【ロモ実験室】LomoChromeフィルムをポジ現像する
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ポジ→ネガのクロス現像ほど有名ではありませんが、身近なカラーネガフィルムをクロス現像でポジにすることもできます。しかも今回は専用のポジ現像液を使わずに、モノクロの現像液とカラーネガの現像キットで、しかもLomoChromeカラーシフトシリーズ3種類のクロス現像にチャレンジしてみました!
ポジとかネガって何?
現像してそのまま見れるのがポジフィルムで、反転させてスキャンやプリントしないと写真にならないのがネガフィルムです。
ポジ現像の仕組み
ポジ現像なのになんでモノクロとカラーネガの現像液とかを使うの?と思った方も多いはずです。不思議ですよね。
通常のカラーネガフィルムの現像において"現像"という工程は1回ですが、ポジフィルムは2回現像する工程があります。
1回目: 第一現像
2回目: 発色現像
1回目の現像では露光した像を出します。これがモノクロと同じようなものなのです。そしてその第一現像の後に反転浴という工程があり、これの代わりとなるのが再露光です。今のポジ現像はE-6と呼ばれていますが、昔存在した現像方法にE-3というものがあり、その方法では実際にフィルムを光に当てて再露光していたようです。それが今では薬品に変わったわけです。(Wikipedia のページにイラスト付きで詳しい説明があります。)
2回目の発色現像はいつものC-41と同じような流れで、フィルムにある色素カプラーが反応して色素を作り出します。(もちろん薬品の成分は若干異なります。)
撮影編
カラーネガフィルムにはオレンジのベースがあります。そのため、クロス現像してもこのオレンジぽさは必ず残ります。ただ、今回はベースの色が違うLomoChromeを使ったので準備段階ではあまり想像がつきませんでした..
使ったカメラ: LC-A 120
使ったフィルム: Purple / Turquoise / Metropolis
フィルム設定感度: ISO 200 → 実は最初に35mmのPurpleをISO100に設定して撮ってみたのですが、ちょっとオーバー気味だったのと、35mmじゃ撮影枚数が多すぎて永遠に終わらない気がしたのでISO200に設定して3種類撮り直しています。
現像タイム!
お待ちかねの現像タイムです!用意するものには薬品とカラー現像には欠かせないアイテムのみを記載しています。そのため、モノクロ/カラー共通で使用する現像タンクなどのアイテムは割愛しています。
用意する物
・モノクロネガ現像液 (T-MAX Developerを使用)
・C-41発色現像液
・C-41漂白液
・定着液 (モノクロ用でも大丈夫ですが、共有はしないでください。)
・クエン酸
・水切り剤 (今回はドライウェルを使用)
・低温調理器
・精度の高い水温計
低温調理器じゃなきゃダメ!という訳ではありませんが、温度管理はカラー現像で一番大切なポイントなので低温調理器が一番便利かと思います。
カラーネガ (C-41やCN-16)の現像キットは最近になって自家現像用のものが再び流通していますので、そちらを購入するのが楽かと思います。
モノクロの現像液を含め、全ての薬品を38℃に温めておいてください。
<パート1: 第一現像>
1. 38℃のお湯で1分ほどフィルムをすすぐ → フィルムを38℃の液温に慣れさせるため。
2. モノクロ現像液で9分現像する。
3. 30秒停止液で現像を停止させる。
4. お湯で水洗 → 停止液の残りを洗い流します。
5. リールからフィルムを取り出す。
6. フィルムの乳剤面をライトに向け端から端まで約30秒かけて露光します。これを2週します。(時間は結構大雑把です。)
7. フィルムにしっかり光を当てたらリールにフィルムを戻します。
リールは濡れた状態だとフィルムを巻くのが難しいので、乾いたものを用意しておくと便利です。
ここから先は通常のカラーネガ現像と同じ工程になります。
<パート2: 発色現像>
C-41の現像は特に温度調整に気を付けていますが、多少の誤差は避けれません。また、同じカラーネガ用の薬品でもそれぞれ処理時間が異なることがあります。
↓今回は下記の時間で処理しています↓
1. 発色現像: 3分15秒
2. 漂白: 1分
3. 定着: 2分
(それぞれステップの間に水洗を挟んでいます。)
4. 水洗 (お湯で)
5. 水切り剤
気になる結果は...
LomoChrome Metropolis 2021
LomoChrome Turquoise 2021
LomoChrome Purple 2021
どのフィルムもベースの色がフィルム全体にかかっている結果になりました。なんとなく思っていたような感じにはなりましたが、ここまで綺麗に写るとは思いませんでした。
特にTurquoiseはさっぱりとしたレッドスケールのような写りになりました。
そもそも、ポジ現像用の現像液の主成分はCD-3という薬品が使われていますが、カラーネガ用のそれにはCD-4が使われています。なのでその時点で色の変化が発生します。また、温度管理も確実なものではなく、使うモノクロ現像液や薬品の状態によっても結果が変わるので、あくまでも今回の結果は見本ということで参考にしてみてください。
ちなにみ、普通のカラーネガをこの方法でクロス現像するとこんな感じになります↓
今回の実験はかなりマニアックなものでしたが、こんな遊び方もフィルムだからできたことです。もしこの実験室でやってほしい実験内容があればぜひ教えてください!
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