ハイコントラストフィルムのFantôme Kino ISO 8の減感現像

白黒フィルムは撮影と現像をしっかり行えばとてもきれいなネガが出来上がります。今回はハイコントラストでおなじみの低速度フィルムのFantôme Kino B&W 35 mm ISO 8 を使った実験をご紹介します。

ロモグラフィーで一番感度の低いこのフィルムは暗室でのプリントをしようとすると難しい場面が多くなります。ハイコントラストということはハイライトの領域とシャドウの差が激しいということのになります。つまり満足いくプリントを得るのに、覆い焼きや焼き込みもしくは分割フィルターでは不十分という事になります。だからこそ、撮ったフィルムの使い方と目的を意識することが大切です。

晴天 f2.8 1/125。補正無し、スキャンのみ。撮影 Elisa Parrino

暗室プリントに適したネガは、画面越しに見えるものと違うことがよくあります。暗室プリントであれば、フラットなネガがあれば印画紙、フィルター、現像方法を変えることでコントラストの調整もできます。逆にtiffやjpgなどのデジタルファイルは編集できる幅がとても広いので、同じ考え方で印画紙に焼くといい写真にならないこともあります。なので印画紙に焼きたい人は撮影の時からそのことをイメージしながら撮影することで良いネガを作ることができます。

この記事では、コントラストの強い白黒フィルムであるFantôme Kino B&W 35 mm ISO 8を現像し、暗室プリントに適したコントラストを抑えたネガを作ってみます。役立つテクニックの一つは減感現像です。ロモスクールの増感/減感現像とは? でも解説している現像方法はネガのコントラストを減らすのにも効果的です。

+2 f2.8 1/1, +1 f2.8 1/2. ±0 f2.8 1/4. -1 f2.8 1/8, -2 f2.8 1/15. 補正無し、スキャンのみ。撮影 Elisa Parrino

減感現像

現像液 Rodinal 1:50
現像時間 6分
撹拌 最初の10秒間と途中の3分後にそれぞれ10秒間
定着 4分
水洗 5分

現像時間はThe Massive Dev Chartを参考に8分から6分と1段ほど短縮しました。上の写真はピントの合った箇所に露出を合わせ、ブラケット撮影で-2 / -1 / +1 / +2 の露出補正をし、合計5段階の露出で撮影してその違いも検証しました。下の写真も同様にブラケット撮影をし、露出は中央で測っています。

曇天 f2.8 1/30。補正無し、スキャンのみ。撮影 Elisa Parrino

結果から分かるように、減感現像をすることでFantôme 8でもコントラストが抑えられたフラットな写りになることがわかりました。印画紙に焼く場合でもデジタル化する場合でもネガに余裕が生まれるので、足りなければコントラストを足すこともでき、自由度が上がります。特に印画紙に焼きたい方は減感現像をすることをおすすめします。

Fantôme 8はとてもコントラストが強いフィルムなので正直結果に驚きました。コントラストの強さがこのフィルムの特徴でもありますが、減感することでグレーの階調が豊かになり、同じフィルムでも現像次第で大きな違いが生まれます。これこそフィルム写真の良さです。撮影だけじゃなくて、現像やプリントまで自分の手を加えることで違う写真を生み出すことができるのです。


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2024-03-04 #チュートリアル eparrino の記事

Fantôme Kino B&W 35 mm ISO 8

ハイコントラストと滑らかな粒子感のISO感度8の超低感度モノクロフィルム

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