Pauline Rühl SaurとDiana F+: 息づく世界の詩

Diana F+ をプレゼントとして手にしたその日から、フランスのフォトグラファー Pauline Rühl Saur の興奮は冷めることはありません。それ以来、彼女がどこへ行くにしても、この軽量でコンパクトな120フィルムカメラを手放すことはありません。仕事でも個人的なプロジェクトでもこのカメラを使っています。絵画的な目線や制作上の物事に関心をもつアーティストとして、特に多重露光の様な、実験的な可能性をもたらすDiana F+の功績を彼女は大変評価しています。Pauline Rühl Saur がクリエイティブでポエティカルなアナログイメージを生み出すために、Diana F+のその可能性に満ち溢れた特徴をいかに活かしているのかご覧ください。

Photos taken by Pauline Rühl Saur with the Diana F+ camera.

こんにちは Pauline、読者に自己紹介をお願いします。

私は、とある製本屋と写真家の娘です。6人家族で、美しい物たちや自然、山菜取り、ものづくりの繊細さ、あらゆるアーティストに囲まれ、生き生きとした幼少期を過ごしました。私たちは、母であり、史上初めてthe Prix Nièpce( the Gens d’images association による賞)を受賞した女性写真家 Françoise Saur の仕事を受け継いでいるんです。イメージというのは私たちの日常において非常に重要なもので、常に色や光に注意を向けています。

2年間、美術史を学んだ後、研究や調査以上のことをする必要があると感じたんです。そこで、南フランスの the National School of Photography in Arles へ入学しました。それ以来毎日写真を撮ってきました。自分の日常であったり、個人的なプロジェクト、はたまた仕事でもです。写真は世界とつながる方法だと思うんです。私の実践は本当に幅が広いものです。色々なことに興味があって新しいことを発見することが本当に大好きなんです。ルーティーンみたいなものは本当に嫌いで、多様性と新しい観点を好みます。時々、個人的な仕事から、請け負った仕事のアイディアを得ることがあるんです。逆もしかりです。この異なるパートがお互いに育みあっているんです。

私のお気に入りのテーマは、人間と物事や被写体、テクスチャーの官能性というものです。日常、仕事、傷心、ポートレート、ファッション、ダンス…あらゆることに関心があり、優美さのかたち、漂う魔法の様な瞬間、現実を超えたものを探しているんです。

しかし、だからと言って写真マニアではありません。あらゆるアーティスティックな表現は私の琴線に触れるんです。音楽、ダンス、ペインティング、ドローウィングといったものも大きな影響を与えてくれます。私は写真に対して、かなり絵画的なアプローチをしていると思います。イメージが、写真なのかパステルなのかもはやわからない状態になった時、それは成功したと思ってます。Sarah Moon や Paolo Roversi の作品、ペインターである Richter の写真と絵画との関係性において考察した作品たちに、強い関係性を感じます。それから、August Sanders、Richard Avedon のポートレート、もちろん愛する母である Françoise Saur やユーモアにあふれた Olivier Culmann の作品たちも大好きです。

Photos taken by Pauline Rühl Saur with the Diana F+ camera.

なぜアナログで撮影をするんですか?

私が赤ん坊の頃、母はプリントを行うとき、私を時折彼女のラボに連れて行ったんです。それ以来現像や印刷物の匂いが病みつきなんです。このことがおそらくフィルム写真と私自身との身体的な関係性なんだと思います。さらに言えば1976年生まれという、アナログ写真世代に育ったのもあります。2001年に学校を卒業したあと、デジタルがインターネットと共に過渡期を迎えました。デジタルテクノロジーの波はついに押し寄せ、顧客はフィルムや現像にもはやお金を払うことはせず、私もその波に乗り換える部分がありました。私の両親はほとんどフィルムで仕事をしていました。それに私はデジタルツールを気に入ったことはありません。とても便利なことには変わりありませんが、どこかクールすぎるんです。私たちを否応なくテクノロジーに依存させてしまい、あらゆるものを時代遅れにしてしまいます。データ保存の脆弱さを言っているのではありません。私は単にこのテクノロジーに快適さを感じないだけです。それよりも、ネガの銀粒子や、複製のできない印画紙たちの方に大いに惹かれるんです。フィルム写真のあり方や時間性というものは私の内なる部分でまさに調和するんです。

沢山のネガフィルムやコンタクトシート、ハードドライブも持っています。私のネガフィルムのバインダーや写真を入れた箱は静かにたたずんでいます。それとは対照的に、テクノロジーの発展の騒々しさやデジタル機能の脆弱性は不安定なものです。まさにストレスです。そしてコンピューター以後の製品はくたびれさせるものばかりで、労力を省かれ、素材とのかかわりを難しくしています。写真は常にテクノロジーの発展と共にあって、時の産物でした。このことを考えることは大変意義深いですね。総じて、美的観点や仕事上の二つの理由からアナログで撮影をしているんです。

Photos taken by Pauline Rühl Saur with the Diana F+ camera.

Diana F+のどういった部分を気に入ってますか? このカメラをどのように活動に活かしているんですか?

Diana F+との出会いは本当に美しかったです。私のハードドライブは常にいっぱいで、その脆弱さからもうんざりしてました…。これらのファイルはちょっとした電子操作で簡単に消えてしまうからです。私はすでに2つの中判カメラ、祖父の60年代の Rolleiflex ととても重い Mamiya を持っていました。両方とも素晴らしいマシーンですね。

Dianaを目にしたのは、誰かからのプレゼントでもらったからなんです。とても軽く、おもちゃのようで、とてもカジュアル、手にしたときは本当に喜びました!使うときも、どこか「なんだっていい」と感じさせてくれるような、あこがれていた「形式にあてはまらなさ」をもたらしてくれました。それにモデルを和ませてもくれるんです。撮影のプロセスも楽しませてくれて、本当に気に入ってます。Diana は驚きを生むカメラにしてはとても安いですね!ゲームに驚きを届けてくれる、最高です!このカメラを使いこなすために、今でもいくつかのフィルムを使っています。ですが、写真が撮れる機会があればいつでも出来るように、常に持ち歩いています。ポートレート、ファッション、風景、様々なテーマにもってこいのカメラです。このカメラを使い、大量消費・大量生産の社会をテーマにしたシリーズ「SATURATIONS」を制作しました。私のアイディアを形作る理想のデバイスでした。「多すぎ」や「過剰にあふれた」サチュレーションを表現しようとしました。これが、3回から6回の多重露光を始めたきっかけでもあるんです。イメージを重なっている状態は、私たちの脳内を爆発させる情報の集まりの様なものです。幽霊や魂を捉えるようにも見え、そこから物事の無常観に気づかせてくれるため、このテクニックを気に入っています。本当に素晴らしいです。

"Saturations" series by Pauline Rühl Saur with the Diana F+.

多重露光をする上で何かアドバイスはありますか?

アドバイスなんて難しいですね。何を重ね合わせるか、そしてそれは何故かということを考えながら進めます。そうするために、いくつかの方向にカメラを向け、興味をひくものを探します。3回以上の多重露光では、フィルムを過剰露光させないようにすることが難しく、イメージもぐちゃぐちゃになってしまいます。

写真の実践において実験はどのぐらいの割合を占めていますか?

ほとんど大部分です!前に述べたように、私は多様性を求めていて、新しいツールや新しい実験を探ることに喜びを感じます。最近では、ピンホールやサイアノタイプも始めました。この異なるテクニックは他の世界やビジョンを見せてくれるんです。

Photos taken by Pauline Rühl Saur with the Diana F+ camera.

お知らせしたい、プロジェクトはあったりしますか?

「Suffering to be beautiful?」というフェミニストのプロジェクトに取り組んでいます。これは今日、私たち女性が抱えている「美しくなるために苦しむ」という強迫観念の様な関係性に疑問を投げかけるものになります。そしてこれは、ファッションとの関係性を通して行われます。ファッションによってもたらされる痛みや制約をどのくらい受け入れるのか、そしてそれは何故か。幅広い視点を持つためにも、様々な土地で撮影を行う予定です。いつか本に出来たらと思っています。もう一つのプロジェクトでは、「the spirit of places」といって、私の伴侶でありペインターの Benjamin Bachelier とコラボをしています。ごく簡単にマスクを作り、人間に打ち捨てられているような場所を選びます。写真とペインティングの間に位置する作品になります。ほかには、人生において身体に残された傷に着目した写真も制作中ですが、これはまだ始まったばかりです。

Photos taken by Pauline Rühl Saur with the Diana F+ camera.

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2022-05-09 #gear #people

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