夜の世界を幻想的に写し取る

2012-12-25 1

長時間露光(LX)は、夜の風景など暗い世界を幻想的に写し取ることのできる定番かつ人気のテクニック♪
夜の街並み、道路、トンネル、工場、日没後の宵闇、そしてクリスマスのイルミネーションなど…、素敵な被写体は明るい日中だけでなく夜の世界にもたくさんあふれています。なんだか難しそう?いえいえ、必要な装備と最低限の知識を身につければ誰にでもかんたんに素敵な写真が撮れちゃいますよ~。

この写真は、LC-A+を使って、夜の高速道路上を走る自動車のライトを長時間露光で撮影したものです。自動車やトラックが放つ様々な色のライトが線のように流れ、幻想的な光のシャワーを描いています。難しそうに感じる人もいるかもしれませんが、これは実はそんなに難しくはありません。それではこういった夜の世界を撮るためのいくつかのTipsを紹介していきますね~ (^_^)

【必要なもの】
1. カメラ( LC-A+HolgaDianaBelair X 6-12 等、長時間露光の容易なカメラがベター)
2. 三脚(必須)
3. ケーブルレリーズ(必須)
4. フィルム(基本的になんでもOKですが用途によって適切な感度のものを選んでください)
5. 小道具(ペンライト、時計、黒いマスキングテープ、電池の予備、防寒グッズ等)

1. 三脚・レリーズについて
まずは夜の撮影の必需品、三脚について。
これは必ず使用します。三脚は高価なものである必要はありませんが、安定感や一定の高さを得るためにはそれなりの大きさ・重量の物を使用することをお勧めします。特に、比較的重いカメラ( Lubitel 等)を使う場合は三脚にもある程度の重量が必要です。でないと写真がブレやすくなります。
レリーズも必需品といっていいでしょう。特に、上の見本のように10秒以上露光(バルブ撮影)をするようなときは必ず使います。専用のレリーズがない(クラシックLC-A等)の場合は、…う~ん、指を使ってがんばって押し続けましょう XD
「多少のぶれなんて気にしない、だってそれがロモグラフィーなんだもん!」って人はあまり上記は気にしないでもOK :)

三脚とレリーズは必需品
ブレた写真

2. フィルムの選び方
フィルムの種類はネガでもポジでも基本的になんでもいですが、大事なのは感度です。
暗い状況下での撮影ですので、高感度フィルム(400以上)がいいと言えます。ただし被写体の明るさ、撮影の意図、そしてカメラの種類によって使い分けてください。
上の見本のようなかなり長い露光の場合は、感度が高すぎると露出オーバーになりがちです。(LC-Aの最大F値が2.8と明るいことも一つの要因ですが)
HolgaDianaSprocket Rocket のようにF値が暗いカメラの場合はなるべく高感度フィルムを使いましょう。
柔らかめの描写が好きだったらネガフィルム、硬めが好きだったらポジフィルムを選ぶとよいでしょう。

フィルムによる比較

3. 撮り方 ~通常の夜間撮影
まずは、夜の街の風景など通常の夜間撮影の方法です。(LC-A+を使った場合での説明です)
三脚をセットします。三脚はそれぞれの脚をしっかり広げて立てます。ぐらついていたり安定しないまま撮ってはダメです。そしてケーブルレリーズをカメラに取り付けます。
カメラの感度設定は基本的にはフィルムの感度と同じでよいです。ただし周囲の明るさにより露出は大きく左右されますので、感度を変えて何パターンか撮っておいたほうがよいです。

三脚をセットしてレリーズを切る

4. 撮り方 ~バルブ撮影
続いては、上の見本の写真のような「バルブ撮影」の方法です。
バルブ撮影は、シャッターを押している間ずっと露光し続けますので、レリーズは不可欠になります。
ん? LC-A+ にバルブモードってあったっけ?No!ありません。HolgaやDianaのようなバルブ用の「B」のスイッチがありませんので、LC-A+で撮る場合には少し細工が必要となります。
それは、カメラの受光窓の部分を黒いテープで隠してしまうという方法です。これでカメラは真っ暗闇だと認識して、シャッターを押している間ずっと露光することができます。※テープを貼る際は、光が入ってこないようにしっかりと全体を覆ってください。
では撮影です。感度設定は最少(LC-A+なら100)にセットしてください。レリーズを好みの時間だけ押し続けます。指を離すとシャッターは閉じます。撮影時間は撮影意図により適宜変えてください。時間はタイマーか腕時計で計りましょう。もしバルブではなく自動露出で撮った場合、いつシャッターが閉じてしまうかわからないため、期待しているだけの光が十分にフィルムに与えられないかもしれません。なのでバルブ撮影が最適というわけです。
この場合でもあまり時間が長すぎると露出オーバーになってしまいますので注意が必要です。ただし、周囲が真っ暗な場合はあまり気にしなくてもいいです。周囲が街明りや月明りなどにより明るい場合は気を付けてください。この感覚はある程度慣れが必要だと思います(^_^)

受光窓をテープで隠す

5. 露出のちがい
露光時間のちがいによりどうちがって見えるの見比べてみましょう。
下の2枚の写真は、露出時間を変えて撮ったものです。左は約10秒、右は約20秒露光しています。
フィルムはRedscale800(実質ISO100程度)、Holga使用。時間帯は日没後の宵闇です。
左は露出不足のため周囲の描写が不十分、さらに車の数も少なく迫力不足です。右は十分に描写されており、交通量もボリュームたっぷりです。
夜間撮影の露出は判断が難しいので、迷ったときは時間を変えて数枚撮りましょう。

露出のちがい

6. 薄暮をねらえ!
長時間撮影をするのならぜひトライしてほしいのが「薄暮」の時間帯です。
マジックアワー(ブルーモーメント)とも呼ばれますが、日没後のまだ空の明るさがほんのりと残っているわずかの時間帯のことです。
この時間帯に撮ると、空の色は見た目以上に鮮やかな色(紫や青)に染まり、地上の世界は夜の魅力を映し出してくれますので、一度に二度おいしい世界を表現することができます。見た目には空は薄暗くても長時間撮影でとてもきれいな空の色になります。クロスプロセスだったら予想もしない素敵な色合いになるかもしれません。撮影方法はオートの露出で基本的にはいいと思います。

薄暮と真っ暗の比較

7. 応用編
より面白い夜の写真を撮るための応用編です。
さまざまなテクニックを駆使することで、より魅力的な写真を撮ることが可能です。
いくつかTipsを紹介していきますね。

・多重露光 ~シンメトリーに描く
多重露光(MX)のテクニックを用いて不思議な夜の世界を創り上げましょう。
ポイントとしては、三脚の雲台を「180度回転」させることです。通常の三脚では回転は90度までだと思います。そこで私は雲台を二個使用して、90度の回転を二回行って逆さまにセットできるようにしています。(画像参照)
または自由雲台を使ったり、また、画像のようにエレベーターの下から逆さまに取り付けるという方法もあります。
一回シャッターを押したら、カメラを三脚からいったん外してMXスイッチをひねって再度セットします(これがめんどくさい!)
かなり根気がいりますががんばってくださ~い ^^

カメラを180度回転させる
夜のシンメトリーワールド

・多重露光 ~花と重ねる
さらに、私のお気に入りの多重、「花と重ねる」も夜の撮影にどんどん活用してみましょう。( 花と重ねるテクニックについては私の以前の投稿記事をご参照ください
花の写真は日中に撮っておきます。てことは一回きりのチャンス?いえ、私は通常花のみでフィルム一本撮って再度そのフィルムをカメラにセットしてあちこちで撮影しています。そうすれば何枚も続けて撮ることができます。

花と重ねる

・フラッシュを使う
フラッシュを使って撮るという技です。
私は雪の降る夜の撮影でよくこの方法を使います。降っている雪玉をフラッシュで写し取ることができ、より幻想的な姿をとらえることができます。
いつでも気軽にできる撮り方だったら、夜景と人物です。モデルさんには露光している間じっとしてもらってくださいね。
フラッシュは純正の物( Colorsplash Flash シリーズ)でもいいですし、お手持ちの他の物でもたいてい合うと思いますのでよかったらどんどん使ってみましょう。

フラッシュを使う

・フィルムスープ
さらにサイケデリックな世界に踏み入れたい方は「フィルムスープ」です。
フィルムの化学変化による予期せぬ結果を楽しむというこの試みですが、夜の世界をスープすることでサイケさがより増してさぞかしブッ飛んだ作品になることでしょう :D
(フィルムスープについてはいずれ詳細にご紹介します)

フィルムスープ

・フィルムスワップ
人気のフィルムスワップ企画に夜の写真を織り交ぜることで二人の作品に深みが増してきます。
私の経験では日中の写真よりも成功率が高かったです。
機会があればぜひやってみましょう。

フィルムスワップ(WIth Fotobes )

わかりましたか~?
夜の世界はあなたが思っている以上に怪しくて素敵ですよ。ぜひやってみましょう♪
Enjoy your LX life!

そしてメリークリスマス!
Merry X’mas!

Merry X’mas!

hodachromeさんのテクニックはこちらの記事からもご覧いただけます:


Author: hodachrome山本穂高
岐阜県出身のカメラマン。2007年にトイカメラの代表格であるLomo LC-Aと出逢い、その魅力の虜となる。世界のロモグラファー・フォトグラファー達と研鑽を重ねながら、国内外を問わず写真展への参加、写真集・グッズ販売、写真講座・ワークショップ等、幅広く活動する日々を送る。

2012-12-25 #gear #tutorials #night #long-exposure #sunset #lc-a #dusk #tipster #evening #twilight #long-exposure #lc-a # # # # # # # hodachrome の記事

他の記事を読む

  • Neptune Convertible Art Lens Systemで写す夜の街

    2017-05-28 #gear #ニュース Lomography の記事
    Neptune Convertible Art Lens Systemで写す夜の街

    夜の街はいつだって美しい瞬間に溢れています。どんな環境でも最適なレンズで思いのままに撮影できるNeptune Convertible Art Lens Systemで夜でも素敵な瞬間を捉えましょう!

    2017-05-28
  • 実験を重ねて生まれた夢の景色:Dustin Adamsへのインタビュー

    2017-02-04 #people Ivana Džamić の記事
    実験を重ねて生まれた夢の景色:Dustin Adamsへのインタビュー

    「夢のような景色」という言葉から、どんな風景を想像しますか?それは Dustin Adamsの写真にふさわしい表現だと言えるでしょう。スケートボードがきっかけでカメラを始めて以来、彼は素晴らしい写真を撮り続けています。

    2017-02-04
  • hodachrome、10の質問に答える!

    2017-08-04 #people #tutorials hodachrome の記事
    hodachrome、10の質問に答える!

    多重露光のスペシャリスト 山本穂高 ( hodachrome )さんが、写真展や写真教室のときによく聞かれる質問を分かりやすくまとめてくださいました!写真に詳しい方から初心者まで、実にさまざまな疑問を投げかけられる hodachromeさん。素敵な作例と共にご紹介しますので、撮影術や撮影時の心得など参考にしてみてください ♪

  • ショップニュース

    全てがクラシカルなポートレイトレンズ

    全てがクラシカルなポートレイトレンズ

    Lomography New Petzval Lens は85mmのポートレイトレンズ。周辺のボケが渦巻くように現れ、中心の被写体へ視線を惹き付ける画を写し出します。Nikon FとCanon EFの2種類のマウントでご用意があり、こちらのマウントに対応するデジタル及びアナログカメラに対応しています。オンラインショップではその他のマウントアダプターやフィルター各種を取り揃えています。

  • 山本穂高写真展「季節の群像 ~season portraits 2018~」

    2018-01-12 hodachrome の記事
    山本穂高写真展「季節の群像 ~season portraits 2018~」

    多重露光による様々な幻想世界を魅せる山本穂高氏 ( @hodachrome )による写真展のご案内です。今回のテーマは近年取り組んできた「ポートレート多重」。様々な女性たちの個を生かしつつ、日本の四季の題材とを融合させました。デジタル合成ではない、アナログでしか味わえない四季折々の群像劇をぜひご堪能ください。

    2018-01-12
  • アナログ世界紀行:アムステルダム、オランダ

    2017-06-28 #places Lomography の記事
    アナログ世界紀行:アムステルダム、オランダ

    「アナログ世界紀行」ではロモグラフィーのコミュニティーメンバーが世界中から素敵な風景を紹介いたします!今日はロモグラファーのAle Di Gangiがおしゃれなオランダの街をLomoChrome Purpleでいつもとは違った雰囲気に写してくれました!

    2017-06-28
  • Love in Lomo:ロモグラフィーがきっかけで始まった恋がある!?

    2017-02-21 #culture #people lomographymagazine の記事
    Love in Lomo:ロモグラフィーがきっかけで始まった恋がある!?

    理想のロモグラフィーパートナーに出逢えたら素敵だと思いませんか?ロモグラフィーのコミュニティーならそんな夢も叶うかも!?今回はロモグラフィーがきっかけで生まれた2組のカップルをご紹介しちゃいます!!

    2017-02-21
  • ショップニュース

    あなたの大切なひと時を円形に閉じ込めて...

    あなたの大切なひと時を円形に閉じ込めて...

    170度の魚眼レンズで見る世界。いつもよりも、より一層愛らしく!動物の顔をアップで撮影して、デカ鼻のユニークな写真も面白い!

  • アナログプリントと東京の街 :写真家 あしだち なお

    2017-11-18 refallinsasaki の記事
    アナログプリントと東京の街 :写真家 あしだち なお

    東京の街で様々な青年たちの姿を切りとった写真集 "boys in tokyo sentimental" は、写真家の あしだち なお さんによるもの。写真に写る青年たちだけではなく、それぞれの街の個性が捉えられていたのが印象的でした。アナログプリントや紙の写真が大好きだと語る彼女は、先日紙にまつわるイベント『Paper Bazaar』を開催したばかり。今日はそんな彼女に、アナログ写真の魅力について語っていただきました!

    2017-11-18
  • Lomo LC-A が捉えた瞬間(Part 2)

    2017-06-12 Eunice Abique の記事
    Lomo LC-A が捉えた瞬間(Part 2)

    何年にもわたって時代を見つめ、人々の人生の転機を切り取り、一生に一度の想い出を残してくれる信頼できる相棒として愛されてきたLC-A。その誕生日を記念して、世界のロモグラファーがこの魅力的なアナログカメラと自らの人生の繋がりを語る「LC-Aが捉えた瞬間」、第二弾はどんなストーリーが飛び出すのでしょうか!

    2017-06-12
  • ★LomoAmigo: イラストレーターfoxco212がLomo'Instant Automatにお絵かき!《プレゼントあり》

    2017-05-30 choko3 の記事
    ★LomoAmigo: イラストレーターfoxco212がLomo'Instant Automatにお絵かき!《プレゼントあり》

    カラフルでキュート、そしてファッショナブルなイラストを描く Foxco212 さん。今回はなんと Lomo’Instant Automat Bora Bora や、撮影した写真にも素敵なイラストを描いてくれました!イラストを描くようになったきっかけから、今ではもう相棒のようになったと語る Lomo’Instant Automatの感想まで、様々なことをお聞きしました。なんと最後には読者プレゼントも!

    2017-05-30
  • ショップニュース

    Revolog フィルム 種類によって様々なユニークな効果が現れます!

    Revolog フィルム 種類によって様々なユニークな効果が現れます!

    緑の発光体やイナズマ、引っ搔き傷などのユニークなエフェクトが現れるRevologフィルム。刺激的な写真が撮りたい方におすすめ!

  • 2017年2月のトレンド写真

    2017-03-01 #ニュース Lomography の記事
    2017年2月のトレンド写真

    毎月たくさんの素敵な写真がアップロードされるロモホーム。その中でも2月にもっとも注目を集めたベストオブベストなショットをご紹介します!あなたのインスピレーションを刺激する一枚が見つかるかも!

    2017-03-01
  • Lomopedia: 手のひらサイズの Fisheye Baby 110 Metal

    2017-07-14 #gear geegraphy の記事
    Lomopedia: 手のひらサイズの Fisheye Baby 110 Metal

    フィッシュアイを手軽に楽しめる小さな相棒 Fisheye Baby 110 Metal。170°の視界のレンズで、小さいながらも迫力満点なまあるいショットが切り取れます。110フィルムを使ってみたいけど、どんなカメラを選べばいいかわからない!なんて人にオススメしたい一台です。この大きさなら、旅行やランニングのお供に持ち歩けますね。

  • TEN AND ONE Annual Lomography Photo Award 2016:『シネマ』大賞発表

    2017-06-03 #ニュース #ビデオ Lomography の記事
    TEN AND ONE Annual Lomography Photo Award 2016:『シネマ』大賞発表

    TEN AND ONE Annual Lomography Photo Awardは11の異なるカテゴリーで構成されています。恒例の10のカテゴリーとその時の世界問題を反映して毎年決定される限定カテゴリーを通して、参加者の皆様独自の視点からみた世界を募集します。各テーマがあなたにとってどのような意味を持つかを考え、この奇妙でおかしな美しい世界での体験を世界中のロモグラファーと共有しましょう!こちらでは唯一の動画部門である『シネマ』カテゴリーの入賞作品を発表致します!

    2017-06-03