Lomography ✖ Snap! 鈴木文彦 特別インタビュー <前半戦>

<登場人物>
鈴木文彦:フリーランスエディター( WebTwitterInstagram
星希依子:ロモジャパン代表
インタビューアー石田:ロモジャパンスタッフ

(鈴木さんが編集したロモグラフィーを大特集した写真誌「snap!」創刊号のページをめくりながら、和やかなムードでインタビューが始まりました。)

星(以下H):この時代はまだ各社フィルムがたくさんありましたね。

鈴木(以下S):この時すでに少なくなってきていたけど、今と比べるとまだたくさんあるね。このフィルムが今の時代にあったら100本くらい買いだめしちゃうね(笑)

石田(以下I):そもそも、お二人がロモグラフィー(以下ロモ)と出会ったキッカケって何だったんですか?

S:キッカケかぁ…。僕は編集者をしていて、最初はロモグラフィーで一冊単発の本を出したいと思ったんですよ。とりあえず当時は一冊もなかったから。でもコネクションも何もなく、突然ふらっとロモに行って、名刺出して、「鈴木と言います。本作らせてください。」みたいに言って。そして企画を出版社に持ち込んだら雑誌形態の方が良いいんじゃないかってことになって、「snap!」を創刊することになったという流れ。雑誌ではあったけれど、ほとんどロモ専門誌みたいなノリだったと思うよ。

2007年 ロンドン - photos by 鈴木文彦, shot on LC-A

H:え、でもなんでロモの事知ってたんですか?

S:ロモはもともと好きだったから知ってた。その頃はロモがもっとアンダーグラウンドで、オシャレで。だから、誰かの影響ではなくて自分から見つけた感じだね。

H:ってことは元々カメラが好きだったんですね。

S:あ、でもカメラを常に持ち歩くみたいなスタイルはちょっと苦手で、人知れずカメラは好きだけど見せびらかしたくなかったんだよね。わざわざ首から下げなくても…なんて思ったりして。あと、写真はこう撮るべしみたいな世界も好きではなく、だからロモの《ルールを破ろう》というようなスタイルが心地良く思えたんだよね。

I:そうだったんですね!星さんはどうやってロモと出会ったんですか?

2010年 東京 ミステリーツアーワークショップ初参戦 - photos by Kieko, shot on LC-A+

H:NYに住んでいる時に、好きな服屋さんでFisheyeを見つけて、「かわいい!」ってなって使い始めたのがきっかけ。でも中学生くらいから写ルンですは使ってました。そこからNYの学校の授業で白黒現像のクラスとか受けたりして、徐々にはまっちゃって。当時Nikon FM10使ってたんですけど、重かったから代わりにロモのカメラはよく使ってましたね。それで帰国後はもうロモにドはまりしちゃって、当時の青山の店舗に入り浸ってました。一人で何をするでもなく、お店の雰囲気とか、スタッフさんが好きで、頻繁に出入りしてましたね。笑

右から:2010年 Lomography Gallery Store Shibuyaのオープニングパーティー、2011年 LC-Wideのローンチパーティー、2011年 NYでスプロケットを持って撮影した時、ユーザー時代に参加したLC-Wideのワークショップ - photos by Kieko, shot on Fisheye/LC-A+/LC-Wide/Sprocket Rocket

S:何してるのって感じだよね笑。 1人で入り浸ってるって。

H:そうですね笑。 

S:すごいね、よく一人でガンガンいっちゃうね。

H:私全然一人でどこへでも行きますよ(笑)。面白そうなところであれば。

S:へー。でも、今はなんとなくロモのスタイルというかブランドイメージみたいなものは確立してるけど、当時はまだ変化の過程というか、まだアンダーグラウンドな匂いが濃厚な時期だったよね。

I:そうだったんですね。今の外神田のストアもソファーが置いてあって、こころゆくまでゆっくりできますよね。
じゃあロモと出会って、ロモのどんなところに惹かれていったんですか?

2013年 Lomography+オープニングパーティー@アーツ千代田3331 - Photos by Kieko, Shot on LC-Wide

S:さっきの話の続きだけど、ロモで一冊なにか作らせてくださいってお願いした時に、当時のロモジャパンの社長さんが、いきなりイギリスのワールドコングレス* に呼んでくれて...笑。出会って間もない人間が雑誌作りたいって言っただけで、いきなり海外の主要なイベントに呼んでくれるなんて、普通はあり得ないよね。懐が広いっていうか、そういうところがすごく気に入った。中国、カイロ、いろんなところでイベントをやっていて、どれも半端ないスケールのロモウォールを作っていたよね。

2007年 ロンドン - photos by 鈴木文彦, shot on LC-A

※ワールドコングレスとは
世界各地の都市にロモグラファーが集結し、あらゆる人、街、コミュニティーを巻き込んで巨大なロモウォールを創り上げるイベント。ロモウォールによってジャックされた空間では誰しもが文化的背景を超えた感動を共有できるといわれている。インターネットが普及する以前からこのイベントのインパクトはロモグラファーを通じて全世界的に波及してきた。今までマドリード、ウィーン、北京、ロンドンで行われている。

※ロモウォールとは
Lomo Wallとは、写真を何千枚、何万枚とモザイク状に並べ壁に見立てるLomographyオリジナルの展示方法。過去には、トラファルガー広場(イギリス)、日壇公園(北京)、MOMA(ニューヨーク)等多くの場所で展示された。

S:どれも世界中からたくさんの人が集まってきて、すごい規模だった。

H:ただただクレイジーでしたね。笑 写真を見てそれがどれくらいすごいことなのか伝わってきたからこそ、何か惹かれたのかも。。

S:会社って普通成長する過程でさ、そこにルールを作って大きく安定させていこうっていうグループと、それをあえて壊していこうっていう一部の人が出てくるけど、ロモは完全に後者で(笑)。そこがすごくかっこよかった。

H:あとはロモのコミュニティの中に入っていきたい、っていう気持ちがありましたね。当時外からロモを見ていて、変わってるのがかっこいい、前例を気にせず好きなことをしているのがかっこいい、馬鹿なことでも、変でも、それでもやる、みたいなスタイルが好きでした。

2014年 snap鈴木さんとBelairワークショップ@代々木公園

S:僕も自分で本を出したいっていう気持ちになるときは、その取材の対象の仲間になりたいって時だね。だからロモの本を出したいって時は、やっぱりそういう気持ちが自分の中にあったのかもしれないな。

S:お互いが魂は売らないよ。っていうのがあれば。後は何でもいいんじゃないのかな。

I:イギリスでのワールドコングレス、想像するだけですごい規模ですね。様々なイベントを各地で開催するロモですが、一番印象に残っているのはそれですか?

S:やっぱりそうかな。マティアス(Lomographyの代表)とも会えたりして。他にもいろんな人と出会うことができたし、いまだにつながりのある人たちもいる。『レンズの時間』を出したときも、サリーとマティアスはすっごく喜んでくれたよ。早く英語をしゃべれるようになれって会う度に言われて怖いけど 笑。
『レンズの時間』や『フィルムカメラライフ』のように、ロモに直接関係のないような雑誌を作るときでも、ロモに関するコンテンツはなるべく入れるようにしている。振り返ってみると、自分は本当にロモを好きなんだと思う。
あとロモとかかわり始めたとき、世界とのつながりっていうワードも大きかったと思う。当時そこまで日本は海外の文化に目を向けていなかったけど、写真がすきっていう気持ちがあればロモホームで地球上の皆がつながれた。FBより早く生まれたSNSだったよね。

2007年ワールドコングレスで配布された Diana F+ で撮影した写真 - photos by 鈴木文彦

I:ブランドとしても、中で働いている人も、ロモって昔から面白い会社だったんですね。良く「ロモっぽい」という言葉を聞きますが、どんな意味なんですか?

S:人それぞれ違うと思うけど、僕の場合は「ノリ」かな。ロモジャパンが三軒茶屋にオフィスを構えてた時があって、一軒家がまるまるオフィスになっていて、冷蔵庫があったり普通の家みたいで面白かったんだよ。それで、その時編集してた『snap!』にその一軒家の間取り図をまるごと載せちゃおうと思って。編集社の人には「これ載せて何の意味があるんですか…?」って真顔で言われたけど、当時のロモの社長は「任せてください」って張り切って見取り図探してくれて。普通の会社だったら絶対あり得ない(笑)。たしかに意味があったのかはわからないけれど、おもしろそうと思うことには率先して協力してくれる姿勢は、まさに「ロモっぽい」んじゃないかな。

I:普通じゃないところに全力投球できるっていう感じでしょうか。その頃のオフィスにお邪魔してみたかったです。

2016年 Lomography本社があるオーストリア、ウィーンにて会合。イギリスとフランスの代表と一緒に出社。 snap!鈴木さんとCP+にて香港代表と打合せ - photos by Kieko, shot on LC-Wide

<後半戦へ続きます…!>


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鈴木さん編集の雑誌についてはこちら
>> 『レンズの時間 Vol.2』発売
>> 『フィルムカメラ・ライフ』でロモグラフィーが特集されました!

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