わたしのカメラ:コスモ

フィルムカメララバーはどんなカメラを使っているの?ちょっと気になるみんなの愛用カメラをご紹介。今回はフリーライターのコスモさんに愛すべき4台のカメラをご紹介いただきました!


思い返せば我が家がデジカメを導入したのは、わたしが小学校4年生だった2004年頃。世間に比べて遅い方だったのかもしれませんが、とにかく生まれて10年弱はフィルムカメラが日常にあったということなんですね。

さて、昨年のある日、そんな懐かしの家庭用コンパクトフィルムカメラを譲り受ける機会がありました。
15年ぶりに触れたフィルムカメラ。思ったよりずっと敷居は低く、すっかり大人になった自分の手にもあたたかく馴染むものでした。以来、何台か中古で集めて撮影を楽しんでいます。
遠い記憶を呼び起こしつつ気楽に撮影できる、そしてフィルム初心者にも優しい愛機たちを紹介します。

■CANON AUTOBOY TELE6 (キヤノン オートボーイテレ6)  / 35mmフィルムカメラ

初めての自分用フィルムカメラ。昨年、lomoの erina さん から譲っていただきました。懐かしい!と思って調べてみたら、1988年発売。自分が生まれるより少し前のものでした。でも似た感じのカメラが家にあったと思います。同じシリーズだったかも?

autoboyの名の通り、フォーカス、フィルムの巻き上げ、フラッシュ……諸々オートでやってくれるので、初心者にはありがたいカメラです。
画角は、35mm/F3.5と60mm/F5.6の2種類を切り替えることができます。ズームレンズではないので、中間はありません。
また、フルサイズと縦撮りハーフサイズの両方での撮影が可能(フィルム装填時に切り替え)。たくさん撮れるに越したことはないので、ずっとハーフで撮ってます。

シャッターを切ると、ワシャーンという大きな音がして、真ん中の窓がスッと開き、レンズがニューと伸びてきます。60mmで撮るときは、ゾウみたいになって可愛い。
オートのフラッシュ機能もついていますが発光禁止ができず、光らせたくないときは自分の手で抑えています。意味があるのかは不明ですが、そこも可愛いポイントです。

写りに関して。初めてのフィルムカメラということもあり、他のカメラに比べてこれがどんなものなのか実はよくわかっていません。ハーフにしてはくっきり、それでいてまろやかな写り……と、感じていますがどうでしょう。とりあえずtele6を自分の中の基準にして、他カメラと比較することにしています。

全体に過不足なく使いやすい一方、どこか不器用な雰囲気が愛おしいtele6。譲り受けた時点でかなり年季が入っていましたが、それでもタフに頑張ってくれました。しかし最近ついに不具合が出てしまい、今はお休み中です。思い出のカメラなので、なんとか修理して使いたいのですが……。


Canon Demi(キヤノンデミ)

1963年に発売された、ハーフサイズカメラです。tele6とは対照的な、蚊の鳴くようなシャッター音と平たいボディ(もちろんレンズは飛び出てきません)のキヤノン デミ。こちらはフルメカニカルです。28mm/F2.8固定。
ボディ右上に露出計がついており、シャッタースピードを手動で調整。ピントも、0.8~15mを目測で。フィルムの巻き上げも手でキコキコ回して行います。

Lomopedia より

tele6と比べたらかなりおぼろげに写るだろうと予想していました。でも、思ったよりずっと鮮やか(先代もハーフだったため、目が慣れただけかもしれませんが)。特にピントがちゃんと来ているところは、かなり繊細な描写ができている思います。その一方で、光に溶けていくような、やわらかな質感も全体に漂っており素敵です。
そして意外と広角なので、全体的にのびのびしており撮ってて気持ち良いんですよね。

もちろん本体にフラッシュの機能はありません。暗闇での撮影は頑張らないといけませんが、フィルム独特の質感が出るので気に入っています。
ちなみにバルブ撮影も可能です!

キヤノン デミは発売当時、「ポケットからデミを出そう」というキャッチコピーで売り出されていました。たしかに、フットワーク軽く動き回るにはうってつけの片手サイズ。そんなデミをポケットに持ち歩いていると、行ったことのない場所へふと足を運びたくなるのです。


OLYMPUS IZM300

最近はメインでデミを使いつつ、やっぱりフルオートのコンパクトフィルムカメラがほしいなと思い購入。tele6と同じく、1988年発売です。
完全に見た目で選びました。デカくて四角くて重くて、一体どこがコンパクトなんだろう? ……と思いつつ調べてみると、こちらどうやら一眼レフとの中間である、「ブリッジカメラ」と呼ばれるものなのだそうです。
撮影するときは、両手でしっかりホールド。双眼鏡を覗いているような格好です。

Lomopedia より

フィルムを装填して蓋を閉めるとウィーンと自動巻き上げ。38mm~105mm/F4.5~6のズームレンズで、画角は自由自在。マクロ時のパララックス補正あり。そして何より、フラッシュもオン・オフ・オートで調整可! もはや革命的にも思えてきました。やっぱり便利はいいですね。

こちらはハーフではないので、もちろん上ふたつに比べて陰影くっきり、硬い写り。遠景含め、シャープでエッジィな描写です。たとえば髪の毛一本の流れ、鏡面の反射などもちゃんと表現されており迫力を感じます。
でもたまに、うまくピントが合わないときも。そんな瞬間にふと見せる、穏やかな表情にもはっとさせられます。

IZM300のお気に入りポイントは、やっぱりカメラ本体です。背面上部に露出やフラッシュ等を設定するボタンがずらりと並ぶのですが、その上に妙に開けにくい蓋がついています。毎回開け閉めするのもめんどうなので、不要な気がする……気がするんですけど、このメカっぽい、ギミックっぽい感じが良いんです。全体的なフォルムも併せて、レトロフューチャーと勝手に解釈しています。


番外編
■Baby HOLGA

わずか横幅8センチほどの小さなカメラです。重さは30g。その昔ケータイにつけていたストラップのほうが重かったかもしれません。
110というフィルムを使用します。一時は完全に生産中止となったフィルムですが、今はlomographyが開発・販売しているみたいです。

本体上部についている四角い窓を跳ね上げておおよその画角をチェックしますが、わたしには何もわかりませんでした。わからないからこその、プレッシャーゼロ撮影を楽しんでいます。あまり意識していなかったけど、25mm/F8。
どこか毛羽立ったような質感の、とてもおぼろげな写り。「このサイズでここまで写るのか!」という驚きの方が大きかったです。

***

デジカメを手にした10歳のある日を境に、コンパクトデジカメ、ケータイ、スマホ、デジタル一眼レフと、手にする“愛機”はどんどん変わっていきました。
デジタルはとても便利な一方、撮ってからチェックするまでのスパンがとにかく短いですよね。シャッターを切った次の瞬間には「あ、構図」「水平」「顔」と、秒速のフィードバックが返ってきます。

tele6を手にしたとき、在りし日を思い出し感慨にふけると同時に「現像するまで写真を見なくて済む」ことに安心感を覚えたことも事実でした。
今までどこか捨てるようにシャッターを切っていたところがありましたが、最近少し解放された気がします。
そして、自分が何を見て撮りたいと思ったのかを、ゆっくりと思い返す喜びを知ることができました。

とはいえ長いデジタル生活で身についた、考えるより先に、とにかく、早く、いっぱい撮るという習慣も楽しいですよね。
変な言い方かもしれませんが、これからも"スマホで撮るような"気持ちで、気負わずシャッターを切っていけるといいなと思っています(もちろん、経済的には厳しいんですけど…!)。


Article by コスモ

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2020-09-13 erina の記事

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