時間の止まった世界: ジャーナリスト・Mindy Tan × Russar+ Art Lens


新聞記者から写真家に転身したMindy Tanは、彼女の武器をこれまでの「言葉」から「写真」に変えました。東南アジアにおける伝統の近代化のスピードに衝撃を受け、Mindyは「世界の時間がもっとゆっくり流れればいい」と願う視点からアジアの情景を撮影しました。

今日は、Mindyが Russar+ Art Lens で撮影した作品をインタビューとともにお楽しみください。

© Mindy Tan

まずはじめに、読者のみなさまへ簡単な自己紹介をお願いできますか?

こんにちは、私はMindyといいます。シンガポール出身で、今もここを拠点に活動しています。私はソーシャル・ドキュメンタリーを撮影していて、すべての作品は人間的な要素を反映しています。人間関係や生き方、郷愁や想い出などをテーマとしています。

写真をはじめたきっかけはなんですか?

幼いころは父が持っていた、古いカメラやレンズのたくさん詰まった黒い箱に興味深々でした。父はあまり物を欲しがらない家族想いな人でしたが、この黒い箱だけは彼にとってとても貴重だったようで、私にとっても非常に貴重なものとして印象に残っています。10代の後半になると、どういうきっかけだったか、私はその箱から一台のカメラ(Nikon FE2)を持ち出して撮影を始めていました。それから、暗室現像のコースを受講するようになったんです。その頃からずっと、モノクロフィルムの現像プロセスも写真も大好きでしたが、あまり多くの時間を費やす事はできませんでした。そして2008年に新聞記者の仕事を退職し、フルタイムで写真に没頭するようになりました。言葉ではなくイメージを扱うようになりましたが、「物語を語る」という点ではどちらも同じです。

© Mindy Tan

ご自身の写真スタイルについて説明していただけますか?

私の性格と似て、作品も非常に自発的で率直だと思います。人生と同じように、私は「発見された」瞬間、偶然の瞬間のイメージが好きですが、同時に写真がすぐに嘘に変わってしまうこともわかっています。

特に好んで撮影する被写体はありますか?

もちろん、人ですね。特に60歳以上の高齢の方々に惹かれます。彼らは若い人よりもとても落ち着いていて、それに私達にたくさんのことを教えてくれるんですよ。彼らの経験は顔の皺や表情、ジェスチャーにも表れていて、誇張や自惚れはほとんどありません。それを見ているだけで、私は元気をもらえるんです。

© Mindy Tan
© Mindy Tan

成功したプロジェクトやお気に入りの作品はありますか?

飛びぬけて成功したものはありませんが、地域の再開発と新しい路線のためにその運命が未知である、Sungei Road Thieves Marketを撮影したシリーズが有名かと思います。写真やビデオを撮影するのが難しい地域でしたので、とても挑戦的なプロジェクトでもありました。後に、異なるメディア(彫刻、インスタレーション、パフォーマンス等)を利用するアーティストが数人集まって、市場の反対側にあるギャラリーでその市場をテーマとしたグループショーを開催しました。

私達は市場の行商人をオープニングレセプションに招待しました。今までアートショーに来たことの無い彼らは、中に入ってくるのが恥ずかしかったようで、ギャラリーの前にグループになって集まっていたのを覚えています。最後には説得してようやく入場してもらい、様々な作品を紹介したり、おしゃべりしたり、一晩中なんども作品を眺めたり、とても楽しい時間を過ごしてもらう事ができました。あの時の感情は言葉ではうまく説明できないけれど、とても満足した気持ちでした。

その時の動画は こちら 、また写真は こちら でもご覧いただけます。

デジタルかアナログだとどちらを選びますか?違いはなんですか?

実用的なものにはデジタルカメラを使用していて、いつもマニュアル操作ですべて自分でコントロールできるようにしています。アナログは時間がかかるし、すべてにおいてより正確さを必要とされます。これを問題点と感じる人もいるかもしれませんが、もし表現したいことがあるのなら、どのツールを使うかは関係ないと思いますよ。

Russar+ Art Lensでの体験について詳しくお聞かせいただけますか?新しく発見したことや挑戦したことはありますか?

Fujifilm XT2を「レンズ無しでの撮影」に設定していたので、フォーカスの設定が完全にマニュアルだったんです。だから、ときどき本当にちゃんと焦点があっているのか不安でした。ビューファインダーに頼るのはやめて、より良い指標としてレンズに表示されている焦点距離を目安にフォーカスを設定しました。

Russar+ Art Lensで撮影したなかでお気に入りの写真はどれですか?理由もお聞かせください。

© Mindy Tan

このレンズはワイドアングルなのに真っ直ぐに写る所がとても気に入っています。私が頻繁に、ほぼ毎日通っている狭いコーヒーショップがあるのですが、写真に写っているのは私の大好きなコーヒーを淹れてくれるご夫妻です。おそらく、このレンズはポートレートで最も威力を発揮すると思います。少し離れた入り口からでも撮影できたし、仕事中にも彼らに一瞬止まってもらい、すごく近い位置からクロースアップを撮ることも出来ました。誰の邪魔にもならず、被写体に近づきやすい、この薄いパンケーキレンズを本当に称賛します。

Russar+ Art Lensで一番気に入っている特徴はなんですか?

かっこいい見た目でもいいですか?このレンズを持っていると過去にタイムスリップしている気分になるんです。Russar+ Art Lensでは被写体の「内面」が表現されていれば、それが100%鮮明に写っている必要はないと感じます。また、私が利用しているマニュアルフォーカスではビューファインダーをあまり覗きませんし、被写体との間を大きな金属の塊で邪魔されることもないので、よりモデルになる方々と交流しながら撮影できます。

Russar+ Art Lensはどんなプロジェクトにお勧めですか?

狭い路地でのプロジェクトや様々なストリート撮影に向いていると思います。

© Mindy Tan

初めて使う方へのアドバイスをお願いします。

人がたくさん集まる所へ行って、このレンズの効果を発見してみてください!

Russar+ Art Lensを最大限に活用するためのコツはありますか?

絞りや焦点距離を一日中同じ設定にして出掛けてみてください。そして、ずっと同じ設定のまま撮影すれば、レンズの特徴を掴むことができるはずです。設定するのはISOとカメラのシャッタースピードだけにして、レンズには触らないでください!レンズの性質をよく知る為には、この方法が有効ですよ。それが、私たちのパートナー、そしてレンズとの関係性をうまく築いていくコツです!

今後のご予定は?

今はちょうどRochor Centreのシリーズに取り組んでいます。Rochor Centreはシンガポールのインスタグラマーの間で話題のテーマで、70年代の後半に建設された政府の集落の建物です。何百もの世帯が住んでいましたが、ちょうどその場所を通る高速道路建設のために、建物は解体され移転する予定となっています。

私達は建物を離れていく住民たちをシリーズ作品として撮影してきました。いくつかの作品は Instagram でもご覧いただくことができます。このシリーズの作品はこれからも更新予定です。

© Mindy Tan

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【25周年アニバーサリー限定エディション】Lomography生誕25周年記念として Lomo LC-Aシリーズのカメラが限定デザインで登場!ブラウンの本革に25周年アニバーサリーのロゴが入ったスペシャルなエディションです。オンラインショップまたは直営店Lomography+にて販売中。限定生産なのでお早めにどうぞ!

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