呼び覚まされる純粋性:Diana F+ と ロモグラフィーフィルム by 林ナツミ

国内外で活躍する日本の写真家林ナツミさん。今回初めてDiana F+ を手にして、ロモグラフィーのフィルムで試写をしてくださいました。Diana F+のシンプルな構造に驚きつつも、彼女曰く、「子どもの頃はじめてカメラを手にしたときの純粋な気持ちを思い出させてくれるカメラ」と語ってくれました。彼女の写真に対する考え方を伺いつつ、Diana F+ とロモグラフィーフィルムの印象を聞いてみましょう!

Photos by Natsumi Hayashi

自己紹介をお願いします。

写真家の林ナツミ、1982年埼玉県生まれです。立教大学文学部卒業後、同大学院コミュニティ福祉学研究科博士前期課程を修了しました。
2011年より写真家の原久路氏と共同で『本日の浮遊』「セカイヲミツメル」を制作し国内外で発表をつづけています。2023年より個人での作家活動も開始しました。

普段はどのような被写体を撮りますか?その時に意識していることはありますか?

今年2023年から「SALVATION」 というシリーズを制作しています。街を歩きながら普段は見逃してしまう、壁や道ばたに落ちているものを撮影しています。
作品をみたひとがその場面に遭遇した気持ちになってほしいので、撮影者という自分をなるべく消すよう意識しています。スナップやポートレートも撮りますが、そのときも同じです。

普段はフィルム写真を撮影することはありますか?

あります。LOMO LC-A+、Goko MacromaX MAC-10 Z3200、RICOH AUTO HALF E、写ルンですをよく使っています。(ナツミさんのフィルムシリーズ

普段、モノクロとカラーのどちらを撮りますか?好みはありますか?モノクロとカラーでは被写体への眼差しや意識は変わりますか?

被写体の色に惹かれることが多いので、基本カラーで撮影します。モノクロで撮るときは、光と影だけで被写体をどう表現するか考えながら撮ります。BLACK & WHITE Berlin 400フィルムでの撮影はいつもと違ったトライアルができて楽しかったです。

Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , Berlin Kino 120 ISO 400 , Color Negative 120 ISO 800

Diana F+ を以前に使ったことはありますか?手にしたときの印象はどうでしたか?

今回初めて使いました。手にしたときの第一印象は「なんて軽くて可愛いカメラなんだ」でした。

ロモグラフィーのカメラは他に使ったことがありますか?

LOMO LC-A 2004年〜
LOMO LC-A+ 2007年〜
LOMO SMENA 8M
HOLGA 120FN
OKTOMAT
Fisheye

Diana F+ を使ってみて、その特徴や性格を言い表すとすれば?

つくりがとてもシンプルで、シャッター音も小さかったのでちょっととまどいました。だからこそ、目の前のかけがえのない一瞬を切り取りたい、という子どもの頃はじめてカメラを手にしたときの純粋な気持ちを思い出させてくれるカメラでした。

今回の撮影について教えてください。テーマやコンセプトはありましたか?

とにかく街を歩き回り、気持ちが動いたらシャッターを切るようにしました。

Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , Berlin Kino 120 ISO 400
Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , LomoChrome Turquoise 120 ISO 100–400
Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , 2021 LomoChrome Metropolis 120 ISO 100–400
Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , Redscale XR 120 ISO 50–200
Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , Color Negative 120 ISO 800

今回、Berlin Kino 120 ISO 400LomoChrome Turquoise 120 ISO 100–4002021 LomoChrome Metropolis 120 ISO 100–400Redscale XR 120 ISO 50–200Color Negative 120 ISO 800 の5種類のフィルムを使っていただきましたが、それぞれの印象はどうでしたか。

Berlin 400 → やわらかい階調がとても美しく、モノクロ映画のような世界。
Turquoise → SFの世界に入り込んだような、非現実感。色が美しい。
Metropolis → どこか懐かしい雰囲気、ノスタルジーに駆られる。
Redscale → どこまでも真っ赤な世界。
CN800 → 撮りたい被写体をちゃんと捉えてくれる。一番のお気に入りで、また使ってみたい。
どのフィルムもそれぞれ特徴があったので、現像結果を楽しみにしていました。

お気に入りのショットはありますか?

COLOR NEGATIVE 800 で撮影した写真です。120フィルムを使用したことはほとんどなくて、このときは装填がなかなかうまくいかず、撮影メモにも「感光したかも」とありました。でも今回結果を見ると、フィルムが感光したり波打ちしたりしてもちゃんと世界が写っていたのです。フィルムという物に光が描いたのだという事実に、あらためて感動させてくれたショットです。

Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , Color Negative 120 ISO 800

『本日の浮遊』シリーズを拝見しました。このシリーズをフィルムで撮影する可能性はありますか?また、このシリーズについても少し教えていただけますか。

『本日の浮遊』は、多いときで200回ほどジャンプして、一番よいショットを採用します。結果を現場ですぐに確認しながら、いちばん自然な浮遊のフォームを追求していきます。デジタルカメラだからこそ生まれた作品でしょう。とはいえ制作スタイルは変化していくので、今後フィルムで撮影する可能性もゼロではありません。

フォトグラファーデュオとしても活動されていますが、デュオとしてのナツミさんと個人としてのナツミさんとで、創られる作品に大きな違いもしくは相互作用性はありますか?

個人のときは、本来の自分が持つ衝動性や荒々しさも素直に出る気がします。撮影機材は性能よりも愛着が湧くかどうかが大事で、ちょっとダメな感じが愛おしいんです。
それはDiana F+にもありますよね。いまはジャンク店で手に入れたオールドデジカメを主に作品を制作しています。

Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , Color Negative 120 ISO 800
Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , LomoChrome Turquoise 120 ISO 100–400
Photos by Natsumi Hayashi with Diana F+ , 2021 LomoChrome Metropolis 120 ISO 100–400

今後のプランはありますか?

私のスタイルでは、オールドデジカメとスマホとパソコンとWi-Fiがあればどこでも制作と発信が可能です。発表もWebサイトなので、日本国内はもちろんいろいろな場所や国で自由に活動していきたいとおもっています。

最後に一言お願いいたします!

どんなときでもシャッターを切る瞬間はHAPPY!

ナツミさん、様々なお話ありがとうございました!ナツミさんのその他の作品も 彼女のサイト でチェックしてみてください!

2023-05-12 #文化 #people kota_97 の記事

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