カラフルリセット:with J.K Chekpo

ディレクター、そしてフォトグラファーとしても活動する J.K Chekpo の作品は、2021年のビックサプライズでした。彼のエネルギーにあふれた写真と計算された構図は、鮮やかな色使いとともに、見る人々の目を釘付けにするでしょう。

そんな彼にもスランプに陥ってしまう時期があったそう。そんななか、撮影意欲を掻き立ててくれた、あるフィルムカメラとの出会い。それはまさに、運命だったといえるでしょう。

© J.K Chekpo

── ハロー J.K!自己紹介をお願いできますか?

ベナンとドイツのミックスで、ディレクター、そしてフォトグラファーとしてベルリンをベースに活動しています。街を探索するのが好きなので、自然とストリート撮影をするようになりました。数年前から段々とポートレート写真にもトライしています!

── フィルムを使うようになったきっかけを教えてくれますか?また、どのくらいフィルムで撮影していますか?

当時東京に住んでいた時に、ロンドンに旅行しに行ったのですが、奇妙なことにあまりやる気が出ず、あまり写真を撮りませんでした。日本に戻ってきて、自分の写真が良いのは見た目的にインパクトが強い日本の街並みのおかげだけなのか、と疑うようになってしまいました。今思えば面白いかもしれませんが、すごくやる気が落ちたし、自分のカメラ(EOS 5D mark 3)を数カ月間全く触らなかったです。

ある日友人と秋葉原に出かけて、たまたま見つけた小さなフィルムカメラショップに入りました。そこで中判フィルムカメラの Fuji GW690III を見つけて、なにか良い予感がして、気が付いたらそのカメラを買っていました。そのお店の店員さんはすごく優しくて、期限切れのフィルムをおまけしてくれました。次の日、そのフィルムで撮ってみました。

© J.K Chekpo

撮れた写真をみた時、驚きました。ばかばかしい疑問を自分に投げかけるのをやめて、そしてまるでリセットボタンを押したかの様な感覚になりました。フィルムで撮影をし始めてから4年になりますが、3枚目の写真は今でもお気に入りの一枚です。

”撮影した人の作品を通じて、そのフォトグラファーの素顔がよく分かると思う。僕の場合は色が好きで、自分の写真を通してもそれが表れていると思います。”

── 写真を通じて伝えたいことなどはありますか?

映画をたくさん見て育ち、その映画についての話をするのがすごく好きです。写真を見る人が、この一瞬の前に何が起こったのか、何があってそうなったのか、とか、その後何が起こったのか、なんて想像してくれる写真であってほしいですね。自分の作品が必ずしもそうなれるかは分かりませんが、少なくともそういう心意気で撮っています。(笑)

© J.K Chekpo

── 自分のスタイルを5つのワードで例えるなら?

カラフル、感情的、ドラマチックな光、映画のような雰囲気。

── シャッターを押す前に構図に入れたいものはありますか?

まずは色ですね。自然な感じであってほしい。次に状況に応じて、被写体とその被写体がいる空間との関係性です。

── 写真を撮る理由はなんですか?

写真は動画とは違って、撮るというプロセス自体がとても早いです。違う形で自分が好きなことをやってはいますが、写真は満足感があって、とても落ち着ける感じがします。

© J.K Chekpo

── 将来やってみたいプロジェクトはありますか?

今のところ、これといった物は無いですが、とにかく自分が撮りたいものを撮る、そしてそれでハッピーな気分になれる、そういうのが良いですね。この先何が起きるか全く予想ができない時代で、「自分が撮りたいものを撮る」っていうのはすごく大切なことだと思います。(Bye 2020年)未来を予想、なんて無理ですが、これからまた何かがあるでしょう。様子見だね!

── 調子はどうですか?パンデミックの影響などはありましたか?

なんとか元気にやってます!東京と香港に戻らないといけないのですが、計画していたプロジェクトは難しそうです。なので最近は昔の写真を編集したりすることが多いです。でも新しいアイデア作りにも取り組んでいます。この状況が早く終わるといいですね!

© J.K Chekpo

── あなたにとってのパーフェクトな一日とは?

朝早く起きて、街中を自転車で走り回って、途中で朝食。朝食をとりながら、街の景色と紅茶の匂いと一緒に向こう岸までフェリーで行く。もう少しだけ探検をして、街を眺めながらアイスティーかタピオカでも飲みながらルーフトップの上で一日を終える、こんなパーフェクトな一日を彼女と香港で過ごしたいです。

── ロモグラフィーマガジンを読んでいる皆さんへ何かメッセージはありますか?

「日々学び続けている」ということを忘れないことが大切だと思います。常に好奇心を持って、冒険し、様々なことに挑戦する。いろいろな種類のフィルムにも。やったこと無いことには少し躊躇しちゃうかもしれない。だけど、とりあえずやってみて、楽しむことを忘れずに、それが大事です。


その他の彼のカラフルなアートワークは Instagram からご覧ください。


ロモグラフィージャパン:Instagram / Twitter / Facebook / ショップページ

2021-05-05 #people cheeo の記事

他の記事を読む

  • コミュニティメンバー @lalomixu の LomoApparat 第一印象

    2023-05-10 #gear #people sylvann の記事
    コミュニティメンバー @lalomixu の LomoApparat 第一印象

    コミュニティメンバーでカメラストアの共同オーナーでもある Eduardo Espinoza Chávez (@lalomixu) が LomoApparat での初撮りについて語ってくれます。どんな場所へでも日常のお供として持ち歩けるその柔軟性から、様々なロケーションで撮影をしてくれました。

  • Nour Tripletで写し出すドリーミーでソフトな世界: Ingridi Viruel

    2023-10-23 eloffreno の記事
    Nour Tripletで写し出すドリーミーでソフトな世界: Ingridi Viruel

    ブラジル出身の写真家、映像作家、そしてロモグラファーでもあるIngridi Viruelは、写真におけるあらゆる種類の非伝統的なプロセスの実験に専念しています。彼女は最近、実験的な手法でNour Triplet V 2.0/64 Bokeh Controlを試しました。 レンズの第一印象とこのレンズを使って息をのむようなポートレートを撮るためのコツやヒントもシェアしてくれました。

  • LomoApparatで写す実験の連続:国分真央

    2023-09-06 kota_97 の記事
    LomoApparatで写す実験の連続:国分真央

    18歳の時にフィルムに出会ったフォトグラファーの国分真央さん「フィルムとは同じ状況には二度とならない実験の連続」だと言います。そんな彼女にLomoApparatを託し、LomoChrome MetropolisとColor Negative ISO 400で撮影をしてもらいました。

  • ショップニュース

    全てがクラシカルなポートレートレンズ

    全てがクラシカルなポートレートレンズ

    Lomography New Petzval Lens は85mmのポートレートレンズ。周辺のボケが渦巻くように現れ、中心の被写体へ視線を惹き付ける画を写し出します。Nikon FとCanon EFの2種類のマウントでご用意があり、こちらのマウントに対応するデジタル及びアナログカメラに対応しています。オンラインショップではその他のマウントアダプターやフィルター各種を取り揃えています。

  • ライトペインティングをする際にさけること

    2023-06-07 #gear #チュートリアル reiga の記事
    ライトペインティングをする際にさけること

    一部の人にとって、ライトペインティング写真はまばたきを止めてしまうことさえあり、クリエイティブな直感のエッジを刺激します。しかし、これを行う時に、ミスを考慮したいいくつかのことがあります。結果として、ただ疲れただけで奇妙な写真になったり、たくさんの気に障る要素が写っただけでは嫌ですよね。だからここでは私の写真をベースにして、ライトペインティングの間に避ける必要があることをお話します。

    1
  • ラボマンから見たLomoChrome Color '92の第一印象

    2024-01-19 #in-depth
    ラボマンから見たLomoChrome Color '92の第一印象

    フォトグラファーとしてもラボマンとしても活動するmak.takanoさんLomoChrome Color '92を使って撮影した感想をシェアしていただきました。現像する側だから気付いたことなどをご紹介します。

  • Robert Vinczeが撮る美しいモノクロポートレート With Lady Grey B&W ISO 400

    2023-05-17 #gear #people
    Robert Vinczeが撮る美しいモノクロポートレート With Lady Grey B&W ISO 400

    イングランド北西端に位置するカンブリアを中心に活動しているRobert Vinczeはフィルム写真独自のプロセス全てに楽しみを感じています。彼の撮影するポートレートは至極の逸品です。そんなこともあり、彼に Lady Grey B&W 35mm ISO 400と期限切れのColor Negative 120 ISO 800託し写真を撮っていただきました。

  • ショップニュース

    110フィルムはロモグラフィーだけ

    110フィルムはロモグラフィーだけ

    110フィルムを製造しているのはロモグラフィーだけ。カラーとモノクロの合計7種類の中からお好きなフィルムをお選びください。

  • コミュニティギャラリー: 喧噪と慌ただしさの中で

    2024-02-14 #people #places sylvann の記事
    コミュニティギャラリー: 喧噪と慌ただしさの中で

    写真に割く時間がないときはどうする?喧噪と慌ただしさに巻き込まれても、数秒でも周囲を見渡して、写真に収める価値のある何かを見つけましょう!

  • Sheep FilmのスタッフがDiana F+を使ってみた in タイ

    2024-04-03 #gear #partners alexgray の記事
    Sheep FilmのスタッフがDiana F+を使ってみた in タイ

    種類も年々減っていく中判フィルムをより手軽に使ってほしいという気持ちから、世界中のロモグラフィーパートナーの方々に中判で撮ってもらうという企画を始めました。今回はタイのソンクラー県のハートヤイにあるSheep Filmさんにご協力いただきました。

  • 【2024: ロモグラフィーより新年のご挨拶】

    2024-01-01 #ニュース #people kota_97 の記事
    【2024: ロモグラフィーより新年のご挨拶】

    ロモグラファーのみなさま、新年明けましておめでとうございます。2023年も気付けばあっという間に過ぎ去り、辰年の2024年がもうやって来ました。今年はどんな1年にしたいですか?

  • ショップニュース

    ロモグラフィックな写りを簡単に楽しめる!

    ロモグラフィックな写りを簡単に楽しめる!

    【ロモグラフィーの Simple Use Film Camera(レンズ付フィルム)】さあ今すぐ撮影開始!ロモグラフィーのユニークなフィルムでの撮影を簡単に楽しめます。フィルムが既にセットされているので、購入したらすぐに撮影スタート可能。

  • Lomomatic 110の使い方 from フォトデポ彩色兼美

    2024-04-22 #gear #チュートリアル
    Lomomatic 110の使い方 from フォトデポ彩色兼美

    皆さんもうロモグラフィーの新商品 Lomomatic110 はご購入しましたか?今回、110フィルムの現像、データスキャンを受け付けているラボ、フォトデポ彩色兼美が、Lomomatic110 の使い方とコツをまとめてくださいました!既に Lomomatic110 を手にしている人も、まだの人もこのマガジンを読んで 110フィルムの世界にどっぷりつかりましょう!

  • LomoApparatに写す日常の発見:Rinco Koyama

    2023-12-20 #gear #people kota_97 の記事
    LomoApparatに写す日常の発見:Rinco Koyama

    占い師でもありポートレートを撮影する写真家Rinco Koyamaさんは、二足の草鞋の間で共通することは「直感力」と言います。今回、LomoApparatでスナップ写真を撮ってもらいました。「直感」に従った写真の仕上がりはどのようなものになったのでしょうか。

  • 八百富写真機店のスタッフがDiana F+を使ってみた

    2024-02-09 #partners kota_97 の記事
    八百富写真機店のスタッフがDiana F+を使ってみた

    今以上に中判フィルムを身近な存在にしたいという思いから、フィルムを支える現像する立場の方に撮ってもらういつもとテイストの違う企画をスタート。初回は大阪に店舗を構える八百富写真機店さんのスタッフに中判カメラのDiana F+を渡しスナップ写真を撮っていただきました。