しいときも理念を変えずにがむしゃらに走ってきたんですね。確かにロモって単なる企業という概念に収まらなくて、意思を持った一つの大きい生き物みたいなイメージの方が近いかもしれませんね。常にもっと面白いことを求めて進み続けてるような。

2013年 Lomography+オープニングパーティー後のオフィスにてお祝い、Petzval 85 Art Lensのローンチパーティ@アーツ千代田3331 - Photos by Kieko, Shot on LC-Wide

最後に、お二人がこれから挑戦していきたいことを教えてください。

S:若者にLC-Aの良さを伝えたいですね。自分が過去にLC-Aの虜になった時に経験した、楽しさや自由な感覚をみんなにも伝えたい。今の若者は使い捨てカメラを手にしているけれど、せっかくフィルムカメラを手にしているのだから、フィルムについての好奇心をもっとたくさん持って、さまざまなフィルムカメラを手にしてほしいなって。きちんとフィルムを選んで、どんな魅力がそこにあるのか知ってもらいたい。ロモにもパープルクロームやX-Pro Slideとかもあるしね。なにより、LC-A+というカメラが普遍的な魅力を持っていることを知って欲しい。今後、ワークショップを企画しているけれど、そういう場でしっかりと伝えていきたいです。

H:ちょっと大げさかもしれませんが、いま仕事がつまんないとか、生きてる意味を見失ってる人がいたとして、自分の中で変わるキッカケを与えられるようになりたいですね。その一つのきっかけとしてフィルムや写真が寄り添えればいいなと思います。

2012年 - Lomography香港のオフィス - Photo taken by LC-Wide / 2010年 & 2014年 - Photos by Kieko Hoshi, Shot on LC-A+

H:同じものを作り続けていくことって、簡単なようで実はとても難しくて。あんまりないじゃないですか。ロモが辞めたらこの世からなくなってしまうものが多すぎるので、絶対に未来につなげていくしかない。
何よりも、自分がLC-A+で初めて撮ったときすごく感動したんですよ。LC-A+のワークショップに行って、クロス※で撮って、現像して、「ヤバい!」ってなった。人生が変わるくらいの体験をしました。それは、ほかの人も共感できるタイミングがあるんじゃないかなと思います。

photos by 鈴木文彦, shot on LC-A 120

S:なくなったものは絶対に元に戻らないしね。
ロモ創業の時、製造中止直前のLC-Aをなくしたらダメだとマティアスたちが立ち上がり、ロシアでの交渉、中国での再生産のスタートなど、LC-A+へと繋げていったあたりの話は本当にすごい。いまはフィルムに関する商品は、いきなり製造中止のアナウンスが入り、そこからなくさないで欲しいと運動したとしても、もう大企業では何年も前から決定済みの事項だったり、そもそも工場での製造が止まってから何年も経過しているとか、もう手の施しようがなかったりする。それをロモは LC-A+ で覆したんだよ。

H:ほんとにスゴイです。すごいパワー。怖いもの知らず。LC-Aの生産を続けるためだけに、政局を無視してロシアに乗り込んで当時副市長だったプーチンと交渉したりとか。アイディアだけじゃなくて、実行してしまうところが、本当にクレイジーです。

I:ロモはプロダクトが独創的なだけではなく、創業の歴史も、実際に働くスタッフも、クレイジーでパワフルで、周囲を巻き込んでいく魅力があるということに改めて気づかされました!今日は面白い話を有難うございました。鈴木さん、これからもLomographyを末永く宜しくお願いします。


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